良いデザイナーは色を使うことに対して臆病で慎重、という話。

優れたデザイナーほど色を使うことに対して臆病で慎重です。

今回は特にデザイナーではない人に向けて、なぜデザイナーが色を使うことについて慎重なのか、色の与える印象と、アクセシビリティ的な観点の2点に絞って書いてみます。

色の与える印象・意味が強すぎる問題

デザインにおいて、色は、ほとんどの人が想像している以上に、人の認知機能に働きかけ、意味を持ってしまいます。機能に応じて、適切に用いられているのであればもちろん効果的で結構ですが、使い方が適切出ない場合、機能を損なうばかりか本質を誤認させることすらあります。

いくつか例をあげます。

赤は「情熱・力強さ・生命感」という印象を与えることができますが、同時に「警戒・危険」という印象を与えることがあり、また、赤は血を連想させることもあります。

オレンジはポジティブなイメージを多く持ち「活発さ・親しみやすさ・温かみ」という印象を与えますが、同時に「幼稚さ、洗練されていない、下品な」印象を与えることがあります。

緑は人の感じられる波長としては中間に位置し「安全・生命・若さ」を象徴する色ですが、緑を暗くしていった時には「不穏・腐敗・停滞」など、好ましくない印象を与えることすらあります。光の届かない苔むした森をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

他にも、紫の「高貴・死」、青の「信頼感・冷たさ」、茶の「暖かさ・野暮ったさ」、白の「清浄・空虚」、黒の「洗練・孤独」など、色は使い方によってポジティブにもネガティブにも作用します。

デザインを行う人にとっては、色は優秀な武器になりますが、取り扱いを誤ると、モノやコトの本質をユーザーから遠ざける結果になることもありますので、慎重な選択が求められます。

アクセシビリティ的な観点

また、本質的に重要な機能に、色による意味づけをすることは危険です。色はあくまで、ユーザーの理解や行動を「より良くするために」補助的に使われることが望ましいと考えます。

色だけに機能を依存させてはいけない、ということです。

色覚異常という、程度の差はあるものの特定の色相を判別しづらい人がいます。男性に多く、日本人では5%程度、北欧・フランスでは10%までいるそうです。

複数の色に重要な機能を持たせてしまった場合、一定のユーザーに不便を与えてしまうことがあります。

車の路線図などで路線ごとに色分けをしているものがありますが

それを全てグレーで表現したときに、路線図として機能しているかを考える必要があります。

多数の人にとって色による機能づけは有用ですが、無彩色の状態で情報の強弱・整理が一見してわかるように、優れたデザイナーは気を使います。

複雑に絡まり合った情報を、適切に多くの人に伝えるために、構成やレイアウトで十分に情報の伝達ができると判断をした上で、色は補助的に使われるものであり、色に機能を持たせるのは、それらを検討した後にするのが望ましいでしょう。

まとめ

色をたくさん使ったデザインは華やかで、目的に合っている場合は問題ないのですが、意図せずになんとなく色を取り扱うのは、デザインの目的を見失うことがあります。

だから、僕たちデザイナーは色を使うのに臆病で慎重なのです。



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Hiromichi Takeo

デザインと無

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