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新体操で食っていけるか?/Yes, we can.

バク転パーソナル教室 墨田店がオープンするということで、見学に行ってきた。田中啓介さん、織田一明さん、早川一矢さん、窪田宗一郎さんという、新体操ファン的には見逃せない超豪華メンバーがパフォーマンスをするというし、一度噂の「バク転パーソナル教室」を見てみたかったのだ。

青森山田高校・青森大学で団体選手として活躍した谷俊太朗さんが作ったバク転パーソナル教室は、バク転のコーチングに特化し、破竹の勢いで拡張している。その様子を見ていると、「新体操選手たちが持っているスキルが市場価値を持つ」というシンプルな事実に嬉しくなる。

「新体操では食っていけない」が、この世界の常識だった。それがどうだろう。広い体育館や高価な設備はない。しかし一般の人々を対象に(つまり誰でも顧客になりうる潜在可能性を持ち)、子供から大人まで、あらゆる人々が楽しそうに体を動かす空間が存在していた。

指導を受けていたのは、小学生の子供達だったり、若い女性だったりした。「私でもできますか?」と見学に来ていた中年の女性が尋ねると、「60歳以上の方もいますよ!」と講師が明るく答える。ああ、なんて素晴らしい空間。文字通り手取り足取り、背中を支えてくれたり映像を見せてくれたり、言葉で語ったりしながら優しく教えてくれる人たちが、そこにはいた。

私は子供の頃、体育全般が苦手であった。最悪な思い出がある。中学の体育の授業で、教師が突然「ハンドスプリングのテストをやる!」と言い出し、生徒の習熟度にかかわらず、その技をやらされた。もちろん運動オンチの自分にできるわけもなく、背中をしたたかに打ち、クラス全員の前で無様な姿を晒して終わった。

だから、体育はキライだった。体育の先生もキライだった。(不幸なことに、私が出会った体育の先生は高圧的で怖い喋り方をする人が多かった…😭)どうすればそれができるようになるか説明なんてしてくれない。ただ「やれ!」と言うだけ…恨みは深し、体育そしてマット運動😅(新体操を経験して体育の先生になった方々ならば、倒立もできない生徒には「開脚前転でもいいよ」と言ってくれると信じています)

自分が子供の頃、近所にこの教室があればどんなによかっただろう。ちゃんと言葉で説明してくれ、見本を見せてくれ、怖くないようサポートしてくれる先生がいたら、どんなに救われたことだろう。

私が中学生だった頃から何十年も経つが、学校の体育に少人数の習熟度別クラスが導入された気配はない。おそらく、昔の私同様の悩みを持つ子供たちも多かろう。谷さんは「バク転で人生を豊かに!」とおっしゃっているが、それは決して大げさなキャッチフレーズではないと思う。

タイトルの話に戻る。新体操選手が進路を選ぶ時、「新体操で食っていけるのか?」という問いを避けては通れない。特に大学を選ぶ時、就職活動をする時、本人も家族もそれを真剣に考えるだろう。谷さん、そしてバク転パーソナル教室の講師たちは、その問いに「Yes, we can.」という明確な答えを提示している。

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