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平成から令和へ(キャッシュメモリ編)

目が覚めたら 4月28日日曜日のお昼。
本当は朝から 打ち合わせがあったので出かけているはずの時間。
わたしはまだベッドにいる。
記憶が曖昧で、いや違う、記憶がなくて
前の日に何があったのか
その日に何があったのか
わからない。

今日は何日か、聞いてみた。
4月28日。

あれ?なんかおかしい。
ゴールデンウィークの日付だけど、そうだっけ?
わからない。
そして、ここはどこなのか。

なんと、自宅だという。
見慣れないこの部屋が自宅??
起きたら見知らぬ男のベッドに居た、という古いドラマか?

4月28日だとしたら、Sさんと約束していた日。
すでにその時間が過ぎている。
どうしよう。

そうだ、29日の夜も約束があった。
行けるだろうが、まともに頭が動くだろうか。
5月5日のフットサルはちょっと難しそうだ。
誰かに代理で出てもらえるだろうか。

ボクシングの月会費を持って行くのは遅れそう。
英会話はオンラインならできるだろうか。


未来の予定はわかるのに過去のことが分からない。


遡ると3日前までの記憶はある。
前々日と前日の出来事は全く思い出せない。
もちろん当日のことも。

親友と電話で話した。正確には、電話で話したようだ。あとで履歴でわかった。1時間くらい話をしたようだが全く記憶にない。

その後どう過ごしたかはっきりしないが、会う予定だったひとに連絡して、でもその電話の中でも 自分の記憶がうまく繋がらず、取り乱し、頭が混乱していた。電話しながらも、電話した理由がわからず、勝手にパニックになった。泣いていたらしい。


ここに書いたことは全て、自分が書いたブログ、および関係者インタビューによる情報にもとづいて記述しており、わたし自身は今もなお、記憶がない。4月25日から30日の記憶がないのだ。


あ! これはキャッシュメモリのクリアだ。


コンピュータには記憶装置が何種類もある。大容量の記録ができる媒体は読み書きが遅く、高速な媒体は小容量である。その特性を利用して、使用頻度の高い情報(最近使ったものなど)は高速記録媒体に保持し、頻度の低い情報は大容量の記憶装置に格納する。


わたしの場合、転倒の前後数日は、高速記憶である、メインメモリとキャッシュメモリに保持されていたが、転倒して頭を打ったことでその全てが消去されてしまった。だから数日の記憶が全くないのだ。長年記憶している情報は、安全な記憶領域に入っていたため、すぐに利用することができている。


記憶をなくして不安だったわたしは、いま自分に起きていることがキャッシュが消去されたに過ぎず、そこに重要な情報が入っていたとすれば、キャッシュに記録すべきものと、そうでないものの判断をしているCPUの問題であり、今更それを嘆いても仕方がない。そう思えたら、何となく不安が軽くなった。

コンピュータが人間を模したものであるのは、すごいことだと感心した。

コンピュータの知識を使って、自分の体に起きていることを納得できるかもしれない。

そんなことを考えながら、つぶやいた。


「今日は何月何日だっけ?」


平成から令和へ(外部記憶編)につづく。

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