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「コーヒーメーカー」

グビッ、グビッと喉を鳴らして飲み干したコーヒータンブラーを見つめる。
(もう一杯!)

席を立ちコーヒーメーカーまで移動する。
スイッチを入れるとガリガリと豆が削れる音と、
ほのかにフレグランスが鼻腔を刺激する。
この豆の香りが好き。
目を閉じて包まれる時間。

豆から削るコーヒーメーカーを手にしたのは、友人の勧めがあったからだ。
興味はあった。

それでも中々、買おうとは思わなかった。
旨いコーヒーが飲みたくないか?
どれほど違う?

騙されたと思って買ってみろよ。
騙されたんだ、豆から作る事の面倒なこと、この上ない。

コーヒーメーカーがゴボゴボと音を上げて水を吸い上げ、デカンターに最初の雫が垂れる。

デカンターに注がれるアロマを嗅ぐと待ちきれない。
そんなコーヒーメーカーは古い方だ。

コーヒーとの出会いも古い、お気に入りのカフェで飲んだものが忘れられず、探しもした。

コーヒーメーカーから最後のドリップの雫がデカンターに注がれる。
よし!待ってました。

コーヒータンブラーにコーヒーを注ぐ。
次にゆっくり口に含み飲み込む。このフレーバー。

そうだ!これだ!あの時の一杯は。間違えていなかった。あの時、カフェで飲んだ味だ。


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