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OUWN is : 何だ?五感で楽しめるデザインって。後編

「五感で楽しむデザイン:前編」では、日々の行動がデザインとリンクしているといった話からOUWNが提案する五感で楽しむデザインの「視覚・聴覚」について書かせていただきました。

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後編では、「触覚」「嗅覚」と「味覚」について、書かせていただきます。

「触覚」はご想像できるかもしれませんが、匂いを司る「嗅覚」もOUWNがデザインを作りあげるうえでは重要な要素です。
そして、「味覚」は、五感の中でもっとも注意しているポイントであり、全ての感覚のベースになっています。

これはデザインをベースに限定された話なので、実際の五感ではないことを前提に説明させていただきます。

*001:「視覚」002:「聴覚」は前編を一読していただきたいです↓

それでは、三つ目から「触覚」のお話しです。

003:「触覚」

アートボード 5@2400x-100

特にグラフィックデザインでは紙媒体があるので、触覚は大事な要素です。
人は考えるといった行動の前に、触れた瞬間0.1秒ほどで、さまざまな情報を処理しています。

手で触れた瞬間にビジュアルのイメージを左右することもあります。わかりやすいところで言うと包み紙やギフトボックスです。
ギフトボックスは相手の気持ちが込められているので、貰い手はきっと慎重に包み紙を開け、中身を手に取るはずです。

例えば、カステラやコーヒー豆などは、手触り感のある箱に入っていたら食欲が増すかもしれませんし、逆にApple製品などは、しっとりマットでツルツルした紙が多く、知的でクリーンな印象に感じられます。

このように指先から、触れただけでカジュアルか、高級感があるかなど判断することも多いのではないでしょうか?
触覚といっても、指先だけの話ではありません。

WEBで言えば、クリックした後の挙動なども触感と言っていいと思います。

例えば、何かサイトを見ていて、マウスカーソルをクリックしたいボタンの上に持っていくとします。その時のボタンの色の変わり方や、クリックした後のページの切り替わり方なども、触れ心地なのです。

面白いもので、クリックしてから次の動きまでに、1秒時間がかかると、「ネットが重い」「サイトが重い」「押したのかがわからない」といった不満や違和感につながります。それが0.3〜0.5秒であれば何も思わない。ほんの0.5秒の違いが、不満につながるのです。

そう考えると、こういった画面上の感覚も「触感」と捉えるほうが適切だと思います。

実際、物に触れた時もコンマ何秒で良いか良くないかを判断しているので、触感もとても重要だといえます。

このように、深く物事を考え、思考を広く張り巡らせ、一つ一つ積み上げていくことで、五感で楽しむ・五感が喜ぶデザインにつながっているんです。

004:「嗅覚」

アートボード 6@2400x-100

匂いはデザインを作る過程でも、仕上がりでも重要な要素です。
憂鬱な気分で街を歩いていても、パンの焼ける匂いがしたら幸せな気分になりませんか?瞬時に別の思考に切り替えてくれるものが嗅覚です。OUWNのクリエイティブルームでは、アロマオイルや、お香、セージなど、いろいろな香りを使い分けています。四六時中デザイン作業をしている場所なので、ミーティングの時のように自分たちの思考を新鮮に保ち切り替えるようにしています。人によってはオンオフの切り替えがうまくできると思いますが、苦手な方も、そういった香りの変化で固まった思考が紐解けたりすることもあるはずです。

集中力が高まるような、PEPPER MINT・CLOBE・MARJORAMのミント系や、リフレッシュできるMOMI・TEETREE・EUCALYPTUSなどが比較的多く使っています。

ミーティングでおしぼりに垂らす香りも、このタイプが多いです。

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たまにお香やセージを焚きます。少し強い匂いがするので、一気に気分を変えたい時などがオススメです。お香は、KuumbaのSANDALWOODが多いです。甘すぎず、お香独特の酔いがあまりないのでいろいろ試してリピートしがちな一つとなりました。

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KUUMBA BOOK SHOP
https://www.kuumbainternational.com/
富ヶ谷にKuumbaのショップがあるので、興味ある方は行ってみてください。数が多すぎて最初はわからないと思いますが、いろいろ試してみることが面白いと思います。オススメです!

このように、香りも取り入れることで、クオリティを上げられるかを常に考えています。
ミーティングでもその仕掛けを使うようにしていますが、実際は「いい香りですね」と思っていただけるだけでも十分成功だと思います。デザインの話でいうと、紙の匂いが重要ですね。OUWNの今年の年賀状のように、牧草の匂いがするものもあります。

今後は、持続可能な社会実現に向けて、環境へ配慮した紙もさらに出てくると思うので、より香りは注意するポイントだと思っています。しっかりと理解してセレクトすれば、クオリティーに向上に繋がると思っています。

それから、インクの匂いもあります。洋書を開いた時に香るあの独特な匂いはインクです。「この匂いがする本作りたい」と、匂いから制作意欲が湧いた時もありますし、大判ポスターにインクがしっかり乗った時に生じる匂いも独特です。
良い印刷所とたくさん仕事をするとわかるのですが「この匂いがするからインクがしっかりと乗ってる。良いポスターだな」など、匂いから良し悪しを判断してしまうこともあるほどです。嘘みたいですけど、きっとわかる人も多いはずです。

