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鋭利な刃物のような心を持つキレキレくん

世の中のルールや常識に縛られず、危険なことに夢中になる人がいます。
具体的にいうと、スリリングな生き方が好きで、大切なものを守る平穏無事な生き方をする人(家族を愛する人・会社に忠誠を尽くす人など)を嘲笑う傾向があり、自ら進んで命知らずのジェットコースター人生を選ぼうとする人です。
そんな人を、ここでは「キレキレくん」と呼ぶことにします。

キレキレくんが持つ「キレキレ度」には、かなりの濃淡があります。
淡いキレキレ度であれば、勇猛果敢なチャレンジャーとして能力を発揮。
前人未到の地を切り開く、探究心旺盛で冒険好きな研究者、クリエーター、事業家など、多方面で活躍することでしょう。
ところが、濃いキレキレ度となると一転。
サディスティックな面が強調され、危うさを感じさせるようになります。
今回は、この濃いキレキレくんについて解説していきたいと思います。

濃いキレキレくんは、基本的に情に流されることはありません。
正義の立場に立って戦おうとする人もいますが、基本的には人を守りたいわけではなく、ハラハラ・ドキドキする危険な冒険が好きなのです。

まるで鋭利な刃物のような心を持つキレキレくんは、人を冷酷に扱うことに心が痛むことはありません。
自分が下した決断によって誰かが苦しもうと、心のどこかで「知ったこっちゃない」と思っている節があるのです。

時には人情味を感じさせることもありますが、どちらかといえば共感性が乏しく、思いやりに欠けた面が目立ちます。
キレキレくんは、なぜこのようなサディスティックな性格になったのでしょう。
それには、理由があります。

否定され続けた幼い過去

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キレキレくんは、幼い頃からずっと否定され続けてきた過去を持ちます。
大抵の場合、落ち着きがなく、いたずらばかりする子どもで、よく叱られていたというエピソードを持ちます。

無知な大人たちは、そんなキレキレくんを「困った子だ」「将来が心配だ」といい、怒鳴ったり叩いたりして力づくで矯正しようとしたのです。
それは、子どもにとって逃げ場のない、大変過酷な環境。
それでも、生き延びなくてはならなかったキレキレくんは、命と引き換えに、代償として、心の中に深い自己否定感を刻み、同時に、根深い人間不信を抱くようになったのです。

ですから、大人になった後も、自分を傷つけた者たちへの復讐に近い感情を持ち続けており、自分に向けられたほんの少しの反抗や否定、批判を見逃すことはありません。
また、相手の度量を図るために、わざと挑発的な言動を見せて、こちらが冷静ではいられなくするように仕掛けてきたり、全てを見透かしているかのような態度で相手の感情を揺さぶり、その後どういう態度を取るのかを試してくることもあります。
そして、最後は多くの人が耐えきれず、音をあげて逃げ出すか、大きな痛手を負って去ることになるのです。

命には限りがあると感じられた時に何かが起こる

祈り

そんな危険な匂いを漂わせて生きているキレキレくんですが、永遠に変わることがないかというと、そうではありません。
人生を重ねていくうちに、大きな転機を迎えることもあります。

それは、人との出会いであり、大きな喪失体験がきっかけとなることが多いです。
例えば、全てを受け入れてくれる人との出会いであったり、また、命には限りがあることを痛切に感じる体験であったり。

結局のところ、人は全てを受け入れてもらい、認めてもらう体験無くしては、信頼を手にすることはできないのです。
そして、誰もが人との信頼関係を求め、生きている。
つまり、信頼とは、相手を無条件で受容することを基礎とし、受容とは、掛け値なしで愛された記憶が支えているのです。
信頼できる人を手にするためには、愛されたという記憶を呼び覚ますことなのです。

人生の早い段階で「人間とは信頼に値するものだ」と思うことにつまづいてしまったキレキレくんですが、「実は愛されていた」「大切にされていた」記憶の断片を見つけることができれば、人生は大きく変わっていくことになります。

この世に生まれてきて、信頼できる人との関係を求めない人はいません。
そして、人によって傷つけられたものは、人の力で癒すしかないのです。

キレキレくんが、人生の転機を迎えるとしたら、それは心から愛する人を持てた時でしょう。
その時は、きっと危険な人生の賭けから降りるでしょうし、ゆっくりと時間をかけて深い愛と癒しが心に浸透していくことに安らぎを感じ、心の満たされ方が大きく変わっていくことになるのだろうと思います。

人間には、最後まで大きな可能性が秘められていると信じています。
その可能性が動き出すためには、信じる側の「強さ」が試されるのかも知れません。
キレキレくんの存在を思うと、どうか心から安らぎを感じられる時が訪れますように…と願わずにはいられません。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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