日記 7/19 ルックバック 週刊リンス①

藤本タツキ新作読切「ルックバック」を読んだ。
藤野と京本が学年新聞に漫画を載せてたのを見て、自分も小学校4,5年生くらいの頃にクラス内で漫画を連載していたことを思い出したから、それについて書く。(といっても5話くらいだったと思う)

掲載していた雑誌の名前は「週刊リンス」で、創刊者は僕ではなくS君という男の子だった。名前の由来は、週刊ジャンプ→週刊シャンプー→週刊リンス、ということらしい。当時の僕はシャンプーとリンスを分けて使う概念がなかったのであまりピンと来てなかったが、小学生にしてはジジくさいセンスをした男だったなと今となっては思う。

僕はその雑誌で、「鉄腕アツム」と、「モムモム」という幽霊が出てきて活躍する漫画(タイトル不明)の2作を同時連載していた。黎明期の雑誌での筆が速い作者の同時連載はあるあるである。
「鉄腕アツム」は簡単で、「鉄腕アトム」と「あつむ」という友人の名前をかけたタイトルだ(週刊リンスを笑えない)。ギャグ漫画で、たしかこっちの方が人気だった。

1話の冒頭だけなんとなく覚えている。アツムが空を飛びながら「やあ!僕はアツム!この漫画の主人公で」とまで言ったところで鳥に大ゴマで激突する。(効果音の代わりに、「げきとつ」だか書いてた気がする)次のページで包帯を顔にぐるぐる巻きにしたアツムがまた空を飛んでおり、「気を取り直して、僕が」まで言ったところで今度はUFOに激突する。
こんな感じのくだりを数回やって1話が終わるのだが、これがめちゃめちゃウケたことを覚えている。
天丼の力ってすごい。

幽霊の漫画についてはほぼ覚えていないが、幽霊の名前が「モムモム」だった。
「いやお前、「悪魔のメムメムちゃん」に引っ張られて記憶違いしてるだろ」と思うかもしれないが、それは絶対にないのだ。この名前になった経緯まで覚えている。(というか、たった今思い出した)

当時、学校ではテレビ東京「ピラメキーノ」の1コーナー「辞書めっこ」が流行っていた。知らない人のためにゲームの内容を軽く説明する。これは1対1の対戦型ゲームで、それぞれが攻撃・防御側に分かれる。攻撃側は国語辞典を持ち、防御側はリコーダーを口にくわえる。
国語辞典を適当に開いた攻撃側は、その見開きの中で「最も面白い単語」を言う。リコーダーをくわえている防御側がそれに笑ってしまい、音が出たら負けである。

このゲームをS君とよくやっていたのだが、まあゲームの性質上、なかなかリコーダーは鳴らない。単語だけで人を笑わせるのはかなり難しい。
ある日攻撃側のS君が放った言葉が、

「もむ」

だった。

めちゃめちゃ笑った。もちろんリコーダーから音は出たし、途中から音を出してるのもなんだかわざとらしくなって口から外し手を叩いて笑った。「もむ」って。
今までも「パンツ」みたいな下ネタ寄りのワードが何度か出てきたことはあったが、さすがに小学校高学年、ちんちんの毛が生えてくるとどストレートな猥語ではなかなか笑わない。しかし「もむ」。多くを語らない、しかし確かにそこに香るエロス。ま行のねっとりした感じ、あの時の僕らにとって全てが完璧だった。僕らはひとしきり笑い、これ以上が出ないことをなんとなく理解して、それ以降辞書めっこはやらなくなった。

この時の「もむ」が面白すぎて、幽霊の名前は「モムモム」になった。

S君の描いていた漫画も個性があって面白かったのだが、1,500文字近くになってきたので今日はここで終わる。
以上が僕のルックバックの感想である。

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