嗅覚は触覚などと違い、触れずとも生まれる感覚なので、嗅覚もしっかりと意識しながら、クオリティを担保するべきだと思います。

005:「味覚」

アートボード 7@2400x-100

これは舌で感じる「味」ということではありません。

そして、OUWNでは一番大切な感覚としています。

視覚・聴覚・触覚・嗅覚をしっかりと考えてクオリティを上げたとしても、思いやりのない人ではデザイナーとして失格です。
その人の人間性がしっかりと合わさることで、他に類のないデザインが誕生します。「視覚・聴覚・触覚・嗅覚、すべての受け入れ消化できる、味のある人であれ。

人間性としての味覚の話です。

人間性としての味覚

根本的な話ですが、私たちはお客様がいて仕事があります。

常に相手のことを考えているからこそ、良いデザインを提供したいし、良いデザインを提供するために、今話してきた全てのことを毎日心がけています。出来るだけ多くの人に幸せになってもらいたい。そこに直に繋がる感覚です。そんな想いで、日々模索をしていたところ、私にできる最良の手段が「デザイン」だったということです。

デザインが良かったとしても、嫌味な人には頼みたくない。
現にそんなデザイナーは、私も好きじゃない。下記の記事にも書かせていただいたように、私たちはファミレスではなく、個もしっかりと持ち、ホスピタリティとチームワークを大事にした星付きレストランです。

OUWNが星付きレストランなんですというお話は、こちらで詳しくお書かせていただきました。 >>OUWNがレストランなわけ。

そして、デザインに携わる使命として、日本のデザイン自体の向上も意識しています。そのためにも、デザイナーとしての味もしっかりと出していかなければなりません。先進的なデザインを模索し、自己と対話をし、クオリティを追求して常に勝負をするのです。

味のある人と辞書をひくと「面白み」「快いさま」などとありました。
昔は「少し変わっていて、面白い」という意味で使うことが多かったのだと思います。まさに「他に類がなく面白いもの」は、デザイナーや私たちが作るデザインにとって大切なワードです。

私たちが作るものは、誰かが作れるものではあってはならないのです。
クオリティをあげるために々な角度からあらゆることを検証・確認をし、デザインの技術と、日々の探求した言動をつなげていく。
そのように私たちの「五感で楽しめるデザイン」が生み出されています。

五感で楽しめるデザイン

001:視覚
Design: デザイン全般の見え方の追求
Other: 可視できる全てを整えることでデザインクオリティをあげる技術

002:聴覚
Design: WEBやモーション等の音楽の追求
Other: 場を作る音・声の意識で場のディレクション・デザインクオリティをあげる技術

003:触覚
Design: 触れた瞬間0.1秒への意識・そこで生まれる感覚の意識・WEBなどの挙動・UX(ユーザーエクスペリエンス)にあたる部分の追求
Other: 0.1秒での判断、その時間軸で気遣いをしてあげれる技術

004:嗅覚
Design: 現物・現場において、香りへの意識追求
Other: 場を香りの力で調整・ディレクションをする技術
自身の切り替えなどをコントロールしクオリティをあげる技術

005:味覚
Design: 味のある新しいデザインの追求・デザイン業界向上への追求
Other: 全ての感覚の受け皿となる人としての軸。全てを意識し今の最高を常に更新できるよう、味のある人間であり続けること。

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上記は要約になりますが、
このように五感をフル活用しデザインを追求しています。

すでにOUWNに触れていただいた方は、感じて頂けたかもしれませんが、制作前から五感を使ったアプローチは始まっていて、他の事務所では体験できないことも多いはずなので、楽しめて頂けたかと思います。

長くなりましたが、OUWNの五感で楽しむデザインについて少しでも理解していただけましたか?

日々の追求から生まれた感覚ですが、私達自身まだまだブラッシュアップしていけたらと思っています。デザイン以外でも繋がることもあるはずなので、一部でも参考になれば嬉しいです。

五感で楽しむデザイン。もしかしたら、その工程をもっとも楽しんでいるのは、追求している私たちかもしれません。

さて、次の話は、何にしよう。

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Profile
石黒 篤史 ( Atsushi Ishiguro )
OUWNのクリエイティブディレクター。東京生まれ。佐野研二郎主宰のMR_DESIGNを経て、 2013年に「OUWN株式会社」を設立。アートディレクションから、グラフィックデザイン、サイン計画、web設計など多角的に企画立案製作に携わり、設立当初より継続的に国内外でデザイン賞を多数受賞。Design Workの他に「People and Thought.」といった、デザインを基軸に置きつつ、人の思考や現代の当たり前の感覚など、ベーシックとされてしまった思考に対して「疑問を見い出す」を、テーマにした芸術活動・展示・作品製作も精力的に行う。
Instagram : https://www.instagram.com/ai_ouwn/



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