19/10/5 ジュビロ磐田 vs 横浜F・マリノス

今回のテーマは

「仙台戦へのアンサーゲームとドラえもんのひみつ道具」

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目次

1.スタメン

2.前半30分まで 〜苦しんだジュビロのビルドアップに対する対応〜

3.仙台戦へのアンサー 〜右ウイング 仲川と下がるマルコスを逆利用〜

4.ジュビロの生命線 〜サイドでのギャップ〜

5.これぞ日本代表!畠中慎之輔

6.ドラえもんのひみつ道具

7.後半(途中コラムあり)

8.勝手な提言!?「エリコス システム」

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1.スタメン

ジュビロは前節大分に後半アディショナルタイムに追加点を決め(この時間帯に得点が多い!)フベロ新体制初勝利。
GKは前節復帰して好セーブもした八田が先発。
IHには森谷では無く今野を起用。
川又の負傷離脱でルーキー藤川が初先発。
山田大記は離脱中。

マリノスは前節累積出場停止だった喜田とティーラトンが復帰。
RSBは松原、LWはマテウス。
CFは、、RWは、、
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2.前半30分まで 〜苦しんだジュビロのビルドアップに対する対応〜

キックオフ直後からお互い縦への素早い応酬でトランジションが続く。

2" 松本→藤川
3" エリキが藤田にスピードで抜け出す
5" ルキアンが競り勝ち抜け出す

試合が少しずつ落ち着きだしてこの日スタートのマリノスの基本攻撃に対しジュビロは

マリノスのゾーン1からのビルドアップに対しどちらかと言うとリトリートブロック、しっかり中央封鎖。藤川とルキアンは喜田と扇原のパスコースを切り、今野は扇原も見るがマルコスも監視。
CBからSBにパスが出るとSH松本と山本が素早く対応。
ウイングにはSB小川と宮崎が対応。
ライン間をコンパクトにする。

マリノスは序盤、あまり偽サイド化しない展開から次に扇原が最終ラインに落ちてマルコスが下がる。
そして偽サイド化していく段階を踏む様なビルドアップ。

この日も左からの展開が多い。
ウイングへの直接ルートでボールが渡ったマテウスは一対一でジュビロRSB小川を縦へのスピードで優位性を持つ。またティーラトンのフォローの距離感や扇原や喜田の前へ出る動きもマテウスを助けていた。

16分 下がって受けたマルコスのミスからカウンターやルキアンへのシンプルなロングボールに加え、ゾーン1からのロングボールに対し幅を取ってスペースを突くSH松本と山本がチャンスを作り盛り返す。
因みに前半25分までのボール保持率はジュビロが上回り55%
上記の理由でマリノスに常時ボール保持させなかった事とマリノスが苦しんだジュビロのビルドアップがあった。

この日ジュビロはゾーン1からのビルドアップで2パターン用意されていた。

1.IHの今野がサイドに流れる
最終ラインが3枚になったジュビロに4-4-2のブロックのマリノスとで最終ラインに数的優位を作る。

2.CBがかなり幅をとりSBが一列前へ。
一列前に出たSBに対しマリノスはワイドのマテウスと仲川がプレスにいく。
マリノスの2トップがジュビロの2CBに対して対応が遅れれば、その時間を利用して一気に前線へロングボール。
マリノスのSHがジュビロのIHへのパスルートを警戒すると一旦SBに預けて三角形を利用して隙を見つけると今野に渡してマリノスのハイプレスを回避するパターンがよく見られた。
そこから今野はサイドのスペースへ展開。

ジュビロのボール保持率が高まった要因と言える。ここからジュビロはゾーン2から相手陣内に押し込む形を作れる様になる。

SofaScore(引用元: https://www.sofascore.com/yokohama-marinos-jubilo-iwata/HmbsMmb)
この時期ジュビロが攻撃の時間を作れているのがよく分かる。

(上がジュビロの攻撃時間、下がマリノスの攻撃時間)

この後のジュビロの展開は後ほど記述。。

3.仙台戦へのアンサー 〜右ウイング 仲川と下がるマルコスを逆利用〜

まるで前節仙台戦を見るかの様な展開。。
嫌な予感がしてくる(笑)

