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丸山「戦争」発言が浮き彫りにした三つの問題(その1 事実)

▼丸山穂高衆議院議員の「戦争」発言から浮き彫りになった問題は三つある。一つ、「民主主義」の問題。二つ、「教育」の問題。三つ、「依存症」の問題。

▼まず事件の経緯を確かめる。2019年5月27日に「毎日新聞」が配信した本間浩昭記者の記事が秀逸である。

とくに、施設の外に出ようとした件について注目してほしい。毎日以外では、それほど強調されていない。適宜改行。

尾を引く丸山穂高議員の「戦争」発言 問題行動も次々 北海道内外で波紋〉5/27(月) 5:00配信

〈北方領土へのビザなし交流訪問団に参加中、丸山穂高衆院議員が戦争による北方領土返還に言及した問題は、約2週間経過した現在も収束する気配がない。

丸山氏の問題行動が次々と明らかになる中、国会では野党の辞職勧告決議案、与党のけん責決議案提出などの動きが出る一方、元島民の団体は抗議文を送るなど、北海道内外で波紋が広がっている。【本間浩昭】〉

▼丸山氏は当初は開き直っていたが、謝罪に至る。事件当日の経緯が重要だ。

〈参加した団員らによると、今年度最初のビザなし交流訪問団が国後島を訪れた2日目の11日午後8時ごろ、宿泊先の「友好の家」で丸山氏の発言は飛び出した。代表取材で同行中の新聞記者が団長で元島民の大塚小弥太さん(当時89歳)に取材中、酔った状態の丸山氏が大声で割り込んだ。

 丸山氏は日本人墓地などについて発言した後、急に話題を変え、「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか」と質問。大塚さんが反論しても「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」と戦争による北方領土奪還を繰り返し示唆したため、大塚さんは「戦争なんぞしたくありません」ときっぱり否定した。〉

▼酔っぱらった35歳の衆議院議員が、89歳の元島民に諭(さと)される、情けない場面である。

▼このとき丸山氏が口にしたのは、戦争を煽(あお)る発言だとはっきりわかるが、重要なのは、新聞記者が元島民に取材している最中に、酔っぱらった丸山氏が割り込んできた、という経緯だ。

ネットでは、この件を報道したマスメディアに対する誹謗中傷をがなり立てる向きすらあった。取材現場に酔っ払った国会議員が割り込んできて、上記のような問題発言をしたら、その件を報道するのが当然だろう。

▼そして、それよりもひどい行状が、本間記者の記事で明らかにされている。丸山氏を「支持」したり「擁護」したりする人が、とても立派な識見を持っているのが、よくわかる。

問題行動次々と

〈丸山氏の問題行動や発言はほかにも明らかになった。ホームビジットで訪れたロシア人宅での飲酒などで深酔いした上、外務省から避けるよう要請されている夜間の外出を繰り返し試みたため、外務省職員らが廊下に立ち塞がって丸山氏の行動を阻止。「女性のいる店に飲みに行く」とも騒いだ。

 しかし、これらの行為はいずれも、国後島訪問前日の9日に根室市であった結団式で、外務省が丸山氏を含む団員に注意を呼びかけていた行動に該当していた。

外務省側は「具体的な留意事項例」として

「仮に単独行動を行えば、現地の『国境警備隊』『警察』等に身柄を『拘束』されたり、『立入許可証』の提出を求められたりする可能性」

「夕食交流会やホームビジットなどでの飲酒は節度を保つ。急性アルコール中毒になった場合、警察に保護されたり、ロシアの『法令』に基づく入院・移送手続きなどが『適用』されたりする可能性あり」

と例示。これらの行為でロシアの法令が北方領土に適用されていることが認められれば、日本の立場を損なうことになりかねないとの明確な説明もあったという。

 しかし、団員らによると、11日夜、丸山氏は食堂での「戦争発言」後、食堂が早めに閉鎖されてからも夜間外出を繰り返し試みた。

 政府関係者がロシアの実効支配を理由に「夜中に外出すると拘束される恐れがある」と改めて説明した。だが、丸山氏は「国会議員には不逮捕特権がある」「ここが日本であることを俺が証明してやる」などと主張しながら玄関に向かおうとしたため、外務省や内閣府、道職員らが廊下に立ち塞がり、部屋のドアと玄関も二重に施錠したという。この時、阻止した一人は「夜間外出を強行しようとしたため、『人間の壁』を作り阻止せざるを得ず、大変だった」と振り返った。

▼こうした丸山氏の言動に対して、ネット内では思いのほか「支持」「擁護」の声が集まっているのが現状だ。

要約すると、惨憺(さんたん)たるありさま、ということだ。これらの丸山氏の行動の意味について、作家の佐藤優氏がコメントしている。(つづく)

(2019年5月27日)

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