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先行連載「この国の不寛容の果てに」(雨宮処凛)

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9月刊予定の『この国の不寛容の果てにーー相模原事件と私たちの時代』から、雨宮処凛さんと各分野の識者の対話を一部抜粋でお届けします。
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この国の不寛容の果てに(最終回)植松被告がもしも「べてるの家」につながっていたら 向谷地生良(浦河べてるの家SW)×雨宮処凛

この国の不寛容の果てに(最終回)植松被告がもしも「べてるの家」につながっていたら 向谷地生良(浦河べてるの家SW)×雨宮処凛

好評『この国の不寛容の果てに』note連載もいよいよ最終回。ラストを飾るのは、雨宮処凛さんが「生きづらさ界の〈ラスボス〉」と呼ぶ、浦河べてるの家ソーシャルワーカーの向谷地生良さんです。書籍版へのご感想でも、最後のこの章に希望を感じた、という方が多くおられました。果たしてその中身とは?

依存症者に揉まれながら雨宮 浦河べてるの家(以下「べてる」)のことはずっと興味を抱いて本も読んできましたが、向谷

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この国の不寛容の果てに(5)みんなで我慢するのをやめて、ただ対話すればいい 森川すいめい(精神科医)×雨宮処凛

この国の不寛容の果てに(5)みんなで我慢するのをやめて、ただ対話すればいい 森川すいめい(精神科医)×雨宮処凛

いよいよ書籍版も発売!作家・雨宮処凛さんが「日本社会の不寛容さ」をめぐり対話するシリーズ。ホームレス状態の人への炊き出しや医療相談に取り組む精神科医・森川すいめいさんに「対話」の重要さを伺いました。

ホームレス支援から精神科医に雨宮 森川さんとは、年末年始に行われる炊き出しの現場などでいつもご一緒しています。もともとは、どういった経緯でホームレス状態の人の支援活動を始めたんですか。
森川 私の職

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この国の不寛容の果てに(4)ロスジェネ世代に強いられた「生存のための闘争」の物語 杉田俊介(批評家)×雨宮処凛

この国の不寛容の果てに(4)ロスジェネ世代に強いられた「生存のための闘争」の物語 杉田俊介(批評家)×雨宮処凛

相模原事件を入口に、現代日本を覆う「不寛容な空気」の実像を探求する連続対話シリーズ。第4回は、元障害者介助ヘルパーで『フリーターにとって「自由」とは何か』『ジョジョ論』などの著書がある批評家の杉田俊介さんとの対話です。

解決されないまま放置されたロスジェネ問題
雨宮 杉田さんとは、2000年代にロスジェネの反貧困運動の中で知り合って以来のお付き合いです。フリーターの労働問題と、障害というテーマを

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この国の不寛容の果てに(3)命を語るときこそ、ファクト重視で冷静な議論を 岩永直子(BuzzFeed Japan記者)×雨宮処凛

この国の不寛容の果てに(3)命を語るときこそ、ファクト重視で冷静な議論を 岩永直子(BuzzFeed Japan記者)×雨宮処凛

相模原事件を入口に、現代日本を覆う「不寛容な空気」を多面的に探求する対話シリーズ。第3回は、BuzzFeed Japanで医療や介護、生命倫理などのテーマを取材する記者の岩永直子さんと雨宮処凛さんが対話します。

「命は大切」では植松の論理に対抗できない雨宮 岩永さんは、ネットニュースサイトのBuzzFeed Japanで、障害や生命倫理に関する興味深い記事を多く手がけてらっしゃいます。相模原事件

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この国の不寛容の果てにー相模原事件と私たちの時代(2)熊谷晋一郎×雨宮処凛 「生産性」よりも「必要性」を堂々と語ろう

この国の不寛容の果てにー相模原事件と私たちの時代(2)熊谷晋一郎×雨宮処凛 「生産性」よりも「必要性」を堂々と語ろう

相模原障害者殺傷事件をめぐる、雨宮処凛さんと6人の論者の連続対話。第2回は、脳性麻痺当事者であり、小児科医・東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎さんとの対話です。

自立生活から「当事者研究」へ熊谷 私は生まれつき脳性麻痺という障害を持っています。脳性麻痺の中でも痙直型と呼ばれるもので、発話には支障がないのですが、常に身体が緊張していて思い通り動かせないという障害です。
私は1977

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この国の不寛容の果てにー相模原事件と私たちの時代(1)神戸金史×雨宮処凛

この国の不寛容の果てにー相模原事件と私たちの時代(1)神戸金史×雨宮処凛

あす7月26日で、相模原市の「津久井やまゆり園」で障害者19人が殺害された事件から3年。「障害者は不幸しか作らない」とした被告の主張は、日本社会に衝撃を与えました。
「生産性」で人の生死を決めるかのような価値観。実は、それはこの事件だけでなく、日本社会全体を覆う「空気」ではないのか。そんな問いを出発点に、作家・雨宮処凛さんが6人の識者と対話を重ねました。第1回は、ご自身も自閉症のお子さんを持つ、R

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