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#37絵を描く。 世にも奇妙なグレーの世界‐② 時間編

凸凹発達の9歳息子の絵を展覧しています。

言葉の壁が厚い彼にとって、絵を描くことは、自身を表現するツールの1つになっています。

毎日A4コピー用紙にせっせとしたためる絵の数々。
3年生になり、新たに気付いてしまった『グレー世界の奇妙な難題』

・時間編【間に合う間に合わない問題】
・季節編【カレンダーと季節と温度と半袖長袖問題】
・色編【色味・色彩・何色問題】
・社会ルール編【ハンドドライヤーが使えるか使えないか問題】
・交通ルール編【黄色信号と渋滞と切り替わり時間】

今回は前回の続きで
【時間編】の奇妙なグレーの世界のお話しです。

気球やプロペラ機の絵と共にお楽しみください。それでは、どうぞ。


▼奇妙な時間編

少し時間が読めるようになり、見通しも立てやすくなった3年2学期。
ASD児は時間に関してのこだわりが出やすいといいます。

よくある困りごとは
『ピッタリの時刻でないと気がすまない』というもの。

息子はキッチリした性格だから、
きっとピッタリに縛られる日が来るのだろうと警戒していた私。

気球① by.息子9才


でも今の所 予想はハズレです。

単に気付いていないだけなのかもしれませんが。

とにもかくにも、ラッキーなことに
ピッタリ時刻へのこだわり発動はありません。

ただ。

時間に関するグレーな世界の入口には立ってしまったようです。

気球② by.息子9才


時間に関するグレー世界【間に合わない】


息子「寝坊だよ!もう間に合わないから
   遅刻だ!母ちゃん遅刻だよねぇ?」
  
 「寝るのはもう遅いから遅刻だよ!
  間に合わないよねぇ?」

 「飛行機は間に合わないよねぇ遅刻だよ!」

プロペラき by.息子9才

  
朝の寝起きから始まり、
登校、習い事、食事、入浴、歯磨き、ゲームの時間、寝る前と。
更には、電車や車、飛行機等のお出かけの時も。

私が「〇〇の時間だよ〜」「◯分に出発するからね〜」と軽く声掛けしただけで
『もう間に合わない!』をまくし立てます。

本人なりに癇癪を起こさないように
でも
それなりに不安を撒き散らしながら
何度も確認をしてきます。

その度に
「大丈夫」「間に合う」「遅刻じゃないよ」の
エールを淡々と粛々と送り続けています。

なんなら遅刻しても、どうにでもなるという
グレーな選択肢があることも伝えています。

 が。

白黒マイルールに厳粛な息子には
なかなか届きません。

グレーの選択肢を選んだら
その先にあるものが一体何なのか
想像のつかない怖さがあるのでしょう。

それに学校社会では
間に合わなければ注意されます。

なのに、
間に合わなくても大丈夫〜 なんて…
母ちゃん。あんた何言ってるんだよ??意味がわからないってば!
と思っていることでしょう。

プロペラき脱出 by.息子9才


ルールがあるのに
逸脱しても大丈夫だという奇妙な世界…

そこにはグレー世界が広がっています。

みんな決められた時間に従って淡々とこなしているようにも見えますが…

多くの人はそれを ものすご〜く面倒だと思っているし、
全てにおいて『間に合って』動いているのかも結構怪しい所です。

追いかけられるプロペラき by.息子9才

『時間』自体は
宇宙という自然からの奇跡的な副産物で
人間社会の時間よりざっくりカウント。

だから、うるう年とかうるう秒とかで
うまく辻褄を合わせているわけで。

人間社会の時間は 
人間が生きやすくするために見つけた目安にすぎません。国が変われば捉え方も変わる。もともとは存在しない架空のルール…

なのに、知らぬうちに『ないもの』に振り回されているナゾの状況。。

何とか時間に間に合わせるために、
真面目に一生懸命スケジュールをこなすうちに、
いつの間にか仮想敵と化してしまう社会の時間。
とにかく負けないように
片っ端から予定をやっつけて倒す
敵がキレイに片付けば…

そのコントロール感を悦に思ってしまうという、恐ろしさと言ったら…

勝ったのは自分じゃない。社会の時間にしてやられているのです。

時間奴隷となり
機械のように動く自分は
まるで自身が時計部品の一部に組み込まれてしまったかのようで
実に滑稽なもんじゃ〜ないですか。

くつ下にんじんとプロペラき2機 by.息子9才

人間社会の時間との距離感は
振り回されない程度の目安として
知り合いくらいの軽い距離感が丁度いい。

息子には難しいだろうなと気の毒に思ってしまいますが。
とにかく
どこかで辻褄が合えば良いだけです。

自分が思っているよりも世の中色々とず〜っといい加減で
それだから案外うまく回っています。

だから息子よ、 
ちょいと いい加減を目指す方向に転換して
舵を取ろう!

と適当な自分を正統化して
奇妙な思考を巡らせてしまった次第です。

続きは次回。ではでは。

前回のお話↓


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