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1940's 戦後を救った1つの光

こんにちは。またまたお久しぶりになってしまいました…。今日から、このnoteをもっと活性化させていこうと思います!

さて、この年代別ファッション研究ですが

20年代

30年代

と続き、今回は40年代です。さっそく見ていきましょう。

華やなあの頃をもう一度

1935-40年に勃発した第二次世界大戦により、パリのファッション界は危機的状況に陥ります。1940年にパリを占領したナチスが、フランスの服飾産業まで管理下においていたのです。ナチスはパリモードを高く評価していたようで、服飾産業そのものをドイツに持って帰ろうと目論んでいたこともありました。(このナチスの計画はフランスの強い抵抗もあって、撤回されることになりました。)

ナチスから解放され、パリコレクションが再開されたのは1944年。まだ豪華な服をふんだんに作ることはできなかったものの、華やかに開催されたコレクションは、当時全くお洒落ができなかった女性たちに戦前の華やかな時代を思い出させました。

そんな時、圧倒的にインパクトを与えたのが、あのクリスチャン・ディオールのデビュー。日本でも憧れブランドの1つとして名高いですよね。彼が発表したスタイルは「ニュールック」と呼ばれ、瞬く間に世界中に広がったのです。ただし、ニュールックといっても実際の姿は、ウエストがキュッと絞られ、手首が出る短めの袖丈、Aラインのプリーツスカート…と30年代にも理想とされていた"優雅な女性らしさ"そのものでした。

当時、大きな影響力があったファッション誌「ハーパースバザー」の編集長はディオールを大絶賛。"懐古的なファッション"ともいえるディオールのスタイルは、なぜ女性たちの受け入られたのでしょう。それは、禁欲を強いられていた戦争による反動があったと言われています。何事も人々の反動は、強い影響を与えますね…。

(1947年のディオール ニュールック。昔の貴族を想像させるようなウエストは、見るのが辛くなります…。ただ、白のジャケットに黒のスカートといったモノトーンの組み合わせは、それまでにない現代的なコーディネートだったのです。)

アメリカ進出がもたらしたもの

その一方で、女性の社会進出が進んでいたアメリカは、ディオールの女性らしいドレスを猛反発。そんな中で、ディオールはアメリカ旅行中、中流階級の豊かな生活ぶりを目の当たりにしました。アメリカ市場に注目したディオールは、アメリカ人の体型や気候に合わせたラインを立ち上げ、本格的に進出していくのです。ブランドビジネスは大成功。ファッション界を代表するブランドと急成長しました。

もともと上流階級の顧客のためにつくられていたディオールの服。豊かなアメリカ社会に浸透していくことによって、富裕層だけでなく一般大衆にも身にも付けられる服として提供できるようになったのです。これは、パリモードが民主化された画期的な出来事でした。

女性を華やかに飾り立てる男性デザイナー

「ニュールック」の台頭から、パリモードは再び開花することになります。ディオールの成功から、彼と同じような"女性らしさ"を表現する男性デザイナーが次々と誕生します。

バレンシアガ

今や高級バックブランドとしても人気なバレンシアガ。シンプルで格好良いイメージを持っていましたが、当初はこんな女性らしい服だったんですね。華やかさというよりは、知的な女性らしさを感じます。

ユベール・ド・ジバンシィ

前回のイヴニングドレスでも紹介したジバンシィ。ジバンシィを着たオードリー・ヘップバーンの姿は、今でも色褪せることなく"女性らしさ"を象徴しているのではないでしょうか。

洋裁で食べていく

最後に、当時の日本に視点を変えて見ていきます。戦後、何とか仕事をして家族を養わなければならない状況の中で、家族の服をリメイクしていたりと女性にとって身近だった洋裁が、仕事の選択肢としてありました。戦争中は軍服工場だった洋裁学校もすぐに復活。その代表的な文化服装学院では、生徒募集をかけたところ、6000人もの応募者が殺到したそうです。その中には、あの山本耀司の母もいたとか。こうして、日本も大衆に向けた現代服が広がっていくのです。

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ファッションの流行は消えていくもの。でもいつの日か、進化をしながら復活を遂げる。それがファッションの面白いところだな〜と思います。

そして次回は、"女性らしさ"を求める社会を否定し続けていたシャネルが黙っていられない…!(次回予告風)

つづく

参考文献:

・「20世紀からのファッション史」横田尚美 原書房
・「20世紀ファッションの文化史〜時代をつくった10人〜」
  成実 弘至 河出書房新社

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