19/08/24 名古屋グランパスVS横浜F・マリノス

この試合の主題は

「悔しさを晴らしたマリノスケ扇原と米本がいないグランパス」


目次

1.今節までの簡単なおさらい

2.スタメン

3.グランパスの戦術を見越したポステコの仲川CF起用

4.今回の主題

5.マリノス右サイドの守備の課題

6.試合の締め方

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1.

まずはグランパス。
泥沼だった流れを3バックから4バックに変えフロンターレには3-0で勝ち、ドローも多いがリーグ戦4試合負けなしと底は脱してきた。ホームでマリノスを迎える一戦。前節終了間際に同点ゴールを決めた赤崎の投入タイミングも鍵。

マリノスはリーグ戦3連敗中。
前節セレッソ戦では負けはしながらも新戦力に期待感を覗かせ、絶対的エースのエジガル不在の中、従来通りの4-2-3-1か前節の新たなプランBシステム4-4-2なのかも気になるポイント。

2.

ホーム、グランパスのスタメン。
基本は4-4-2。
CB丸山がスタメン復帰。
ゾーン1から立ち位置は基本変わらないがビルドアップは展開力の高いシミッチとE.ネットを中心にシャビエルはセンターから左のレーンをフリーポジションでボールを受けようとする。
SH和泉と前田のスピードを持った縦への推進力は大きな武器。
守備はラインを高く保ち前線2枚と中盤4枚で前からハメてハイプレス。
奪えればそこから素早いショートカウンター。
フロンターレ戦の圧勝で相手のゾーン1でのハイプレス&ハイラインは今のこのチームの重要な軸である。
ゾーン2から自陣に入ると4-4-2ブロック。

マリノスは前節何かと(笑)目立ったマテウスは名古屋戦の為出場は出来ず、左ウイングには遠藤が復帰。前節立ち位置がトップに近かったマルコスはスタートからトップ下の立ち位置が基本。右ウイングにエリキが入り、最前線には通常は右ウイングの仲川が入った。今日のポイントはエリキと仲川だろう。
守備時は前節セレッソ戦同様、ハイラインで相手のゾーン1では4-2-2-2。ゾーン2からは4-4-2ブロック。
(前回のセレッソ戦noteを参照してくれたら助かります。)

攻撃時は後ほどの目次にて詳細を記載。

どちらもラインを高く保ち、攻撃的なチームで両チームの類似点は多く前回対戦同様にアグレッシブな試合が期待出来、どちらがボール保持するかもこの試合の注目ポイントだったと思う。

3.

その構図の中で開始すぐに試合は動く。
ポステコはこの試合で最前線のトップに置いたのはマルコス、エリキ、大津でも無く仲川。
グランパスのハイプレス&ハイラインによる広大に空くディフェンスの背後のスペースをゴールから最短距離でスピードを持って迫れる仲川を起用したのではと思っている。
いつものマリノスが65%近い保持率でポゼッションし細かいパスワークで相手のリトリートブロックを崩していくにはエジガルの様なCFが重要でスペースが無い中で仲川が活きる場面は少ないだろう。
ポステコは試合前からグランパスの戦術を見越したこの日の「仲川、CF起用」だったと思う。

その起用は予想を遥かに上回る開始1分で成果が実る。
PKになるとまずあの判定は正しかったか?ばかりが議論になるが、そこにいくまでに原因や意図が何だったのか?をサッカーは必ずそこを考えないといけない。
増してこの試合では同じ選手が二回倒されて二回のPKである。
判定以前に明確な原因と意図があった事は妥当であるだろう。
この試合でポステコの意図に仲川は見事に応えた事になる。
しかし仲川がグランパスDFの背後のスペースを狙える段階までいかなければこの起用は意味が無い。
その前段階においてもこの試合にはきちんとした布石、事象が見られた。
それは次へ。

4.

開始3分にマリノスが先制してグランパスはより迫力を持ってハイプレスにきた。
マリノスの2CBに縦のコースを切る様にジョーとシャビエルがバランス良く立つ。SHの前田と和泉はマリノスのSBティーラトンと広瀬を見ながら偽SB化してもそのまま付いて見る。SBの吉田と宮原はマリノスのウイングエリキと遠藤を見ながら素早く前に押し出せる準備をする。
そしてIHのネットとシミッチは中央のレーンを封鎖しながら喜田と扇原を見ようとする。

マリノスはゾーン1からのビルドアップを開始すると喜田がセンターレーンに移動して扇原はマルコスと同じ位のラインまで前に出る縦の関係に移動する。(勿論、逆もある)

このアンカーポジションの喜田にボールが入った時にグランパスのIHのネットとシミッチは即座にプレスにいけない状態が前半とにかく目立った。
喜田は余裕を持って前を向きどのコースにでもパスの選択肢を選べるセンターレーンからのビルドアップが可能になった。
マリノスにとって相手がハイプレスでありながゾーン1を突破してしかもセンターレーンを使える状態となった。

