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視座の高さが違えば噛み合わない

いくら話しても平行線。
一向に話が噛み合わない。

こんな経験をしたことはありませんか?
これは「視座」の高さが違うため、同じ景色を見ているようで、見えている世界が全く違うことが原因で起こったりします。

見えているものが違う

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相手が同じ子育て仲間であっても、また、一緒に暮らしている夫婦であっても、同じ課題に取り組んでいる仕事の仲間であっても、視座の高さが違えば、見ている景色は違うのです。
なので、噛み合わないことは、よくあることなのです。
だからこそたくさん関わって、相手を知ろうとするのかもしれません。

「相手を知る」ということは、同時に「自分を知ろうとする」ことでもあります。
「こういう言い方は自分は好きじゃないな」とか、「こんな事情があったなら仕方がないことかもしれないな」とか。
自分が何が好きで、何が苦手で、何が許せないと考えるのか。
自分の判断軸を知ることは、相手の判断軸に無理して合わせるのではなく「なるほどね、ここが違うんだな」と感情を揺らすことなく、単に違いを見つけて、関わり方を変化させればいいことを覚えていくことなのです。
このことを知っていると、人間関係の苦しさが少しずつ変化してくるかもしれません。

視座が違うとこんなに違う!

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例えば、実家の母親との折り合いが、うまくいかないことに苦しんでいる女性がいたとしましょう。
ある人は「身につまされる」といい、また、ある人は「いい歳して何をわがまま言っているんだ」とお説教が始まります。

これほどまでに、対応に差が生まれるのには、理由があります。
それは、相手がこれまで経験し、背負って来たものが、見る人によって、それぞれ全く違うように見えるからなのです。

幸せな環境で育った人は「年老いた親には感謝をするものだ」「老い先短い親に孝行するのが子どもの役割だ」と信じていて疑うことがありません。でもそれは、「大人は子どもを守り、苦労しながらも大切に育てているのだから」ということが前提となっています。

ところが、「家族」とはそれほど安全な場所ではなく、特に子どもにとっては、逃げ場のない危険な場所となることもある、ということを知っている人は、早急な断定的な判断は大変危険だと考えます。万が一誤った判断をしてしまった場合、相手に与えるダメージは大きいため、念入りに情報を集め、いろんな角度から検証を繰り返します。

見えているものが違うと、考える手順も違ってくる

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この例でいえば、安易に自分の経験から断定するのは危険だと考えます。自分が見えている景色だけで、親への感謝を強いてしまうと、感謝できないことに対して罪悪感を膨らませ、追い詰めてしまうことだってあると考えるのです。

例えば、自分の視座の高さによって、見えるものが違えば、判断も180度変わってしまうことだってある。その結果、不用意な助言は、相手をかえって追い詰めてしまうと考えるのです。

また、自分が見ている世界は、思っている以上に、小さくて狭い。だから、事実を正しく読み解くためには、念入りに情報を集めなくてはいけないと考えます。

そのためには、今起こっている事態に目を奪われるのではなく、そうなるに至ったこれまでの経緯を、深く深く知りにいく必要があると考えるのです。
そして、自分を相手に置き換えてみて、見える景色を想像してみたりします。

これは、何も専門知識を持つ人でないとできないものではありません。
むしろ、専門家であるが故に、知識を使った分析や観察に偏ってしまい、相手の心に寄り添うことが難しくなることだってあります。

人の心を癒し、力を与えるのは、理屈だけでは限界があり、感情を共鳴させることが何より大切。人は「わかるわかる」「それは辛かったね」と受容され、「自分の辛い気持ちをわかってもらえた」と感じられると、もっと難しい課題に挑戦し、勇気を奮い立たせて前進しようとするところがあるからです。

この女性のケースでいえば、安易に親への感謝を強いてしまうと、感謝できないことに対して罪悪感を膨らませ、追い詰めてしまうこともある、という危険性を察知することが前提となります。

双方が関係悪化に関与

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人間関係の問題は、一方だけに原因があるのでなく、必ず双方向のやりとりの結果、生まれてくるもので、傷つける言葉を投げかける人にも、そして、それに対してNO!を言えずに耐え続けてしまう人にも、課題があるのです。
そして、双方が関係の悪化に関わっていることがほとんどなのです。

視座の高さが違えば、見えているものが違うので、噛み合わないことが起こるのは当然です。でも、視座を高めれば、見える世界が一変し、許容できる範囲が一気に広がることもあります。

そもそも、自分の考えていること、感じていることは正しい、と思いたいのが人間です。だとしたら、ピンチはチャンス!自分の視野を広げる、視座を高くする、絶好のチャンスになります。そして、噛み合わない価値観も、面白がれるようになるかもしれません。

「この人の視座はどのあたりだろう?」と思いながら話せるようになれば、本来、人は噛み合わないのが普通で、「そうだよね!」と合意できるところを探しながら作っていくのが人間関係だと思えるようになるかもしれない。
そうなったら、今よりもっと、自分に優しくなれるかも。
ぜひ、たくさんの方がそうなって欲しいなと思います。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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