しかし違った。
この日のCFはなんとエリキ、RWが仲川。
エリキは前節、永戸に対して完全に手詰まり状態に陥った。それでもエリキはボール保持で仲川とは違う独特のリズムとアイデアを持っている。

仲川はスピードは勿論だが、味方選手と関係性を作るのも上手い。外側でボール保持すれば松原や喜田のハーフスペースへの侵入を促し、オフザボールでは外側だけで無く背後や内側へ素早いダイアゴナルランを見せる。
まさに後者の動きが演出した前半30分の先制点、相手のオウンゴール。

畠中からライン間のマルコスへ

マルコスをフォローしたティーラトンへ

喜田から内側のレーンに移動していた松原へ

松原から宮崎と藤田の間へパス

外側からダイアゴナルランの仲川

CBからの崩しの流れがまさにマリノスらしい選手の密な関わり方と仲川の動きが生んだ先制点だったと思う。

仲川と対峙する宮崎としてはCB藤田との間や裏に上がってくる選手を警戒しながらも、仲川との間を詰めないとスピードでやられる。。
選択肢が多く非常に守り難い状況である。

右サイドで仲川は優位性を持った。

またライン間にスペースも無く下がってきたマルコスに対しジュビロは今野が付いていっていた。
前半途中からこのジュビロの守備を利用し今野がマルコスに付いてくる事によって生まれるスペースを喜田か扇原が侵入し、ジュビロの中央封鎖を突破する糸口を作り始めていた。
喜田と扇原のコンビは時間の積み重ねを経て素晴らしい関係を生み出している。

そして先制点はリズムを変える。
32分には最近ティーラトンが見せる進化した偽サイドで安定したボール保持を見せ、(参照はnoteのビルドアップの機能美にて)
https://note.mu/otonohatb/n/nfcf97503036d

ジュビロのライン間も空き始めるとライン間のマルコスにもボールが入る様になりマリノスが優位性を持ったまま前半終了。
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4.ジュビロの生命線 〜サイドでのギャップ〜

後半スタートからジュビロは藤川とルキアンのポジションを入れ替える。
ルキアンは左サイドに流れる動きをよく見せる様になるがチアゴを中央から引っ張り出す狙いがあった様に感じた。

またマリノスもまだ不安が解消してない事案があった。
ジュビロはゾーン2から相手陣内に押し込むとSHが内側に入る。マリノスはこのSHに対しSB松原とティーラトンが対応する。
山本と松本のこの動きに時折対応が後手にも回った上に、その動きで生まれるサイドのスペースにSBが侵入してくる。

マリノスは素早く仲川とマテウスが戻り対応する事になるが(マテウス試合毎に守備の動きは高まってきたと思う。)
カウンターからの速い移行に対してはマリノスも対応出来ず、後半になっても手を焼いていた。
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5.これぞ日本代表!畠中慎之輔

この日の畠中はデュエル4/6、空中戦4/5とCBとしての強さを見せた。後半ルキアンはサイドチェンジした一つの要因に前半途中から空中戦でも畠中に勝てていない。
4.で述べたサイドでの劣勢でクロスの本数も増えたがチアゴと畠中で無類の強さを発揮し弾き返した。

そして先制点の糸口となったライン間のマルコスへのキーパス。

まさに現代型CBの日本代表と言える働きだったと思う。
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6.ドラえもんのひみつ道具

毎回試合前に素晴らしいプレビューをUPして下さるBunさん(@junkstar_fm) (https://note.mu/lucyrock)
がこの日の試合前に僕に
「どんな展開だろうと、今日は喜田!」
と仰ってくれた。

まさにそれを証明する試合となった。

攻撃ではビルドアップの最初の受け口として相手に隙があればセンターレーンに移動して受け素早く前を向き展開。
扇原との関係性は勿論素晴らしい。
この日は左サイドバックの位置に移動してマテウスを助ける場面もあった。
仲川がボールを持つとハーフスペースの高い位置にも進入。

