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志村正彦という男〈没後10年〉

才能あふれるロックスターは体力が落ちる30代を前に、全てのエネルギーを使い果たしこの世を去ってしまう。ジミ・ヘンドリクス然り、カート・コバーン然り。今年はとある日本のロックスターがこの世を去って10年になる。


彼の名前は「志村正彦」
ロックバンド''フジファブリック''のギターボーカルとして2000年から2009年まで活動し、大半の楽曲を作詞、作曲していた。

正直、当たり前な事なのだが、志村がいた''フジファブリック''とリードギターの山内が引き継いだ現在の''フジファブリック''は全く別物だ。
しかし遺された彼らが、変わらずライブで志村がいた頃の曲を演奏しているのはファンにとって嬉しい事だろう。その中ではっきりと志村が生きているように感じられるからだ。

身を削るように生み出された音楽には特有の美しさがある。
『桜の季節』『陽炎』『赤黄色の金木犀』『銀河』
この四曲は四季をコンセプトに作られたシングルで、まさに青春をエモーショナルの最高点で描き出した作品だ。
このあと『フジファブリック』『FAB FOX』『TEENAGER』と続くアルバム3作品も同じ速度と温度感を保ったまま駆け抜けていて、まさに志村の黄金期。どの楽曲も志村が身を削って生み出したエッセンスが散りばめられ、フジの中で一番色濃く出ている。

もっと表現したかったものもあるかもしれない。
それは志村がパソコンの前で息を引き取ったということに一番現れているが、命果てるまで音楽に向き合える人間がそういるだろうか。
その時は私は小学生で知る由もなかったが、今のフジにも志村のDNAはしっかりと流れている。

ナンバーガールやELLEGARDENの復活で、リアルタイム世代でない人たちがまた、リアルタイム世代になろうとしている。
だが志村は、彼らよりもっと早くに旅立ってしまった。
90年代から00年代にかけて、生まれた今のロックシーンの礎とも言える音楽を私たちはどう残し、どう語り継いでいけるのか。
志村正彦という男がいなくなって10年という節目で、私たちは考えるべきなのかもしれない。


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オトギボックス

大阪音楽大学学生による、プロデューサーと作曲家のユニット。主催イベントや地域の施設の委託事業で、親子に向けた演奏会や絵本の朗読公演を行なっている。音大生の活動する場を模索しながら、自分たちの想いを音に乗せて関西中に届けている。記事は本団体学生ライターの下村が執筆。

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