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デザインの小話 no.5 / オッカムの剃刀

デザインの小話とは

デザインの役に立ちそうな考え方や知識をつれづれに書いていくという実験的なそれです。続くかもしれないし続かないかもしれません。

オッカムの剃刀

オッカムの剃刀(Occam's razor)という言葉がある。元は神学とか哲学とかの言葉で「事柄を説明するために、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針のこと。

必要が無いなら多くのものを定立してはならない。少数の論理でよい場合は多数の論理を定立してはならない

不要な説明を削ぎ落とし、必要最小限の要素を用いることにより、より正確に物事を対象に伝えることができる、という主張。

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抽象度が比較的高い言葉ではあるが、デザインの文脈で適応するなら「物事の本質をよりよく正確に届けるには無駄に複雑性を高めるべきではない」という、言ってしまえば「Simple is best」的な考えとも言える。必要でないものは剃刀で削ぐ。

「形態は機能に従う」という言葉もあるが、同等の機能を有したいくつかのデザインがあるのであれば、より単純な形態を選べば、その機能の良さを対象に伝えることができる。

例えば検索することにおいて、YahooとGoogleではどちらが使いやすいか。初めて購入し使うパソコンとして家電量販店で売られているケーブルだらけのデスクトップPCとiMacがどちらが使いやすいか。

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形態だけではなく、デザイナーはユーザーが求める結果のためのプロセスを剃刀で綺麗に削ぐことを考えなければならない。

その入力フォームのパスワードを2回入力しなければならない必然性がある?アプリでマンガを読むために毎回ダイアログを消す動作は本当に必要なの?音楽を聞くためだけに、なぜ面倒なBlootoothの接続操作を毎回しなければならない?

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必要でなければ、削ぐことがユーザーの体験を高めることになる。ただし、必要以上に削いでしまうと逆効果どころかユーザー体験が無になってしまうので難しいところ、という話。




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