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ロッキーホラーショー記録④ 2幕

ロッキーホラーショー記録③ 1幕 の続き。

音楽監督補視点、ピアニスト視点、
双方から書きました。


▶︎Entr’acte〜フランケンシュタインの城へ
河原さんの「2幕は暫く歌がないからまずISSAに場を温めてほしい」というご意向によるもの。
通常のEntr'acteから不自然でなくフランケンシュタインに繋げ、かつ期待を少しずつ高めていく……をバンドリハでアイデアを出し合いながら作りました。

▶︎Touch-a-Me
武田さんがステージ上でSAXを演奏するには動線をどうするか、SAXはどこに置いておくか、など細かく決めていきました。ピアノは最初、ジャネットを焚き付け追い立てていくようなフレーズ、サビに入ると「ジャネット〜、よかったね〜!」と祝福に近い気持ちで弾いていました。

▶︎Once in a While
河原さんが小池さんを「ブラッドをやるプロ」と仰いましたが、その真骨頂!という曲。「『カルバン・クライン』ってコーラスつけたい」と河原さんがおっしゃり、むっちりシスターズお2人に作っていただきました。

▶︎ドアホのエディ
岡本さんの歌とピアノが一緒に出るために「息を吸う音をください」とお願いしました。岡本さんが拍を意識して吸い、私がそれを繊細に聴けば姿が見えなくても合わせることが可能です。(バンドモニターさんの力も大きいです) また、

撮影: 細野晋司

この形を作るにあたって稽古場でも劇場でも緻密に調整が行われていました。

▶︎Planet Shumanet
台詞の直後にポンっとPf.+Bs.で出る必要があり、古田さんの台詞のリズムを感じながら指揮をすることに毎回集中していました。イントロでの台詞中、古田さんは2017年に自然発生した踊りをほんの微かに踊るときがありました。

▶︎コロンビア独白BGM
Science Fictionをピアノソロで。みなみちゃんに「私、台詞遅いですか?」と聞かれ、「いえ、ピアノで合わせるので自然なお芝居で良いですよ」と伝えました。「コロンビア、大丈夫、大丈夫よ…」と抱き締めるような気持ちで弾いています。

▶︎Elbow Sex
リフラフとマジェンタの高笑いと「この後どうなっちゃうの?」と思わせるような音で幕を一旦降ろします。幕が降りた直後のピアノArpeggioは「あとほんの少しだけ転換の時間がほしい」というオーダーで2017年に作ったもの。不穏な空気を纏ったまま、次に喋るナレーターの古典的な佇まいへ繋ぎます。

▶︎Floor Show
▷幕前のROLLYさん、幕裏のバンドとで息を合わせて曲を始めます。歌のニュアンスが流れてしまわないよう、バンドにはテンポの死守を心がけて頂きました。
▷ファンファーレで幕が開き、フランクの歌にピアノソロでついていく箇所は、私にとっての音楽を最大限に顕せる悦びの時間です。
▷フランクのスカートが落ちて翼が飛んでいくところ、音と照明か合うように私がキューを出すことになったのですが、「照明さん、そんなとこ(音入りのキュー)まで見てるのか!」と驚きました。
▷その後の狂宴では太古から継がれ続けてきた祝祭の只中にある幸福を味わいました。
▷最後のリフラフのソロ、楽譜に"Tchaikovsky"と書いてあり、ピアノ協奏曲のイメージで弾いています。

▶︎I'm Going Home
この曲のイントロもピアノソロ。低音を深く、中音域は柔らかにフランクを包み込むように弾きました。ポンプさんから「楽譜にあるから叩いてたけどハイハットない方がいい気がする」とご提案頂き、その結果ピアノとHOTORIさんのベースがよく馴染みました。

▶︎コロンビアの死 『アヴェ・マリア』
スローモーションのところで流れるBGMとしてカッチーニ(作ではないらしいが)のアヴェ・マリアを提案しました。河原さんの「『コロンビア』って歌ってほしい」とのご希望に添い、千栄さんに歌って頂きました。オルガンはおおくぼさん。

▶︎フランクの死
音楽が盛り上がるところは楽譜に 
"Rachmaninov" と書いてあり、Rachmaninov気分で弾きます。難しいコーラスをキャストの皆さんが頑張ってくださいました。

▶︎Space Ship
リフラフとマジェンタの台詞の後ろで 
"Let's do the Time Warp again" のフレーズをピアノで弾くのは誇らしい気持ちです。宇宙船が飛んだあとのバンドの演奏は楽譜にはなく、河原さんのご希望で2017年に作ったもの。ROLLYさんのギターがつくづくカッコいい。

▶︎Super Heros
冒頭ピアノソロ、Bassのライン一音一音に意味を見出し、この世の全ての苦しみに寄り添う気持ちで弾きました。曲の最後、ナレーターの台詞がのるところもじっくりクラシカルに弾きます。朝のサウンドチェックでここをやった時、岡本さんと武田さんがROLLYさんに表敬の拍手を送っていました。

▶︎Science Fiction (rep.)
「あぁ、終わっちゃう、好きな世界が行っちゃう、寂しいね」という曲(河原さん談)。音楽は寂寥を味わう側ではなく「行っちゃう」側、楽譜にもサラッとしたテンポの指示があります。途中で追加されるピアノは、皆が不安なく眠りにつくための天蓋となるような気分で弾きました。

撮影: 土田紘

次回はカーテンコールと大千穐楽についてです。

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