見出し画像

深澤直人さんの「デザインの輪郭」を読んで

少し間が空いてしまいましたが深澤さんの本を読んだので感想をまとめました。この本を読んだきっかけは深澤さんの展示に行った際に、一体どのようなことを考えてデザインをしているのか気になったからです。

例によってこちらのフォーマットに則って感想をまとめています。


この本の概要をまとめると?

深澤さんの感覚的で観念的な言葉の羅列を集めることで何かしらの固まりとなり輪郭が成すのではという前提のもと、深澤さんのデザイン観がふんわりわかる本です。

この本から得た学びは何か?その学びをどう活かせそうか?

・ワークショップでのひとつめの課題「オブザベーション(観察)」にて、自分のユニークな視点で行為に対してたくさん記述しているのに、次にデザインをする段階になると、デザインの前提を変え、勝手なストーリーを作り、理屈を語り始めるという。
→このデザインの前提を変えてストーリーをつくるということが、大学の授業などでとても多かったように感じます。(以前の私のnoteにも記載してます。)これはとても独りよがりで、デザインではないのでは?ということを頭に置いておきたいです。 

・それらのワークショップで作られたものの中でも、素敵なアイデアのものはテーブルに乗ったときから既に輝きを放っている。
→つまり作品そのものに価値があると理屈や説明がなくともすぐにみんなわかるということ。この体験はもちろん私にもあるのでとても納得です。
ただその作品のターゲットでない人などは、説明が必要な場合もあると考えているので、当たり前ですが説明をする練習はこれからも続けていこうと思いました。

・付加価値を求める人の期待に応えようとすると、ふつうのことをやるひとがいなくなる。付加されていることは必ずしも価値ではない。ふつうということはありふれたという意味でなく、本当はいいもの。その感触を忘れた日本人が増えている。
→ふつうのものを出した時に、依頼した側がデザインやってないじゃんと思うことは多いと思います。そして「ふつう」という言葉がネガティブに使用されがちということも共感しました。自分に仕事に生かす時には、付加価値を無意味にはつけない勇気をもちたいと思いました。

・デザイナーは語る必要はない。ものが語ればいい。
→ものが語るくらい魂を込めたものを作ることができたらいいなと感じます。
 現時点ではまだまだです・・・

・デザイナーによっては何案もスケッチを見せてその中から選んでもらおうとする。それは輪郭を見出すのではなく、星屑の中にさらに星のような要因を増やすだけで、あまりいいやり方とはいえない。なぜならその場合は、具体的なイメージがないまま、ただ空を眺めているだけだから。
・依頼主が喜ぶことだけを目的にデザインをしてはいけない。
デザイナーは多くの選択肢を提示しその中から彼らの好みにあったものを
絞り込んでいくというやり方をする。そのやり方は一見心地よいやり方に見えるが、結局、似たようなものを生み出すことにしかならない。
→例え方が非常にうまいなと感じました。
デザインをどう提案していくかについて考えることが多いのですが、上記のやり方はあくまで仕事がスムーズにいくための手段であり、本当に良いデザインを作るためではないのだと感じます。
依頼主が見えないものを見えるようにするために、前提条件の整えに時間をかけたりなどのナビゲーションが必要だと感じます。

・デザインはアイデアとエクスキューション(出来栄え)の両方が揃ってできる。
→昔から私はアイデアを出すのは得意なのですが、着地させることが苦手と思っていたので、なるほどと思いました。作品を作る時もある程度の出来栄えが担保できそうなアイデアを使用するという逆算で考えることが多いので、どんなアイデアでも形にできるよと言える人になりたいと思いました。


何に1番驚いたか?

・最近読んでいた水野学さんと「ふつう」の大切さを語っているという共通点があり驚きました。


この本から得た深めるべき問いはなにか?

・深澤さんはよいプロダクトを作るということにかなり注力していると思います。その考え方は同意しますし、私も良いものを作りたいととても思います。
しかし仕事には予算や納期や他の案件との兼ね合いやクライアントの強い意向があったりして、自分の仕事全てが胸を張って良いもの作れたといえるものではないです。良い仕事とはどういうことで、自分はどういう仕事がしたいんだろうと思います。

読書メモを紛失してしまい、書くのにえらい時間がかかってしまいました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?