データをざっくり俯瞰して「M-1グランプリ2022年大会ファイナリスト候補」を考えてみた

錦鯉・長谷川さんの涙で締めくくられた素晴らしい2021年大会が終わりました。M-1を愛する人からすると、M-1が終わった瞬間に「素晴らしい大会だった。来年はどうなるのだろうか」という予想を行う、1年の中でどこで頭を休めればいいのか、という悩みが付きまとって仕方ないことでしょう。

さて、ということでタイトル通り、来年のM-1ファイナリストを、この段階で考えてみました。今回は好みよりも先に「データ」を軸に考えてみました。今回でM-1は復活して7年が経ち、「前年の傾向と照応する」という意味では、6年分データが集計できる状態になったのです。

2015年大会の傾向を読むのは、前年のTHE MANZAIと比較しなければいけなく、なかなか難しいものがありました。また、M-1復活後は組数が変わったり、審査員が入れ替わったり、少し安定していないところがありました。ここ数年は大会運営の方針がかなり一定になったように思いますので、データで考えてみるのがより面白いかと考え、少し集計をしてみました。

もちろん、M-1の審査基準は「おもしろさ」です。全員が初出場ということもあり得ますし、全員がファイナリスト経験者ということもあり得るでしょう。そのため、あくまで「これまでの傾向」を考えると、どういった芸人の方々が全体の割合を占めていく可能性があるのか、ということを考察したものとなります。

人が選ぶものに6年分という少ないデータを基に傾向を読み取るというのは、ほとんどオカルトです。ジンクスと言い換えても良いでしょう。ただ、来年が待ちきれない私のような人からすると、参考程度に考えるには少し面白いデータなのではないかなと考えました。

とはいえ、記事を全部書いた後に、これから気合を入れて頑張る芸人さんのことを考えると、雑なデータを軸に素人が考えること自体が失礼であり、気分を害する側面があるな…と思いました。なので、気分を害された方には心よりお詫び申し上げます。また、嫌な気分になるだろうな……と感じられた方は、どうかブラウザバックいただくか、お目こぼしいただけますと幸いです。

さて、前置きはここまでにしますし、解説は後にします。まずは2016年~2021年のファイナリストを分類し、集計し表を貼り付けさせていただきます。

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今回は芸人さんをまず、「常連組」(=ファイナリスト経験者)、「初出場」に区分しました。なお、常連組には敗者復活でのファイナリスト経験者も含みます。

それだけだと傾向が読みにくく、あまりにも分析として雑になりますので、まず常連組を前年の決勝を経験した「連続出場」と、1年以上年数が空いたが過去にファイナリストを経験している「空白年有」に区分しました。

例を挙げると、2021年大会では錦鯉、インディアンス、オズワルドの3組が「連続出場」に該当し、ゆにばーす、ハライチの2組が「空白年有」に該当します。

初出場は「前年敗者復活」に参加した組と、前年の敗者復活に参加していない「ダークホース」に区分しました。

過去の敗者復活参加数も集計するか迷いましたが、ちょっと傾向があっちこっちブレそうな気配があったので、一度フラットにすべく集計しませんでした。機会があればその視点でも見てみたいところです。

さて、上記表から読み取れる傾向を1つずつ挙げていきます。

①連続出場の増減は交互に起きている

3→2→6→3→4→3と増減を繰り返しています。まず、連続出場が増加する要因として考えられるのは、決勝に進出して惜しくも敗退したが、まだ余力(ネタのストック)を残しているコンビが前年に多く出ていたということという仮説を立てています。

連続出場を行ったコンビが増えた反動として余力(ネタのストック)が減ってしまい、1年ほど力を貯めることになるコンビが出てくるという現象が翌年に起きるのではないでしょうか。憶測の域は出ませんが、この傾向のまま進むのであれば2022年大会では連続出場が4~5組ほど出てくる可能性があります。

②「ダークホース」の増加は、連続出場の増加と相反している

当たり前と言えば当たり前なのですが、常連組の連続出場が多い年と、敗者復活を経験していない初出場=「ダークホース」が多い年というのは相反します。そして①で述べたように、連続出場の増減は交互に起きています。

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つまり、連続出場が増えた年の翌年はダークホースが増えています。2020年→2021年ではダークホースがやや増え、連続出場が減っていたことから、2022年大会では敗者復活を経験していない初出場については2組以内に収まるという予測を立てることができます。

余談ですが、このダークホース枠で初出場を果たして、翌年に連続出場を果たしたファイナリストは2016年以後では、2019年大会のオズワルド、ニューヨークのみとなります。(※2019年大会のインディアンスは2018年の敗者復活で3位、2020年の錦鯉は2019年の敗者復活で9位のため非該当)

つまり、その他の連続出場を果たしているのは全て、前年に敗者復活を経験しているコンビです。ステップを踏むコンビの強さが窺えます。

③「空白年有」コンビの決勝進出はこれまでで最大2組

いわゆる「返り咲き」と言われる枠です。連続出場は非常に難しいことなのですが、返り咲きも同様に難しい枠となっています。

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2016年のハライチとスリムクラブ、2017年のジャルジャル、2020年のマヂカルラブリーとアキナ、2021年のゆにばーすとハライチ(※敗者復活)のが該当します。