本来、喜田にボールが入った時ネットとシミッチのせめてどちらかは背後にいるマリノスの選手のパスコースを消しながら喜田にプレスにいかないといけないだろう。
どちらの選手にもその動きは殆ど見られなかったし特にネットは動きも悪くそれが後半途中でベンチに退く事になった大きな要因だったと感じた。名古屋の他の試合を見た時にもシミッチとネットには守備の不安を感じる場面が多かった。
またジョーやシャビエルはそのまま前残りする事も多い。

もしグランパスに米本が入れば、上記の動きで素早く喜田にプレスにいけただろう。
この試合、米本がいたら全く違う試合展開になったのかなと個人的に思った。
前半でゴールに直結するビルドアップで奪われてカウンターを受けるシーンは少なく、立て続けに前田に裏を取られた決定機を杉本が防いでくれた事はマリノスにとって大きなものになった。

この試合マリノスのカウンターが印象が強く残るが試合の勝負を大きく引き寄せた前半は特にカウンターだけでなくポゼッションにも成功したと言える。

それに変わりマリノスはグランパスのゾーン1からのビルドアップに対してディフェンスラインからIHのネット、シミッチに入ると素早い出足で前に出てプレスにいっていた。
マリノスの場合は喜田がアンカー的な役割を担う。この試合では扇原は迷う事なく素早く相手にプレスにいき、結果としてグランパスの攻撃は大幅にスピードダウンした。

扇原にとっても自身の退場から逆転負けしたアントラーズ戦。
出場停止でピッチに立てない中敗戦したセレッソ戦。
昨日の扇原にはこの試合に対して人一倍期するものがあったと思うしその気迫を凄く感じた。

迷いのないプレスに後ろが押し出してくれる、前線も連動してくれるというチームの信頼関係の高さも感じた。

この試合の個人的な裏MOMは扇原でいきたい!!

5.

しかしこの試合はここで簡単には終わらない。
風間監督は先制されて程なくSHの前田と和泉が一つ内のレーンに入り、SBの吉田と宮原が高い位置に上がり、前6人に近い形の攻撃的な布陣になる。

対してマリノスはグランパスSHにティーラトン、広瀬が対応し、グランパスSBにはウイング遠藤とエリキが対応する必要が出てきた。
遠藤はサイドの低い位置や中盤のHSを締める位置まで戻り献身的な守備を実行しつつ、カウンターに移行すると左サイドを素早く前進する素晴らしい動きを見せていた。
この日はこれに加えて2G1A。
間違いなく遠藤がMOMだろう。

問題は右サイドの守備である。
遠藤と違いエリキはグランパスのLSB吉田の上がりに対し、形だけ戻っていたり守備の献身性に欠けていたり前残りする場面も目立った。
その為、広瀬は和泉と吉田の二人を見ないといけない局面もあり最優先にボックス内を締めないといけなくなり結果として右サイドの深い位置への侵入を数多く許してしまった。
この試合で広瀬のRSBの守備面の資質を問うのは酷だと思う。

ではどう対応するか?
ただこの試合でも遠藤がしっかり中盤のラインまで下がり左HSを埋めてくれるシーンも多かったので喜田ないし扇原が左サイドの対応に出れる場合もあった。
それに守備の献身性も高いマルコスが必要な局面では中盤まで下がってくるオーガナイズも可能かもしれない。
人数的には安定する。
後は心情と技術的にマルコスが可能かというところ(一番そこが大事だけどww)

通常は右ウイングには仲川が入る為、この問題は生じにくい。
ではエリキが右ウイングは相応しくないかと言われればそれも違う気がする。
この試合で見せた今のマリノスの選手には無い得点に結び付けれる個性は攻撃面において右ウイングでも大きく発揮した。前残りする事で得点に繋がり、チームによってはSBの上がりが自重されるなら寧ろ大きな武器である。
左ウイングに守備に献身的な守備も出来る選手で(なのでマテウスは無謀かなww)マルコスが下がってくる形をチームのオーガナイズとして確立出来れば、またマリノスの新たなオプションとなるだろう。
ピンチからプラスの新たなモノを考える事も出来る。

6.

2-0からスタートの後半。
マリノスは守備ラインを下げゾーン2での4-4-2のブロックが基本となりまず守りからしっかり入る事とした。
戦術的な部分だけ言えばエリキを替えて後顧の憂いを絶ってもよい。
しかし前半に強烈な追加点を決めた新戦力。
変える理由は無いし、選手は決して駒では無い。
仲川とエリキのポジションをチェンジする手もあった。
そこはポステコ。
試合前に決めたオーガナイズを簡単には変えない監督。
後半にまた仲川が倒されてPK獲得した点も考えればポステコの哲学が吉としっかりなった。

67分 仲川OUT 皓太IN
最前線にマルコス、皓太がトップ下
(中盤3人がIH的な選手に)

グランパスが一人退場したにも関わらず失点し嫌な流れだったところをすぐに追加点を取り
82分 マルコスOUT 大津IN
最前線にエリキ、右ウイングに大津

88分 エリキOUT 中川IN
そのまま中川がトップ

前後半共に飲水タイムが設けられた暑い状況で攻守に動いた前線を順番に替えていった的確な采配。
(遠藤は最後まで出場してお疲れ様です!)

次は三ツ沢でガンバ戦。
連敗脱出、上位チームがもたつき順位も3位に上がり次の試合も期待したいです!!

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