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10年ぶりの早期流行!!インフルエンザにかかったらまずどうする?薬剤師なりに本気で考える対処法とは?

ハイライト
・2019年は2009年以来10年ぶりにインフルエンザが早期流行に突入。
・タミフルやゾフルーザはやはり必須の薬剤だが、隙がある
・漢方は緊急かつ病院に行けない状態で使える
・水分摂取にはコツがある
・食べることがインフルエンザに有効である理由


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まさかの10月に早期流行宣言!

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まだ10月に入ったばかりなのにも関わらず、今年は2009年以降、10年ぶりの早期流行が宣言されました。沖縄県を中心に、九州各地、石川県・高知県で既に流行入りを見せているインフルエンザ。対策はもう万全ですか??


急激に発症し、38以上の高熱を特徴とするインフルエンザ。だるさや関節の痛みが激しく始まり、強い咳が出てきます。インフルエンザによって体力がボコボコにされると、他の細菌にも感染してくるため、のどの痛みや鼻水・鼻づまりなども出てきます。こういった二次発症が原因で肺炎となり死亡に至るケースもあるため、決して油断はできない感染症です。

高齢者や子どもなど年齢的に免疫力が弱いヒトはもちろん、妊娠中や肥満の方などの場合は危険な状態になりやすいので、厳重な注意が必要です。

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1日で治ることはほとんどなく、5日程度はこれだけツラい症状が続きます。


今回は、”インフルエンザにかかった時、薬剤師である僕が真っ先に試す”行動を紹介していきます。これさえ知っておけば、インフルエンザになって何が良いのか考えるのも面倒な状況の時に、わざわざリサーチをする必要もなく、手っ取り早く”正解”にたどり着くことが出来ます。


フィニッシュブローは最初に決めろ!

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インフルエンザを早く治したいなら、処方薬は必須です。

インフルエンザに対する治療を行う場合、病院でもらえる薬が一番有効なのは純然たる事実です。38度以上の高熱や、ふしぶしの痛みなどを感じたらすぐに病院で薬を処方してもらうのが、最もインフルエンザにかかっている時間を短くするために有効です。

現在、メインで使われる抗インフルエンザ薬は主に4つ。

・タミフル(カプセル)
・イナビル(吸入)
・ラピアクタ(点滴)
・ゾフルーザ(錠剤)

これらの薬でインフルエンザを治療していくわけですが、注意してほしいことが一つ。これらの薬はインフルエンザにかかっている”期間を短くする”効果はあるものの、飲んだ瞬間から治るような劇的な効果はありません。

薬を飲まない時 = 完治に4~6日かかる

薬を飲んだ時 = 完治に2.5~3日で済む

というのが、臨床試験の成績。”薬を飲むことでインフルエンザにかかっている時間が20~30時間程減少する”というのが正しい理解です。

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多くのインフルエンザ薬は、ウイルスを殺す効果はなく、あくまでウイルスをそれ以上増やさない効果しかない為、飲むのは早い方が効果的です。かかってから2日以内に飲まないと効果が無いともいわれています。

したがって、病院早く行け!はインフルエンザを早く治すうえでとっても正しい意見です。


どうしても病院に行けない時に飲むべき薬

これは麻黄湯という漢方です。病院に行けるなら絶対に抗インフルエンザ薬を処方してもらった方が良いのですが、どうしても仕事を休ませてくれないなど、いけない場合もあるでしょう。

そんなときは、麻黄湯をお勧めします。この漢方、初期のインフルエンザに有効だと言われています。まだまだ不完全ではあるものの、それを証明する研究(*1)も出てきています。抗インフルエンザ薬との併用に関する研究もされており、非常に興味深い薬です。

注意としては虚弱体質で体力がないような人や、妊婦・高齢者・心臓病の方には使えない事。

私はコレを1つ家に常備しておいて、インフルエンザかどうかよくわからないけど、高熱を伴う風邪をひいたときはコレを飲むようにしています。(高熱が続いたら病院へ)


