考えすぎ

考えすぎる癖を止める、シンプルな方法。

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アナタは1日にどのくらいの時間、考えますか?

おそらく皆さん「1日に考える時間なんか、考えたことはない」と答えるでしょう。おかしいですよね、1日たくさんの時間を考える時間に使っているのに、その時間をどのくらい消費しているかなんて考えたことがないんです。ほとんどの人が。私ももちろんその1人でした。でも、この方法を知ってからは、”時間の浪費、減りました”

考えすぎたって良いことはあまりありません。

・あの時、余計なことしたかな...
・あの時言われたのって、褒めてたんじゃなくて嫌味だった?
・なんであんな態度だったんだろ...

特に対人関係の悩みについては答えがありませんから、ついつい考えすぎちゃいますよね。せっかくの休日に仕事の事を思い出したりしたときはホントに最悪。実際に考えすぎのせいで仕事から離れられないと、”燃え尽き症候群”や”うつ病”といったメンタルの病気を引き起こすことが明らかになっています。メンタルだけでなく、原因不明の疲れや、腰痛などの原因不明の不調の原因にもなる為、考えすぎは基本的には避けるべき行動です。でも、”考えないようにしよう!”と思えば思うほど考えてしまうので、たちが悪い。

今回は”ついつい考えすぎちゃう癖を止めるカンタンな方法”をご紹介していきます。


そもそも、考えすぎちゃうのはなぜ?

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私たちは日々生きていく中で、”心地良い”感情と”不快な”感情のどちらも感じています。ですが、ほとんどの場合"不快な”感情ばかりを考えてしまいます。その原因は進化心理学の領域で上手く説明されています。

進化心理学での定説として、”不快な”感情は、言葉にできない不安や不満から、隠れた危険を導き出すために働いていたとされています。周囲の危険に対して素早く反応する為に必要なシステムとして私たちの体に深く刻み込まれているのです。

例えば、洞穴生活をしていて、夜行性の動物が襲ってくるかもしれない状況では、緊張感や不安感により、身の回りを警戒することで、最悪の状況を避けるのに役立っていたというわけです。

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しかし、現代に生きる私たちの周囲は、安全が確保されています。したがって警戒機能が敏感すぎて逆に悪影響を与えてしまう場合が多いのです。

考えすぎてしまう癖は、ほとんどの場合”不快な”感情を長引かせ、そして増加させてしまう効果があります。でも現代においてはその不快な感情により”死”など深刻な状況を引き起こすことは稀で、むしろ一刻も早くストレスを回復させることで、うつ病などのメンタル障害を回避することが必要です。したがって、”不快な”感情を長引かせることは逆効果なのです。


考えすぎちゃう癖を治すことはできるの・・・?

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結論からお伝えすると、治せます。

エモーショナルインテリジェンス(EIもしくはEQと呼ばれる):という言葉を知っていますか?

”感情知性”と直訳されるこの能力は、『感情をよく知り、うまく消化できる能力』と1990年に定義された言葉です。

EQが高いヒトとは、感情を深く知り、それを自分他者にうまく適応し、幸せを掴むことが出来るヒトと定義されることが多いです。

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EQは、リーダー論の文脈で語られることが多い能力です。

「他者の感情」を深く知ることで、チームをマネジメントする。ざっくり言うとそんな感じで紹介されることが多いのですが、いきなり「他者の感情」なんて理解できるわけありません。

リーダー論について書くと長くなるので、詳しく知りたい人は全米でベストセラーになった”EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方”をお読みください。


さて少し脱線してしまいましたがここで話を戻します。


EQの高いヒトには”ある特徴”があるのです。それは2010年に238人を対象にした研究で明らかになりました。

”ある特徴”とは『EQが高いヒトほど、考えすぎによるネガティブな感情を感じ、マイナスな影響を受けることが少ない』という事実です。

今回EQを紹介した意味が分かってもらえたでしょうか?

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それはつまり、

『EQを高めれば、”考えすぎる癖”を減らすことが出来る』ということです。

でも、”自分はリーダーじゃないし、コミュニケーションも苦手。EQなんて高められないよ...”と思うヒトもいるでしょう。安心してください!

そもそも、EQとは、まずは『感情の種類を知る』ことが大切なのであって、最初の段階でコミュニケーションをとらなきゃいけないって訳ではありません。

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例えば、「喜怒哀楽」の4つしか感情が知らないヒトは人間の感情を上手く理解できていると思いますか?

私たちの感情には、「愛情・いらだち・怯え・葛藤・希望・恐怖・軽蔑・激怒・失望・心配・同情・不安」など様々なものがあります。まずはその感情を理解していなければ、EQが高いとは言えません。だって、愛情という言葉と意味をしらないヒトには、愛情を感じている人の気持ちは理解できません。

ですから、感情の理解には必ずしも他者とのコミュニケーションは必要ないのです。まずは”自分で訓練することが必要”ということです。この例でいえば、”愛情”という言葉と、その意味を知ることが大切なのです。

次の章からはそんな、『EQを高め、考えすぎる癖を止める方法』をご紹介していきます。


ラベル法:まずは自分の感情にラベリングしてみよう!

