シフトワーカーがコーヒーを

コーヒーを眠気覚ましとして使う時に気を付けるべき3つのポイント

 コーヒーには一時的に疲れを吹き飛ばす効果がありますが、睡眠時間を減少させるので眠気覚ましに使っていると、今度は眠れなくなります。高齢ならなおさら睡眠時間が減少します。

 病院や老人ホーム、24時間勤務のコンビニ、マンガ喫茶、工場で働くヒトは3交代制の人が多い。深夜手当は基本給の25%増と法律で決まっているので、お金の面では少しは優遇されます。

 しかし、夜勤勤務者は平均睡眠時間が5時間51分間というデータがあります。健康的な睡眠時間は7時間くらいですから、全然足りていません。当然、眠くなりますし疲れるんです。コーヒーやエナジードリンクなどのカフェイン飲料を眠気覚ましや疲労回復のために使う人も多いです。

 今回は、過去50年に渡るコーヒーと睡眠に関する研究をまとめ、夜勤勤務者にとってコーヒーを眠気覚ましとして使うべきか否かをまとめます。

 ・夜勤勤務者の為のコーヒーのメリット。
 ・夜勤勤務者の為のコーヒーのデメリット。
 ・どんな時、コーヒーを使うべき/使わないべきなのか?

を詳しく解説していきます。

 シフトワーカーに限らず、コーヒーを眠気覚ましに使って一夜漬けで勉強をしようとしている人や、プレゼンを何とか乗り切ろうとしている人、締め切りが近いヒトには必見の内容ですよ!


コーヒーを眠気覚ましとして使うメリット

1.コーヒーは眠気覚ましとして、反応時間を1割引き上げる。

 コーヒーは脳の加速剤です。コーヒーを飲んでもらったグループでは、物事に気付いて反応するスピードが約10%早くなりました。

 脳の反応時間は仕事のパフォーマンスに直接影響します。『注意力』と言った方が分かりやすいでしょうか?

 ただし、注意しなければいけない点として、睡眠不足状態でコーヒーを使うと逆にパフォーマンスが落ちると考えられています。注意力が過剰に高まるので、「余計な事」をしてしまうリスクが3.4倍増えると言われています。いわゆるケアレスミスが増えるのです。

 したがって、いつも充分に睡眠時間を確保しているけど、今日だけはどうしても頑張らなくてはいけないという人にはコーヒーを眠気覚ましに使うのは非常に適しています。クレバーな方法です。

 逆に、いつも眠れていない人が使うと、ケアレスミスが爆増するのでむしろ使わない方が良いかもしれません。ミスで重大事故になりやすい人はコーヒーもエナジードリンクも眠眠打破も使わない方が良いです。


2.コーヒーは眠気覚ましとして、150分に渡って疲労を軽減する。

 トラック運転手に協力してもらった実験では、カフェイン飲料を飲むことで、飲まないグループに比べて、150分に渡って単調な田舎道でも車線をずれることなく運転を続けることが出来ました。

 単調な仕事のパフォーマンスはカフェイン飲料によって改善することが出来ることが分かります。でもこれは、仮眠を挟むことが前提になっています。ぶっ続けで起きてると著しくパフォーマンスは低下するので、こまめに休憩や仮眠を挟みましょう。


コーヒーを眠気覚ましとして使うデメリット

コーヒーは睡眠時間を30~60分減少させる。

 18~65歳の72人の参加者を雇って行った3日に渡る実験では、コーヒーを飲んでもらったグループは、飲んでいないグループに比べて睡眠時間が少なくなりました。

・1日目=平均33分減少
・2日目=平均60分減少
・3日目=平均36分減少

 結果にばらつきがありますが、だいたい30~60分に渡って睡眠時間が減少することになります。

 この結果は夜勤勤務者に行った実験ではないですが、夜勤の人の平均睡眠時間が5時間51分間ですから、30分以上睡眠時間が減るのは危険としか言いようがありません。疲労の回復は遅くなりますし、睡眠不足は単純にパフォーマンスを下げます。うつ病などのメンタル障害が発生する可能性も跳ね上がります。継続的なコーヒーやカフェイン飲料の使用は避けるべきでしょう。

 通説通り、夜にコーヒーを飲むのは良い手段ではないのです。夜眠れなくなる確率は年を取るとより高まることが分かってきているので、40代を超えたあたりからより注意が必要です。


3つのポイントから眠気覚ましにコーヒーを使うべきかを考える。

ポイントをまとめましょう。

 ・コーヒーやカフェイン飲料を使えば、パフォーマンスが上昇
 ・睡眠が充分な時以外は、ケアレスミスが増える可能性アリ。
 ・夜に飲むと睡眠時間は30~60分減少する可能性アリ。

 3つのポイントから考えると、コーヒーの効果を最大限発揮できるのはしっかり眠れているときだけです。眠れていない時や、夜に継続的に飲むと睡眠時間が短くなります。それが原因でうつ病などのメンタル障害を発生させてしまう可能性が高くなることが考えられます。

 したがって、どうしてもその日頑張らなくてはいけない日以外は、眠気覚ましとしてコーヒーを飲むのはやめた方が良いでしょう。


 疲労を最大に回復し、パフォーマンスを上げる方法は『仮眠』です。
NASA,Google,Appleなどの世界の一流企業が推奨する方法が仮眠です。
仮眠をする習慣を身につけることで、慢性的な疲労感を取ることができます。パフォーマンスも上がり、学習効果も高まることが分かっています。
仮眠をスキルとして使えるようになると時間を有効に活用することが出来るようになります。

 慢性的な疲労や睡眠不足に陥っている人は仮眠のスキルを身につける方がコーヒーやカフェイン飲料に頼るより効果的ですよ。

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 表紙はちょっとダサいですが、Amazonで仮眠系の書籍を探すと必ず遭遇する坪田聡Dr.の書籍です。ふとんクリーナーで有名なレイコップブランドの睡眠コラムで記事を提供していることでも有名な彼による効率的な仮眠の伝授法は見ておいても損はないかと思います。


 睡眠不足がもたらす身体への悪影響はnoteに以前まとめてあるので、コチラをご覧ください。


引用
1.Schweitzer, Paula K., et al. "Laboratory and field studies of naps and caffeine as practical countermeasures for sleep-wake problems associated with night work." Sleep 29.1 (2006): 39-50.

2.Ronen, Adi, Tal Oron-Gilad, and Pnina Gershon. "The combination of short rest and energy drink consumption as fatigue countermeasures during a prolonged drive of professional truck drivers." Journal of safety research 49 (2014): 39-e1.
3.Kamimori, Gary H., et al. "Caffeine improves reaction time, vigilance and logical reasoning during extended periods with restricted opportunities for sleep." Psychopharmacology 232.12 (2015): 2031-2042.
4.Temple, Jennifer L., et al. "Systematic review and meta-analysis of the effects of caffeine in fatigued shift workers: implications for Emergency Medical Services personnel." Prehospital emergency care 22.sup1 (2018): 37-46.
5.Clark, Ian, and Hans Peter Landolt. "Coffee, caffeine, and sleep: A systematic review of epidemiological studies and randomized controlled trials." Sleep medicine reviews 31 (2017): 70-78.

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