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Niphlex Administrator - Compile 解説

昨年末あろう事かクリスマスにリリースしましたNiphlex Administrator - Compileですが、長い間趣味で作り続けてきた音響集なので個人的には愛着のあるアルバムになりました。解説というか製作メモ的な読み物を。クリスマスにこれを出したのかよ~という感じですが、内容は2014年のリリースの中でもダントツの内に向いたハードコアです。去年は問題作連発する人が多くてビックリしておれも何か出したくなったので…。そもそもはポップ路線の曲製作に行き詰った時に気分転換に作ってた全然ポップじゃない音響で曲として完成しているのが30数曲あって、それらをまとめたら面白いんじゃないかな~という事で11曲まとめてみました。半数がノンビートで外に向けてどういう反応があるかは今回全く予想出来ませんが、個人的にはかなりグッと来る感じに仕上がったので、普段こういった音に触れた音が無い人も聴いてみてもらえたら嬉しいです。あとは収録時間01:10:10とかに合わせたかったけど、そこまで合わせられなくて泣く泣く断念…。というわけで実際にアルバムを聴きながら読んでもらえれば楽しめるかと思います。

01 Zero One Song (2010)

全ての曲に製作年月日を振っていますが、これは2010年の曲。元々全く弾けないギターの即興演奏で弦に10円玉でスライドさせたりして遊んでたファイルに色々なフィールドレコーディングの音を重ねました。これだけだと何か物足りなかったので、後半に別で作っていたミニマルの素材を合体。合計56トラック中お経と時計とドラムのサンプリング以外は全て自前で録音した素材です。とりあえずこの曲は『竹川ユキヒデ竹立てかけた』と『(地デジ対応なんか)なんもメリットねーじゃん。え、いやいや、映像キレイになるでしょ!いらねーよ全然別に、キレイないいとも見たってしょーがねーじゃん』って録音が使えて凄く良かった。これを作ってた当時はライヒを聴きまくってたんだと思う。曲構成完璧(半分ノイズ音響だけどw)あとマリンバのフレーズがキレイで好き。

02 東の魔女を殺せ (2009)

SC-88ST Proのみで作った曲。個人的にワルツが好きなんだけど、基本的に怪しくなる。作った後にFF4の踊る人形カルコブリーナにしか聴こえなかった曲。タイトルは当時ベストセラーだった『西の魔女が死んだ』から。ちなみに本は読んでません。

03 niphlex@gmail.com (2012)

音を聴かずにランダムにピアノロールに打ち込んだ音に、その打ち込んだ音を聴きながら和音を足したピアノの曲。自分は音楽理論はおろか楽譜も満足に読めないので、音を聴かずに打ち込んだフレーズがどうなっているのか頭で再生出来ません。なので手探りで相対的に音を探すという作り方なのですが、面白い響きを見つけて曲として完成した時は1週間くらいは幸せな気分になれる。タイトルの通り面白い人がいたら音源を送ってねって事です。

04 ジグソーパズル婦人 (2009)

これもSC-88ST ProとZOOMのマルチエフェクターだけで作った曲。これは一番曲のイメージが明確かも。子どもの頃に住んでた家の廊下にモナリザのジグソーパズルが飾ってあったんだけど、夜中の薄明かりの中トイレに行くのにその前を通るとジロジロ見られてる気配があって怖かった記憶の曲。かなり気に入ってる。

05 Psyche OS (2010)

プログレのようなミニマル。5/4 → 4/4 → 5/4 → 4/4 → 5/4 → 6/8の順番に拍子が6回変わる。軸の拍子に変拍子のフレーズが絡むので複雑にリズムが変化します。後半BPMが早くなった4つ打ちのようなリズムに聴こえますが、これはBPMもそのままで6/8の拍子で付点8分音符で打ち込んでいます。他が6/8のリズムで進んでいるのに拍子の軸が逆転したように聴こえる所が面白かった。タイトルの意味は古代ギリシアの生命という意味のプシュケーから。キカイの国のメインフレームコンピュータにインストールされている人工知能という設定。技術的特異点をテーマに作りました。それとアートワークでは2011って表記になってるんだけど、実は2010年の曲で超素で間違えた。

06 RecFile4 BPM94 (2012)

amenというMax/MSPのフリープログラムのサンプラーをいじってたら出来た曲。リアルタイムでいじったのを録音しただけなので6分25秒で完成。

07 NTSC TV (2011)

アナログ放送終了時にTVから流れてた全チャンネル分のノイズだけで作った曲。ベース音もブラウン管をミキサーに挿して電源を切った時に発生するノイズです。音楽として完成された曲も好きなんですがフィールドレコーディングを含めたただのノイズというのも聴いていて好きだったりします。普段生活してて耳に聴こえるノイズってあまり気にしないんだけど、録音物になると音として凄く気になる。これはこれで聴いてて好きなんだけど、ヘッドフォンのエージングなんかに使えるんじゃないでしょうか?w

08 宿屋の幽霊が死んだ (2011)

全てのパートを即興で演奏しました。厳密な意味での即興というよりも(そもそも即興というのは奏者のコントロールから外れて何か作品としての形を成さない何かだとも思う。主体性の無い行為を誰かの主観が評価する事?よくわかりません。)手癖に近いアドリブなのですが、普段は音を聴いて選びながら曲を構成していくのである意味で一番『素』の音になっていると思います。ベロシティの値も強弱付けて弾いたのでミックスが大変だった。

09 作曲家の苦悩のための自動ピアノ (2009)

niphlex@gmail.com と同じく音を聴かずに打ち込んだフレーズに和音を足していって完成させたピアノ曲です。それに別で作っていたフィールドレコーディングのコラージュ曲をミックスして完成。ピアノの録音中にコンデンサーマイクを立てて部屋でかすかに生活音を出してるのを薄っすらとミックスしてます。コラージュ曲とミックスする時にBPMがあってなかったのでピアノをタイムストレッチで調整したからちょっと音がよれてる。タイトルの意味としては自動ピアノ(シーケンサー)の補助を借りた所で作曲は作曲者の能力以上の事なんて出来ないというようなニュアンスです。

10 ダウンロードのためのmp3共有 (2012)

2秒程度のエレピのフレーズを4ファイル程用意してActive Zomahonというルーパーエフェクトでフレーズを変形させました。その後サンプリングして変形したリズムを切り貼りしたりピッチをいじったりしてキレイだと思う響きを繋ぎ合せて完成。音楽としてまとめるというよりも純粋に音響遊びとして作った曲。電子音の質感良く出せたと思う。質感フェチなので。

11 NTSC TV 2 (2011)

これもNTSC TVと同じくアナログ放送終了時にTVで流れていた音声をサンプリングして作った曲。ドラムもTVのサンプリングからやりたかったのだけど、ドラムが鳴っている音はなかったw なのでZOOMのSB-246やサンプリングのドラムでビートを作っています。ラストのブツっと入るノイズはTVの電源を切る瞬間の音です。一番普段の名義に近い曲だけど、こっちに入れました。そういえばNTSCはNational Television System Committeeの略なんですがTelevisionってすでに入ってるのにまたTVってタイトル付けちゃった所がちょっと雑な気もする。んだが、鏡の中の鏡みたいな感じでTVの中のTVってのは面白いかもしれないけど。


という感じでした~。 Niphlex Administrator - Compile 良かったらお聴き下さい。何せ破格の0円です!!良かったら感想も下さい。後で何か思い出して追加加筆もする事もあるかもしれませんが、ここまで読んでいただきましてありがとうございました。thank you for your attention. bye!!

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