サプリで使うようにしているもの

インフルエンザ感染によるデータはないものの、亜鉛トローチは”普通の風邪”にかかっている期間を33%程減少させるという研究データ(*2)が示されているというのがポイント。私はコレを1日3錠~4錠を目安に使うようにしています。

ビタミンCの服用では風邪の長さが8%減少する(*3)ともいわれているのですが、ビタミンCは効果がないとする論文もあり微妙な所。どちらにせよ、↑の亜鉛トローチの中にビタミンCも含まれているので、私の風邪対策はこのサプリがメイン。これは常備品です。

インフルエンザに効くというエビデンスは無いので、インフルエンザかどうかわからないけど、発熱があり風邪は確実。という段階で使うようにしています。


水分摂取のコツ

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インフルエンザは脱水を引き起こす病気です。強い発熱があり、汗などによって失われる水分が増えますし、食欲が失せるため、普段食べ物から摂取する水分が上手く吸収されません。

したがって、水分補給が必須です。

と、いう事は誰でも知っていますが、どのように摂取すればいいかは知らない人も多いでしょう。

・OS-1などの傾向補水液なら常温が良いです。
・お茶やスープでとる場合は温かいものが良いでしょう。

蒸気を鼻から吸い込むことは粘膜を湿らせます。

さらに、温かい液体は鼻粘液の速度を増加させ、細菌の排出を促すことで二次感染のリスクを減らすことが出来ます。冷たい液体は、逆に鼻粘液の速度を減らし、細菌の排出を抑制してしまうため、避けた方が良いでしょう。


ご飯は意地でも食べる

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ヒトの栄養状態とインフルエンザウイルスの関係については未知の部分が多く、まだまだ研究途上です。

しかし、マウスを対象にした実験があります。

この実験では、栄養をしっかり補給したマウスはインフルエンザに感染しても死亡しなかったのに対して、糖分をカットしたマウスでは死亡してしまいました。

したがって、糖分がウイルスに抵抗する為に重要な栄養素である可能性が高いと考えられます。消化のいいおかゆでも、ウイダーインゼリーでも、なんでも良いので糖分をしっかり補給することが、現段階で分かっている証拠から考えて重要だと思います。

糖質制限とかしてる場合じゃないですよ!


その他:常識的な予防法について

当たり前のことですが、インフルエンザにかかる前に予防できればそれに越したことはありません。

・通勤が満員電車
・職場にインフルエンザの人がいる
・病院に行った

など、感染の可能性があるときは絶対に、”手洗い・うがい”をすることは徹底するべきです。医療の現場でも手洗いはスタンダードプリコーションと呼ばれ、患者と医療従事者を互いに守るために非常に重視される項目です。

消毒用アルコールを使うことも有効ですが、ノロウイルスなど一部のインフルエンザ以外のウイルスに対してアルコールがあまり有効ではないことが示されている為、しっかりとした手洗いがベストかと思われます。

指の間や爪の間などは特に洗い残しが多いので注意しましょう。



引用

1.Yoshino, Tetsuhiro, et al. "The use of maoto (Ma-Huang-Tang), a traditional Japanese Kampo medicine, to alleviate flu symptoms: a systematic review and meta-analysis." BMC complementary and alternative medicine 19.1 (2019): 68.

2.Hemilä, Harri. "Zinc lozenges and the common cold: a meta-analysis comparing zinc acetate and zinc gluconate, and the role of zinc dosage." JRSM open 8.5 (2017): 2054270417694291.

3.Hemilä, Harri, and Elizabeth Chalker. "Vitamin C for preventing and treating the common cold." Cochrane database of systematic reviews 1 (2013).

4.Wang, Andrew, et al. "Opposing effects of fasting metabolism on tissue tolerance in bacterial and viral inflammation." Cell 166.6 (2016): 1512-1525.

https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/tam/cap/if/doc/tam_if.pdf

http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340018_6250047F1022_1_004_1F.pdf



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