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僕がここにいる理由

海の見える街で暮らしてみたい。

一度くらいはそう思った事がある人って、結構いるんじゃないだろうか。

三浦半島に移住しました。

シンゴジラ上陸後に唯一復帰できなかった京急線で品川から1時間15分。横浜、横須賀、久里浜とズンズン南下していくと三浦市に辿り着く。

トンビの鳴く声で朝起きたら、シャワー浴びて(世を忍ぶ仮の姿になるために)メイクしてラズベリーのパン頬張って別にダッシュで行かなくても、そのまま海に入れる。ちなみに写真で海の向こうにうっすら見えるのは房総半島。

あんまりインフラも整っていないし、スタバもない。デフレ飯もデフレ居酒屋もない。ごく控えめに言って何も無い退屈な街だ。

ここがすごく気に入っている。

移住先候補はいくつかあった。海が近くて(こっそり)ドローン飛ばしても(あまり)怒られない所ということで、陸前高田、気仙沼、ベタに高知に行って限界集落ゼロ社会やるか、IT先進国の徳島もいい、金谷、鳥取も惹かれる。

いやいや、やっぱり湘南大好きだし、海街diary見れば実況解説がウルサイって言われるし、湘南スタイルは毎号購入しているし、OZmagazinとかHanakoとかで湘南特集すれば即買いだし、鎌倉か。住所が稲村ヶ崎とか材木座ってなんかステキじゃないか。ん、ちょっと待て。これで長谷とか住んだら、自分の事呼ばれているのか土地の事なのかよくわからんぞ。でもいいよな鎌倉、逗子、葉山。あ、鎌倉はドローンNGだったか。そういや三浦半島いいよね、砂浜綺麗だし。なんか最近PLANETSの宇野さんが注目してるよな。とかいろいろ考えていた。

神奈川の海辺に移住が濃厚になっていくなか、三浦市にある文字が見えた。

「消滅可能性都市」

人口減少により、数年後には若い人材が ほとんどいなくなり、街として成り立たたくなる事も懸念されているという。

こ こ だ !と思った。

もうこんなの聞いたら、めっちゃワクワクするし欲情を刺激される。

「なんにもないってこと、そりゃあなんでもアリってこと、君の行きたい場所へどこでも行ける」と、今ではアラサーの懐メロになりかけているRocket Diveのワンフレーズを思い出した。

何度か訪れていたんだけど、この何も無いのんびりとした街にあるポジティブな可能性を感じていた。

都心からそれほど遠くないのんびりとした街。例えば、日光、鬼怒川、箱根、熱海。たまに行ってリラックスするくらいにはすごくいいんだけど、どうにもバブルの亡霊に取り憑かれたまま除霊されきっていないような気がしていた。確かに良い所だけど、ある意味では昭和で時間が止まっている。

けれど一歩間違えば破滅に向かって消えてしまうかもしれない三浦市は未来を見ているようだった。

現状を何とかしたい。三浦に来て欲しい。

お世辞にも綺麗で新しいとは言えない三浦海岸駅に設置された、リアルタイムでマグロ丼を提供する店舗の混雑状況を表示する便利なんだかそうでもないんだかよくわからない無駄にテクノロジーを駆使した、まるで藤原麻里奈が発明したかのような案内板がそう言っているようだった。

人口減少はボーナスでありチャンスであって嘆く必要はない。

逆に言えば、そのぶんテクノロジーと無人化、自動化が介入する隙間があるという事になる。産めや増やせや人力でどうにかしろってブラック企業みたいな事を言う老害を倒せるロンギヌスの槍になる。

変化に対して柔軟であること、過去の繁栄をどうでもいいと思っている(ように思える)こと、ある意味では地元を見捨てて移住を歓迎していること。

この3つが良かった。

消滅可能性都市とかなっちゃったし、したってここにゃ何にも無いし、どうすっぺか。ってスタンスが逆に良かった。伝統ある建物を守らなければならない!とかいう気も特に無さそうで、どっちかというと、うーん、土地も使わない家もいっぱいあるから、あるものは好きに使っていいよといった大らかさがある。家賃2万のほぼ廃墟好きなようにリノベしちゃって物件とか、ゴロゴロある。

ついでに揺るぎない田舎の証、公務員のような営業時間のヤマザキストアもあるしカインズホームもある。ちょっと感動した。

地方にありがちな閉鎖的なムラ社会が無いし、なんだかんだで東京に繋がっているというところもある(シンゴジラが上陸したときに復旧できなかった唯一の路線、京急線で)。そして鎌倉時代からの文化人類学的土壌なのか余所から入ってくる移民に寛容なところがあるように思う。

(実際には場所によるみたいで、湘南でも移民を受け入れたがらない閉鎖的な場所はあるとの事だから、そこは本当に運が良かった。稲村ガ崎のサーファーとかすごいらしい。)

本当に消滅しちゃったらやりたい放題特区でGoogleに身売りすれば喜んで買い取ってくれそうな気もするけど、とりあえずそれは希望的観測、机上の空論、こうあって欲しいという発想などにしがみついているだけかもしれないので、根拠のない楽観はやめておく。

そして川越、アリーヴェデルチ。

つらい事、うれしい事、狂ったように愛しあったこと。散々乗ったちょっと狭い座席の東武東上線直通副都心線直通の東横線で横浜へと行く途中では天国旅行のワンフレーズを口ずさんでいた(不吉か??)。

もしやこのままここに骨埋めるのかと2秒くらい思ったりもした。自転車で居眠り運転して東京国際大のフェンスに突っ込んで死にかけたり、食あたりで漫☆画太郎の漫画みたいに見開きでリバースしたり、なんかいろいろあったけど、今となっては楽しかった記憶しかない。

思い出補正恐るべし。

家の中が楽天市場のようにカオスになっている。

カーテンのサイズが合わなくてオーダーし直したり、そしたら翌日無印良品週間始まったり、開業届出したり、免許更新したり、散らかり放題になっていたMacの中身を整理したり、アップデートしないまま放置してたVJ周りのメンテもしたいし、配線とかもうわけわからないし、自転車も全然メンテしてなかったり、正解するカドも途中までしか見てないし、ダンケルクもまた見たいし、よく考えたらせめてラウドパーク(1日目)終わってから引っ越せば良かった気もしてるんだけどやっぱりここはいつも通りに 明日から本気出す。

サポートありがとうございます。頂けた分は、消滅可能性都市での仕掛けがよりグッとくるものに還元します。