見出し画像

日本で「レイプ(強姦)」や「性暴力」の無罪判決が続く件(その1)

■性暴力の無罪判決が相次いだ

▼日本社会ではレイプ(強姦=ごうかん)や性暴力がよく無罪になる現実について、北原みのり氏がわかりやすく要約していた。「週刊朝日」の2019年5月31日号から。適宜改行。

3月12日、福岡地裁久留米支部で、テキーラを一気飲みさせられ意識を失っていた20代女性に性交したとして、40代男性が準強姦罪で起訴された事件に無罪判決が出た。

その1週間後には、静岡地裁浜松支部で、コンビニの駐車場で20代男性が、暴力をふるい強制性交致傷罪に問われた事件が無罪になった。

さらにその1週間後に名古屋地裁岡崎支部で、長年、娘に性暴力をふるっていた父親が準強制性交の罪に問われた裁判で無罪判決が出た。

 ほぼ1週間ごとに流される無罪判決の内容は衝撃だった。3件とも裁判官が、女性に同意がなかったことを認めている。それにもかかわらず男性に「故意」がない、女性がわかりやすく抵抗していないといった理由で無罪になった。

 そもそもテキーラを何杯も一気飲みさせるとか、そもそも初対面の女性を殴るとか、その時点で「同意」を取るつもりなどないですよね? とフツーに思うが、セックスに少々の強引さは必要とでも裁判官は思っているのだろうか。〉

▼これらの事件を、列挙して、一覧化し、その意味を考えるような記事が、日本のマスメディアには思いのほか少ない。

▼北原氏は、これらの行為を現在の法律では罰することができない、という事実に衝撃を受け、フラワーデモを呼びかけ、想像を超える人々のつながりが生まれていく。

■「#MeToo(ミートゥー)」の流れの中で

▼「世界の中の日本」の観点でこの判決をみると、「#MeToo(ミートゥー)」の流れのなかに位置づける人が多いだろう。

▼2015年、ジャーナリストの伊藤詩織氏が、TBSのワシントン支局長だった山口敬之氏からの「準強姦」の被害を訴えたことは、性暴力に対する日本社会の意識、無意識を揺り動かした。法律も変わった。

しかし、彼女の勇気と、彼女が起こした戦いの価値は、十分に認知されていない。

▼アメリカでは2017年、大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏が何十年にもわたっておこなってきた膨大な性暴力が明るみに出て、「#MeToo(ミートゥー)」運動が国境を超える。

この大きな動きは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の素晴らしいところだ。

性暴力の問題を解決するために思い浮かぶのは、社会論と、法律論と、二つの観点である。両方とも必要だ。(つづく)

(2019年5月25日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?