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自分が”いま、感じている感情”が、どんなものなのか?を明らかにしていく方法です。感情をラベリングすると、正確かつピンポイントに理解することができます。この能力こそ、考えすぎる癖を止める為に”最も簡単”で”有効”な方法です。

実際に、感情を理解してラベリングすることは、不安を司る脳の部位、「扁桃体」の活動を減少させ、理論的に考える前頭前野を活性化させることで、感情をコントロールしやすくすることが明らかになっています。


ラベル法のやり方

アプリを使うのが最も簡単です。例えば「心のノート」というアプリがあります。

ネガティブな気分になった時にこのアプリを使って記録しましょう。「怖い・不安・怒り・哀しい・びっくり」などの感情をそれぞれ分けて記録することが出来ます。

記録すると、自分の感じた感情を、脳が勝手に整理してくれます。実際、これだけで考えすぎていたことが、自分の頭から遠ざかっていくことを実感できると思います。騙されたと思ってやってみてください。

*他にも感情の記録アプリはありますが、良い・悪いだけで判断したり、点数をつけるだけのアプリは感情の理解には役立たないのでやめましょう。

ただし、弱点もあります。「心のノート」はネガティブな感情が5つしか載っていないので、ピンポイント!という感情を理解することが難しいのです。もっと細かく感情を理解して、自分にピッタリな感情を見つける為には、”感情類語辞典”が使えます。

この本は、脚本家やマンガ家向けに書かれている本ですが、EQのトレーニングに最高に向いている本で、実際に私も使っています。


感情類語辞典を”考える癖を止める為”に使う方法

目次をみるとズラッと感情の名称が並んでいるので、”ネガティブな感情を思い出した!”という時に目次を開きます。(付箋を貼っておくとすぐ開けます。)

自分の今の感情にピッタリなページを読んでいくと、その感情の”あるある”がたっくさんならんでいて、考えすぎていたあのモヤモヤがかなり軽減されます。僕の個人的には72%くらい軽減します。


この方法は、”感情をラベリングする”と同時に”感情のボキャブラリーを高める”という一石二鳥の方法です。実際、ラベリング法を効果的に行うためには、感情のボキャブラリーを増やすことが最重要ポイントになります。

一方、ただ感情類義語辞典を読んだところで、いろいろな感情を理解することはできません。教科書読んだだけじゃ、テストは点数取れないじゃないのと一緒。テスト(実践)が必要なんです。

したがって、考えすぎてしまう癖がある人には、”感情類語辞典”を使ったラベル法の使用が断然オススメです。


ここで、凝り性の人はカレンダーアプリや日記アプリに記録を残しておくと、その感情を以前感じていたなぁ~と振り返ることが出来るのでさらにオススメ。もちろん、そこまでしなくても十分効果はありますよ!


他にも使える方法は無いの?

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結論から伝えると、”あります。”でも、”難しい”です。

ただし、感情類義語辞典によるラベル法をどうしても使いたくない!というヒトの為に一応紹介だけしておきます。


ラベル法以外に使える方法の1つ目は、”気をそらすこと”

ネガティブな感情になった時に、他の行動をすることで気をそらす事です。

2つ目は”感情の付け替え法”

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例えば、不安な気持ちになると激しく汗をかいて、心臓がバクバク動きますよね。その時、大切なプレゼンの前だから”高揚感”で満ち溢れているだけだ!と自分の感情を錯覚させることです。

確かに、高揚感を感じた時も汗をかいて、心臓が活発に動きますから、間違いではなさそうです。このように、うまく体の反応と気分を錯覚させる方法です。


最後に3つ目は”感情の受け入れ”です。

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例えば、何かを発表するときに不安な気持ちになったとしましょう。その時、不安を変えようとするのではなく、ただ受け入れるのです。だって、その2時間後には楽しくコーヒーを飲んでいたりして、不安は続いていないものでしょう?

仏教でいう”諸行無常” つまり、全てはうつり変わるものと捉えることで、現世の悩みから解放される。という考え方に近いですね。


ラベル法以外は難しい。もっと”簡単”な方法は無いの?

どの方法も自分の感情を深く理解していなければ実行できません。ですから、まずは先程紹介した、ラベル法をオススメします。

もっと、他にEQを高め、考えすぎをなくす方法はないの?

1990年に定義されたEQという概念を2019年版にアップデートしたもの。トップエリートの90%はEQが高く、人生の目的を達成する為には、IQよりEQの方が2倍も重要である。と銘打ったこの本には、66個ものEQを高めるテクニックが記されています。

さらにもっとオススメなのは、自分のEQを知るシリアルコードもついていること。自分のEQがどのレベルなのか知らなければ、どう鍛えたらいいのかもわかりませんよね?中古品にはコードがついていませんから、新品が圧倒的にオススメです。

自分だけの方法を試したいアナタは、まずはここから始めてみては??


オススメ記事


引用
Lanciano, Tiziana, Antonietta Curci, and Edvige Zatton. "Why do some people ruminate more or less than others? The role of Emotional Intelligence ability." Europe’s Journal of Psychology 6.2 (2010): 65-84.
Wante, Laura, et al. "The effects of emotion regulation strategies on positive and negative affect in early adolescents." Cognition and emotion 32.5 (2018): 988-1002.

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