「AIネイティブ」が国家を壊す件(その2)
▼昨日は「AIネイティブ」が国家を壊す件のその1をメモしたが、
きょうはその続き。「プレジデント」2018年10月15日号の、佐藤優氏と新井紀子氏の対談から。
〈文章が読めない子、新聞を読まない人の末路/AIに職を奪われない方法、教えます〉
という刺激的な見出しだ。
ここでは「AIネイティブ」ではなく「AIネーティブ」になっている。定義は「AIに推薦されたことに無意識に従って生きていく」ということで、同じ。
〈AIネーティブの子どもたちが育つとき、自分が本当に何をしたいのか。自分で切実に欲求する前に、与えられたものだけを消費してしまうことになる。
そうやって育った子どもたちが将来的にクリエーティビティを発揮し、生産者として必要な真実の判断ができるのか。私は難しいように思うのです。〉
〈佐藤 AIは統治者にとっては非常に有利なツールでもあります。ですから、統治者側の子どもたちには、そういったものには一切触れさせない一方で、統治される側のほうにはAI時代というかたちで浸透させていく。
実際、新聞を読まない人たち、つまり、SNSに依存する度合いが強い人たちほど現政権を支持する傾向が高くなっています。〉
新井 本当にそうですね。AIはお金を持っている人たちが制御しやすいツールなのです。どのように正解データをつくるかで、AIの動き方は決まってくる。それを客観的で公平なものだと思っていると本当に不利になります。
佐藤 おっしゃること、よくわかります。AIに慣らされてしまえば、成立しえない非論理を、論理的だと思ってしまうことがある。〉
▼そして佐藤氏は学生たちに戦前の国策映画「雷撃隊出動」を見せる話をして、〈戦前の軍のイデオロギーに基づいた教育を繰り返し受けて育った人と、さきほどのAIネーティブの話は似ているように見えます。〉と指摘する。
こうした問題を考えるための基本文献は、やはり2018年に新井紀子氏が出した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』だろう。アマゾンで400件以上のコメントがついていることからも、その注目ぶりがわかる。
https://www.amazon.co.jp/AI-vs-%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E3%81%8C%E8%AA%AD%E3%82%81%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1-%E6%96%B0%E4%BA%95-%E7%B4%80%E5%AD%90/dp/4492762396
▼対談はここから、資本主義と国家とAIネイティブの関係に展開していく。(つづく)
(2019年4月11日)
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