19/9/28 ベガルタ仙台 v横浜 F.マリノス


今日の主題は

「個々との勝負に持ち込んだベガルタ、個々との勝負に陥ったマリノス」

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目次

1.今日のスタメン。

2.ベガルタ大岩起用の意図とマリノス高野式ビルドアップ。

3.なぜマルコスは下がってきたか?

4.ベガルタ、ロングボール大作戦!!

5.マリノス、個々との勝負に陥る。

6.渡邉監督のメッセージ。

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1.今日のスタメン。

ホーム、ベガルタは前節札幌戦から一人変更。
RSBに蜂須賀では無く大岩がリーグ戦7試合ぶりの起用。3バックと4バックの両方の含みを感じさせる布陣。
マリノスもリーグ戦前節広島戦から変更。喜田とティーラトンの出場停止の代わりにそれぞれ渡辺皓太と高野(7ヶ月ぶり復帰!)
GKも朴が復帰。
左ウイングは遠藤では無くマテウス。
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2.ベガルタ大岩起用の意図とマリノス高野式ビルドアップ。

この日ベガルタ渡邉監督はRSBに蜂須賀では無く対人に強い大岩を起用。
キックオフ時からの配置を見ると4-4-2。
マリノスのゾーン1からのビルドアップでマテウスにボールが入ると大岩が対応。
自陣深くでの4-4-2のブロックに於いてもマテウスにボールが入ると4バックがボックス内を締めてRSHの道渕が対応すると言うより大岩が素早く対応していくシーンが多かった。
今日の大岩は渡邉監督からそのタスクをしっかり託されての先発だと感じた。

ベガルタは前線からハイプレスと言うより基本はミドルゾーンまで撤退した4-4-2のリトリートブロック。
長沢とハモンロペスがマリノスのCBとIHの間に立ち、松下と富田がIHを監視しながら富田はライン間のマルコスも監視。
永戸と大岩が両ウイングに対応し、仲川を主に見るのはシマオマテ。

対してマリノスは畠中とチアゴは比較的にプレッシャー無くボールが持てた。
ゾーン1からのビルドアップで松原と高野が偽サイド化し、ベガルタの中盤の4人が中央に収縮すると、両ウイングのエリキとマテウスにCBから直接ルートが出来て、そこを通すのが主なパターン。そしてこの日は扇原が最終ラインに降りてきて助ける回数も多かった。

マテウスはボールを持つとキレのあるドリブルで縦へ、抜き切れなくても質の高い弾道の低いクロスでベガルタに脅威を与える。
この日のマテウスにはキレを感じたし、彼の良くも悪くも「勝負を素早く決着する」という点がプラスに働いていた。
仲川がボックス内に留まるとシマオマテも監視。
そこで前半スタート時から大岩とシマオマテの間にスペースが生まれていた。

それを察知したのかマリノスはCBとSBの空いたスペースを素早く狙おうとゾーン1の段階から高野がより高い位置を取る。
マテウスにボールが入った時点で左サイドの局面で2対1の状況を作り出す。
21分の先制点はまさにそこから。

マテウス→高野→仲川に引っ張られたシマオマテのスペースに→松原が走り込んでゴール

THEマリノスらしい完璧な崩しでのゴール。

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3.なぜマルコスは下がってきたか?

2.で述べた様にベガルタのスペースを察知したマリノスは高野をより高い位置に上げて、ベガルタの中盤を収縮させて直接マテウスへのパスコースを作る為に、扇原が最終ラインに下がると松原、ナベコウに加えてマルコスがライン間から下がって3人揃えるシーンも増えてきた。

サッカーに於いて勿論ゴールへの一番近道は中央である。
ましてや足元の上手いマルコスである。
ベガルタの中央のプレスに隙を感じればそこを使う。
しかしこの日気になったのは下がったマルコスからのパスで周りとの連携が合わずベガルタにカットされるシーンが目立った。
喜田じゃない分の連携面もあるかもしれない。
ライン間であれば相手DFを欺く意外性のパスが必要になるかもしれないが、一つ低い位置であればマルコスももっとシンプルでリスクの低いプレイを心掛けて欲しかった。
ベガルタはこのカットからカウンターに移行出来る場面も増え、ボール保持と前進出来る時間を作れる様になったし、マリノスにとっては先制点の後にリズムを完全に掴み切れない状況を作ってしまった。

4.ベガルタ、ロングボール大作戦!!

ベガルタは基本4-4-2のリトリートブロックからボールを奪うとSHの関口や道渕を経由する事もあったが、殆どが2トップの長沢とハモンロペスに向けてのロングカウンターが主。
長沢とハモンロペスで縦関係を作りハモンロペスはスペースで受けようとするシーンも目立った。
2トップが受ければベガルタのSHとSBがスペースに侵入。

前半に関して言えば、その殆どをチアゴと畠中が勝っていたが11分、30分の様に決定機に繋がる場面もあった。一つでも決まれば同点に追いついていた。

SofaScoreのデータを元にすると
(引用元: https://www.sofascore.com/vegalta-sendai-yokohama-marinos/MmbsYmb)

仙台のロングボール本数:71 (前半:32 後半:39)

そのうち
38本が成功(前半:14本 後半:24本)
成功率が(前半:44% 後半:62%)

