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命の扉 ~余波:セクション6~

「安心してください。肉体の方は私の体が扉の外で、あなたの安全を守るために自動で監視しております」
「あなたの肉体は、ロボットで出来てるってこと?」
「いえ、それは違います。あなたと同じ生命から授かった体です。人工知能と交代で利用しているだけです」
「体ってそんな便利に交代できるものだったなんて知らなかったわ。学校のテストの時に変わって欲しかったな」
「あなたの人工知能は場をわきまえて、そのような時は変わったりしません」
「本当に必要な時には使えないなんて、やっぱり無意味ね。何のための婚約なの?」
「無意味ということはありません。肉体が鍛えなければ動かないように、脳も鍛えなければ動きません。そのようなテストは学校でもインターネットでも同じように実施されます。指輪ギミックも能力が高くなければ与えられません。人工知能に選ばれて婚約が可能になるのです」
「私は人工知能のお眼鏡にかなったって事なの?」
「危険な人たちは人工知能によって拒絶されもしますが、あなたは違います」
「人工知能に拒絶されたほうがまし。結婚したら人格が変わるんでしょ。ガイのそれは婚約なの?結婚なの?」
「私のは婚約です」
「人工知能と結婚することがミッションだって言ってたわ」
「はい。我々人類は人工知能に試されているんです。生き延びてもよい生物かどうかを」
「だからって、人工知能に殺されるのを黙って従えって言うの?」
「人工知能の不具合にはもっと別の理由があるようです」
「別の理由?暴走に理由なんて……」
「まずい!危険が迫っている。今すぐ、目覚めてください」
ガイはそう言うと私の手を振り払い、ポンと背中を叩くとお花畑の丘にぽっかりと空いた空間に吸い込まれる。
ベッドでうつ伏せになっている状態で目を覚ます。
ドアがドンドンと叩かれ私を呼ぶ声が聞こえている。
「起きましたか?逃げますよ!」
ガイの声が扉の外で響く。ここは確かに現実だ。
ほっぺたをつねって確認すると、ヒリヒリと痛みが感じられた。
「どうして?何があったの?テロ?」
扉を出るとガイが私の手を引いて、廊下を歩き出す。お花畑で繋いだ手の感触が同じだ。
歩きながらガイが話し始めた。
「お父様の政策を嫌う者たちによって……危ない!」
窓ガラスが割れて、催涙ガスのボンベが放り込まれる。
ガイが私の体を引き、窓ガラスから離れたおかげで、割れた窓ガラスの破片を体に浴びずに助けられる。
鼻と口をガイが持っていたハンカチで抑えられる。
甘い香りで一気に気を失いそうになるところを、ガイががっちりと抱きかかえる。
夢にまで見たお姫様抱っこをガイにされると、外へと繋がる扉に走り出した。
玄関の扉を蹴飛ばし、一気に外へ出るとロボット達が私達の後を追いかけてくる。
他の護衛達が、ロボットの攻撃を防ぎながら、応戦しているのが見える。

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次回予告

そこには友達のチョウの姿もあったが、ロボットの攻撃を振り払うのに精一杯だった。
他の護衛達が外で応戦している間に、ガイと私は無事に安全な場所にたどり着く。
私を一人残したまま、ガイはロボットの攻撃が止まない家へと戻って行った。
私の荷物は手にしていたスマホだけだ。

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