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大学生は新聞よりテレビを信用している件

▼大学生は新聞を読まない、という事実よりも、大学生は新聞よりもテレビを信用している、という事実に驚いた。2019年3月18日付の朝日新聞、教育欄より。

〈大学生の利用メディア TVが首位〉

〈大学生が最も利用するメディアはテレビーー。全国大学生協連合会の学生調査で、そんな現状がわかった。調査は昨年10~11月、全国の国公私立30大学の学生を対象に実施し、約1万1千人(回収率35%)から回答を得た。

 今回初めて「政治や社会の情報を入手する際によく利用するメディア」を尋ねたところ、テレビが66.3%と最も高く、「ヤフーニュース」などの「ニュースサイト・まとめサイト」56.5%、ツイッター42.0%、LINE22.8%、新聞22.6%と続いた。

 その中で「最も信頼がおけると思うもの」はテレビが38.1%、ニュースサイトが18.7%、新聞が15.0%。

▼このニュースにはビックリした。とくにメディアのうちで〈「最も信頼がおけると思うもの」はテレビが38.1%、ニュースサイトが18.7%、新聞が15.0%。〉という結果。

テレビでニュースを取り上げる際、とくに最近は芸能人がニュースにコメントする番組が増えているが、その多くが新聞報道に拠っている。インターネットのニュースサイトで配信しているニュースも、かなりの割合が新聞報道である。もしもテレビ報道とニュースサイトから、新聞記事を出典にした情報をすべて消せば、現状の何割が残るだろうか。

ちなみに、新聞報道からいわゆる「発表もの」をすべて消せば、現状の何割が残るのか、を想像すると、調査報道の難しさと価値を考えるきっかけになる。

▼もちろんテレビ局の独自取材もあるが、その場合は「独自」などとテロップが出る。「独自」テロップが出ない場合は、だいたいは他のメディアも取り上げている、ということだ。ニュースサイト独自の優れた報道もあるが、まだまだ数は少ない。

▼だから、テレビの信頼度が38%で、新聞の信頼度が15%という結果になった理由、論理は、ちょっとよくわからない。

テレビのニュースのほうが、新聞よりもスピードは速い。しかし、「速い」ことは「信頼する」理由にはならない。

新聞記事をもとにして、テレビのニュースもインターネットのニュースサイトも多くが成り立っている、という「仕組み」を知らないから、こういう結果になるのだろうか。

テレビのほうが新聞よりも自分にとって「わかりやすい」からだろうか。

それとも、単に「ふだん、触れていないから」新聞を信用できないのだろうか。謎だ。

▼もう一つ、この記事で気になったのは「1日の読書時間」で二極化が激しくなっている点だ。「1日の読書時間」が「ゼロ」の人が約半数。これが一方の極。もういっぽうの極である「読書をする」人の平均時間は60分超だそうだ。

素朴な疑問だが、「1日の読書時間がゼロ」の大学生は、大学で何をしているのだろう。

「読書時間ゼロ」の学生と、「読書時間1時間」の学生とで、メディアに対する感覚の違いを調べてみると、そこから何か見えてくるものがあるかもしれない。

(2019年3月22日)

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