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一企業の細かな変更が社会を変える件 フェイスブック

▼ひとつの企業が、自社の商品に細かな変更を加えることによって、ある社会が大きく変わるきっかけになってしまう、というわかりやすい例が、「フェイスブック」とフランスの「黄色いベスト」運動との関係だ。もっとも、一企業といっても桁外れに大きいのだが。

▼2019年2月19日付の日本経済新聞から。見出しは、

〈利用者望む情報を優先表示/「アルゴリズム」が騒動増幅〉

フェイスブックは、「企業の宣伝の場になった」「アメリカの大統領選挙でフェイク(偽)ニュースを広めた」などと集中的に避難されたから、利用者の画面表示に適用されるアルゴリズムを変更したそうだ。

どう変えたかというと、変えたのは2018年1月のことだが、〈(変更の)一つは企業による投稿より友人や参加するグループの書き込みを優先して表示するというものだ。さらにニュースも利用者の地元情報を優先するようにした。

▼するとどうなったかというと、フランスの「黄色いベスト」運動が大爆発したわけだ。〈運動に火を付けたのは北西部ブルターニュ地方の女性市民だ。10月に燃料税の増税などを批判する動画をフェイスブックに投稿すると、マクロン政権の政策に不満を持つグループで共有された。同じグループの投稿を優先表示するアルゴリズムにより、共感する人々は急速に広がった。

さらに〈地元メディアが女性を取り上げたことで支持者の輪はさらに拡大した。地元ニュースを優先するアルゴリズムで、フェイスブックでの露出度がさらに高まったためだ。

▼参加グループの情報を優先。そして地元ニュースを優先。言われてみれば必然的な流れだが、この2つの変更がモロに影響して、「黄色いベスト」運動が大きくなるという予想は、とてもできない。

日本社会も、まったく例外ではない。これからも、一企業の些細な変化が、とんでもない社会変革につながる可能性がある。

たぶん、人類の誰も経験したことのない大変化が、ここ10年で起きるだろう。

(2019年2月23日)

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