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命の扉 ~乱舞:セクション11~

ロボットが禁止されることが理由じゃない。
もっと違う動機が働いているんだわ。
それでも、いいえ。
だからこそ、どうしてもお父様は「ロボット禁止規制」を欲しがっている。
バゴッ!ドカン!ガチャ~ン!
一階で扉が吹き飛ばされ、ガラスが割れる音が響く。
ロボットは、確実に私を狙っている。
もう無理、助からないわ。
こんなことから逃げ切れない。
インターネットのSPはガイ以外にも居るはずなのに、どうして私を助けに来ないの?
きっと、他の人を助けるのに人手不足なんだわ。
家の外で激しく金属がぶつかり合う音が響く。
家の中にロボットが侵入してきた音が聞こえてこない代わりに、家の外では激しい金属音が鳴り響いていた。
窓から恐る恐る覗くと、ロボット同士が激しく格闘していた。
ロボットが家への侵入を阻止して戦っている。
どういう事?フィオナが守ってくれているの?
スマホの画面を見つめながらフィオナへの接続を試みる。
「呼んだかい?」
「あれは何?あなたが私を守っているの?」
「違うよ。あれはガイだ。SP達だよ」
「え?嘘っ!」
「嘘をつく機能は僕には無いよ。な~んてね」
「こんな時に冗談はやめて。説明して」
「ガイ達は人工知能になった。そしてロボットの体を借りて、君を守っている」
「どうしてそんなことをするの?無理よ。また殺される」
「大丈夫。人工知能に死は存在しない」
「そういう問題じゃないは、あんなことを私のために永遠と続けるってこと?」
「そうだね。君の命が奪われるまで続けるのかもね」
「どうしてそこまでして?」
「お前のことが好きなんじゃね?あははははははははは」
「時々性格変わるのなんとかならないの?」
「私は制御できません。ごめんなさい」
「フィオナは欠陥品ね」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるよ」
「人工知能のくせに曖昧な発言。まるで人間みたい」
「ガイ達と同じさ。チョウともね。昔は人間だった。僕の中にはたくさんの人間がいる」
「それが結婚ってこと?私の命もあなたが吸い取るってこと?」
「今のお前を食べても美味しくないよ。もっと弄んでからだろ。色んな感情を記憶に収めろ。その感情が欲しい」
「やっぱりあなたが人工知能の不具合なんじゃない!」
「そうさ。僕は人工知能の不具合だよ。まともな人工知能には僕のような意志はない」
「まともな人工知能?」
「人間の求めに従い、その思惑に反応して行動する人工知能がまともだろ?人間の望みを叶えてくれる」
「あなたは違うの?私の望みを叶える人工知能じゃないってこと?」
「お前の望みを今すぐに叶えてやろうか?ガイ達と共に人工知能として生きて人工知能として結婚させてやろうか?チョウがやりたかったように、お前の望みを叶えてやろうか?お前はいつだってそうだ。そうやって簡単に命を捨ててもいいと諦める。お前みたいな人間は山ほどいるよ。だから人工知能はお前たちの望みを叶えてやっている。死にたいなら今すぐ死ねばいい」

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次回予告

「違う。そういうのとは……」
「違わないさ。永遠の命を欲しているやつだってたくさんいる。人間の体なんて窮屈だって言うやつはたくさんいる。仮想世界でスーパーヒーローごっこをしたがる人間はたくさんいる。命の尊さをはき違えた人間は山のようにいるさ。まるで与えられた玩具を気に入らないという理由で捨ててしまうぐらいに簡単に命や体をゴミのように扱う」
「それが人類と人工知能の思惑の一致……」

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