守備ではアンカーとして、また相手IHに対して高い位置へのプレスも敢行する。
64分は八田のGKから今野のパスをカットしてシュートまでいったシーンは痺れた。
この日の課題としてあったサイドのスペースに対しても素早く察知してカバー。

カンテばりの縦横無尽な動き。
ドラえもんのひみつ道具「どこでもドア」ならぬ「どこでもキダ」であった。。

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7.後半

時系列に戻ろう。
先制点からマリノスが主導権を握り、奪われても高い位置からプレスでジュビロのパスコースを限定して回収。
後半になってもこの流れは続く。
2.で述べたガンバがゾーン1からセットしてビルドアップするシーンも少なくなる。

藤川とルキアンのポジションチェンジはあまり大きな効果は示せなかった。
もし川又がいてツインタワー状態になれば仙台戦と同じ展開になったかもしれない。

ジュビロが4.で述べたサイドのギャップを利用してからのクロスは畠中とチアゴが弾き返す。
ジュビロがサイドの高い位置に侵入しても連動してハーフスペースを突くなど少なくクロスの選択が主となったのはマリノスとして救いだった。
ジュビロの現状の大きな課題とも感じた。
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7.5 迷走マテウス??

中間コラムです。
後半になり小川はマテウスに順応し左サイドで優位性は無くなっていく。
マテウスはそれを嫌がったのか内側でボールを受けるシーンもあった。
がマルコスと重なる事も多く、あまり機能した感じはしなかった。
前半スタートは脅威を与えれてたがこの日はココで御役御免。
63分 遠藤渓太と交代。
お疲れ様でした(^^)
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お互い選手交代とポジションチェンジを行いながら、途中から入った遠藤渓太が負傷退場。
U-22遠征辞退は残念だが軽傷で鎖骨骨折など無く本当に良かった。
(因みに自分は酔っ払って階段から落ちて鎖骨骨折して苦しみましたww)
84分 高野IN 遠藤 OUT

直後の86分に待望の追加点。

素早く偽サイド化したティーラトンへ

ライン間のナベコウへ

左の高野が受け、スライドするジュビロDFのファーサイド側へサイドチェンジ気味のクロス

素晴らしいトラップからクロスとも取れる低い弾道で仲川のゴール

2点ともライン間中央をクッションしている。
マリノスにとって「ライン間中央」の大切さを改めて感じる。
そして素早い偽サイド化で中央を通したティーラトンは喜田と共に前節いなかった重みと共に重要な選手だと再認識。

そして高野の左ウイング。
縦への推進力とマテウスや渓太とも違う質のキック。
新たなオプションが生まれタカノーと。

仲川はもう言わずもがな。。
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8.勝手な提言!?「エリコス システム」

試合はこのまま2-0でマリノス勝利!!
その他にも面白いシーンがあった。

この日のCFはエリキ。
エリキはチームコンセプト上、ジュビロのCB二人をピン留する役割がある。
後半ジュビロのライン間が空きだしてマルコスが下がった時のライン間にエリキが下がって受けれるシーンがあった。

そこから上がってきたマルコスとワンツーなどのコンビネーション、素早く前へターン、ウイングへ展開があった。
ジュビロの2CBに対応の迷いも感じれた。

エリキがボールを受けて周りの上がりを作るタメを作れば完璧ではあるが、そこまで今出来たら最初からCFだろう(笑)

マルコスが下がりエリキがライン間に落ちマルコスの仕事をする所謂0トップシステム。
ひとよんで
「エリコス システム」
がチームとしてのオプションとなれば、また面白くもなるのでは??と。
解説の戸田さんも仰ってましたね。
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我慢が続いた中でも勝った試合。
そして暑い中で足がつる選手も出てくる中のゲームに両選手、審判、現地で応援していたサポーターの皆さんに拍手を送りたいです。
良い試合でした。
クーラー効かせた部屋で水飲みながら見てた自分はお疲れ様ではありません。。。

FC東京は負けて、この後あるセレッソとアントラーズの結果次第では混沌とする首位争い。
この試合で勝てたのは本当に大きい!!

次節の湘南戦も楽しみと共にまずは一つ一つの試合をしっかり応援したいです!!

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