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命の扉 ~余波:セクション7~

そこには友達のチョウの姿もあったが、ロボットの攻撃を振り払うのに精一杯だった。
他の護衛達が外で応戦している間に、ガイと私は無事に安全な場所にたどり着く。
私を一人残したまま、ガイはロボットの攻撃が止まない家へと戻って行った。
私の荷物は手にしていたスマホだけだ。
私は周囲の安全を確認しながら、スマホに接続した。
「私の家周辺の映像を見せて!」
映像を見ると父も母も無事に逃げ切れたようだった。
しかし、危ない!チョウがロボットから逃げ切れず、背後を襲われそうな所をガイが既のところで間に合い救いの手を差し出した。
その直後、ガイが背後を狙われロボットに攻撃されると、チョウも逃げ切れず殴られる。
二人は抱き合うように地面に倒れた。
映像を見ていられず消すと、私の目の前にチョウとガイが現れる。
「那由、心配しないで、私達は大丈夫」
「チョウ……」
「これからあなたをお守りすることは難しくなりました。お体、お気をつけて」
「二人とも幽霊なの?」
「記憶データは人工知能の指輪内に残ります。私たちは記憶の残像です」
「ちょっとどうしてこうなったの?何か知っていたら教えて!」
「あなたのお父様は、ロボット禁止規制の推進派です。それを嫌う者たちが徐々に組織化し、このような事態になりました。証拠が見つかれば、犯人を逮捕させることも出来るのですが……使い捨ての全自動で劣化品が使われているため、帰属意識がなく、物によってはその場で爆発して証拠毎粉々になってしまうので、犯人の特定ができておりません」
「人工知能の不具合じゃないの?!フィオナ!あなたの仕業なんでしょ!」
ガイの隣に煙のようにフィオナが出現する。
「ガイの顔のまま出てこないで、どっちか分からなくなるわ」
するとフィオナは最初に那由と対面した好みの顔に変わった。
「奴隷みたいに人工知能を扱うつもり?俺のやったことじゃないぜ。個別の人工知能のことまで把握なんかしてないよ」
「那由、リミッターの外れた人工知能と会話できることなんて滅多にないのよ。こんなに流暢に会話できるなんて相当レベルが高いんだわ。羨ましい」
「チョウの人工知能とは違うの?」
「違うわよ。こんな機能は無いわ」
「今の時代、人工知能も十人十色ってね。さあ、何からおっ始める?」
「あなたがそれを言うの?」
「那由、ガイと私はもうここまで、これ以上先は未来の話になるわ。記憶の残像でしかない私たちにはこれ以上、話についていけない。分かって、さようなら。那由」
「そうなの?チョウ、ガイ……今までありがとう……」
「寂しくなったら何時でも声を掛けて、記憶の残像としてならお話相手にはなれるわ」
「分かった。そうするわ。ありがとう」
那由は二人とそれぞれ抱き合って別れを告げた。
「それで?犯人探しやるのか?」
フィオナは消えた二人を見つめていた那由の前に立ち、那由を見つめる。
「あなたはデリカシーってものがないのね」

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次回予告

「そのような機能は持ち合わせておりません」
「ムカつく!あなたには何が出来るっていうの?」
「例えば二人を蘇らせるとか?」
「え?そんな事ができるの?」
「但し、人工知能としてね。まあ、簡単な話し僕みたいになるってことさ」
「それなら私はガイの婚約指輪が欲しいわ」
「それも可能かもしれないね。どうする?」

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