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ごめん #4

ねぇ、ごめん
「好きだ」って言葉を最後にして
随分と経ってるな
ねぇ、ごめん
思ったより毎日あっという間に過ぎるんだな

なんとなく大丈夫だって気にせず過ごして
「当たり前だ」とか「しょうがない」とか
うまく誤魔化してるようで

忙殺され溜息を連れてくぐる深夜の静かな玄関
待ちくたびれて眠る君の姿を見て
涙が出そうになる
僕は今の僕が嫌いだ

いつかこんな日に終わりが来て
二人で思い出して笑えたなら
こんな甲斐性のない男に
気がつけばなってしまってたんだ

両手ですくった冷たい水のように
君との時間がこぼれ落ちていくようで
怖いんだ

温め直したスープのにおい
冷えた身体をほぐしていく
舌に残った優しい味が僕の心を溶かしてくんだ
僕は幸せなやつだ

窓の結露と舞い落ちる白雪
反射した僕の無表情顔
あと少しで今年も終わりを告げる
君がいなければきっときっと

ねぇ、ごめん
「好きだ」って言葉を最後にして
随分と経ってるな
でもね 本当は伝えたいんだ
君が好きだ、好きだ、好きだ


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