守備時も含めた空中戦でも
ベガルタが24回勝利(前半:11 後半:13)
マリノスが14回勝利(前半:7 後半:7)

軒並みマリノスの今季ワーストに近い数字であり、細かく見てみると長沢とハモンロペスはトータルで見ると他のチームと比べてチアゴと畠中に勝っている回数も多い。

個人的にも気になったのがマリノスの背後に関してはチアゴのスピードで対応出来ていたが、長沢やハモンロペスが勝ってボールを収めた時にマリノスチーム全体が守備に急いで戻らざる得なくなり上下動の回数が増え、後半のスタミナ消耗や間延びに繋がったのでは?と思った。

仲川のこの試合でのスプリント回数は全体のトップ31になるが彼の守備に献身的な姿勢が生み出した数字でもあり、この日に関してマイナスに作用したとも取れる。

前半マリノスペースでありながら不安を感じさせる展開で終了。
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5.マリノス、個々との勝負に陥る。

後半、早速マリノスは修正。
下がってくる場面の多かったマルコスはライン間でなるべくステイする様になる。
ただしこの日問題を特に感じたのは右サイド、エリキにボールが入ってからだった。
ゾーン1からエリキにボールが渡った時点では永戸との一対一になる。
エリキはそこから内に侵入するプレイが多かったが永戸はそれに対し無駄に飛び込まず、危険な中央を切りつつディレイさせ、ナベコウや松原、マルコスが関わろうとする頃にはベガルタも味方が帰陣してしっかりとボックス近辺に4-4のブロックを作っていた。
永戸のまず SBとしての守備の対応、後半最後の同点弾。この日のMOMは永戸だろう。

エリキの個々との勝負から手詰まりになった右サイド。

前半マリノスが優位性を持った左サイドは後半どうだっただろうか?
ベガルタは後半から修正。
大岩とシマオマテの間に出来ていたスペースに富田がカバーする様にもなったが、シマオマテがスペースに食いつくと必ずそこで止めようとする意識に加えシマオマテが出ていったスペースに平岡がスライド、富田がボックス内をカバーする様になる。
マリノスは後半でも左サイドからチャンスもあったがベガルタが前半よりカバー出来る様になった。

右サイド、左サイドでも個々との勝負になるとマルコスもサポートに入る様になる。
今までの試合よりもライン間中央で受けれるシーンも少なく、ボックス内に仲川だけが孤立する局面も増えた。
仲川にとって対人の強いシマオマテと平岡をスペースの無いボックス内で相手にするのは酷である。
この日の「CF 仲川」は攻守両面に於いて不利に働いてしまった。

またこれは個人的な見解が強いが後半特に右サイドへの展開も増え、両サイドの攻撃がバランス良くなったといえるが密集度が下がり、瞬時での選手間の距離が広がった事がより短期勝負の局面が増えて、良かった時の常に多くの人数が関わって崩すマリノスの姿が見えなくなった要因にも感じた。

またビルドアップのパターンがティーラトンの時の様な偽サイド化が二パターン無くウイングへ直接ルートに限定され、中央ライン間のマルコスのルートを作れなかった事もサイドでの個々との勝負に依存してしまった様にも見えた。
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6.渡邉監督のメッセージ。

試合はその中60分に
石原IN 関口OUT

65分には
ジャーメIN 道渕OUT

ベガルタは4-3-3に近い布陣となる。
ジャーメインは高野の裏かつ畠中と高野の間のスペースを積極的に狙い、長沢は中央、ハモンロペスは立ち位置を左よりに取りながらも中央やサイドに流れたりとフリーポジション。

石原はそのハモンロペスの動きに合わせて、移動し適切な距離感とポジションでサポートした。
特にハモンロペスが中央に入ると石原も近い距離でサポートし、永戸がサイドの高い位置を取る様になった。
89分の同点シーンはこの形。

マリノスはロングボールから相手ボールになった時の左右の攻撃に後手を踏む様になると共に前述した通りチーム全体の疲弊も大きくなっていった。

(上の図は89分の得点シーンの一つ前のチャンスシーンに近い形)

また守備に於いても松原からエリキのルートを防ぎ、エリキと永戸の一対一の場面でも素早くサポートに入っていた。

この日渡邉監督が攻撃で投げかけたメッセージは非常に明確であった。

これもSofaScoreによると
(引用元: https://www.sofascore.com/vegalta-sendai-yokohama-marinos/MmbsYmb)

この試合のデュエル勝利数
ベガルタ:60 (前半:24 後半:36)
マリノス:41 (前半:22 後半:19)

特に後半ベガルタが圧倒している。

渡邉監督は大岩起用の時点で
「この試合は個々との勝負で絶対負けない様に」
という強いメッセージを感じた。

様々な布石があってのドロー決着。

しかし鹿島は引き分け、川崎は負け。
そして、このレビューを作っている間に入ったFC東京ドローの吉報。
今節は上位陣が軒並み足踏み。
マリノスにとっては救われたと前向きに捉えれるし、長い事戦線離脱していた高野が90分プレイ出来た事、朴が流石の足下の旨さを見せた事、マツケンがこの試合でも先制点や守備でバランスを何とか保ち我慢する熟練さを見せた事など好材料もしっかりあった。

この試合の反省をしっかりして次節ジュビロ戦に向けて応援したいです(^^)

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