狭き門ではありますが、記憶に新しいマヂカルラブリーの優勝もここに含まれます。相対的に芸歴が長い枠にもなりますので、経験を生かせる少し特殊な枠となります。

ただし、最大2組までしか勝ち上がっておらず、2018・2019では1組もいなかったということから、次年度は1組も来ない可能性も十分に考えられます。

なお、これまで空白年が有って連続出場を遂げたコンビというのは、M-1再始動後ではジャルジャルのみです(2015年ファイナリスト、2016年敗者復活6位、2017年・2018年ファイナリスト)。

スーパーマラドーナの4年連続決勝進出は、2017年が敗者復活による決勝進出のため、状況としては少し近いですね。

よっぽどコンビ歴が若い頃に評価を受け、かつ、ネタを量産できるタイプのコンビでないと、M-1決勝出場後、少し沈んでネタを再度磨く期間を経て、さらにその後連続で出場するというのは、芸歴15年という縛りの中では難易度が高い状況となっています。

④前年敗者復活参加組の初出場は、安定して2組以上

変動の多いファイナリストの選出状況ですが、唯一安定していたのがこちらです。前年敗者復活に出場しており、ファイナリスト経験のないコンビは2組以上がこれまで出場を続けています。

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詳細としては、2016年(さらば青春の光、相席スタート)、2017年(とろサーモン、かまいたち、ゆにばーす、マヂカルラブリー)、2018年(霜降り明星、見取り図)、2019年(からし蓮根、インディアンス)、2020年(錦鯉、東京ホテイソン)、2021年(ロングコートダディ、ランジャタイ)が全てです。総計14組となります。

ちなみにこの中には2本ネタをやった経験をあるコンビが7組(とろサーモン、かまいたち、マヂカルラブリー、霜降り明星、見取り図、インディアンス、錦鯉)、優勝コンビがそのうち4組(とろサーモン、マヂカルラブリー、霜降り明星、錦鯉)となります。

2016年以降の優勝者6組のうち、4組がこの勝ち上がり方を経験しているというのは、出場者予想というより優勝者予想の時に役立つデータかもしれません。2022年以降に参加が可能な芸歴で、ハライチのように何年か開いてからM-1に参戦するというパターンを想定しないとすると、この勝ち上がり方を経験して優勝していないコンビは現在、ゆにばーす、見取り図、からし蓮根、インディアンス、東京ホテイソン、ロングコートダディ、ランジャタイの7組が該当します。

①、②、③、④から導き出される2022年大会のファイナリスト予想は?

これらを加味すると、下記のような予想が経ちました。

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連続出場は増加することが予期される

オズワルド、インディアンス、ロングコートダディ、もも、ゆにばーす、真空ジェシカ、モグライダー、ランジャタイから4組というのが妥当な線ではないでしょうか。

今年はレベルの高い大会だったため、どこのコンビが有力かと予想するのも難しいところです。個人的な予想としては、今年と違う傾向のネタのストックが多いロングコートダディ、もも、真空ジェシカ、モグライダーから3組、これまでのM-1のキャリアを積み重ねてきたオズワルド、インディアンス、ゆにばーすから1組というのが有るラインかなと思います。

ダークホース枠から連続出場を行ったコンビが少ないことを考えると、ややロングコートダディが優勢です。オズワルド、インディアンスは2022大会に進出すると、和牛以来の4連続大会出場となります。

ランジャタイはマヂカルラブリーが2年連続で行かなかったことを思うと少々厳しい気がします。ただし、ランジャタイは来年がラストイヤーなので、2022年にお茶の間人気を高めてブレイクできれば、敗者復活からしれっと勝ち上がるかもしれません。

空白年有コンビは最大で2組

今年ファイナリストの座を逃したコンビで、かつ、ファイナリスト経験者は多くて2組と思われます。2018年・2019年が0組だったことを考えると、1組が濃厚なのではないかとも思われます。

ただし、該当するコンビでかつ2021年大会でも参加を続けているコンビは非常に数が多いです。さや香、トム・ブラウン、東京ホテイソン、見取り図、馬鹿よ貴方は、からし蓮根、モンスターエンジン、アキナ、カミナリ、ミキ、すゑひろがりず、ニューヨーク、ウエストランドの13組かと思います(※目視でカウントしたため、見逃しがあったら申し訳ございません)。

そのうち4組(東京ホテイソン、見取り図、からし蓮根、ニューヨーク)は今年の敗者復活にも進出。例年通りの実力が大舞台で発揮されています。個人的には、舞台を主戦場にしておりネタのストックが多くありそうなからし蓮根は、年齢的な伸びしろからも、返り咲きの筆頭のように思います。また、ラストイヤーとなる見取り図が1年間でネタを磨きまくることへの期待値はかなり高いのではないでしょうか。

前年敗者復活からの初参加は2組以上

敗者復活戦に今年参加した中で、ファイナリストを未経験、かつ来年に出場資格があるコンビというのは限られます。キュウ、アインシュタイン、ダイタク、マユリカ、ヨネダ2000、ヘンダーソン、カベポスター、男性ブランコ、金属バットの9組です。

順当に投票数で言うなら金属バット、男性ブランコ、マユリカあたりが可能性が高いところですが、視聴者投票と審査員の考えは差異があるため、読みにくい部分です。個人的には敗者復活を5回経験しているアインシュタインや、4回経験しているダイタクも注目どころではないかと思います。

ダークホースは2021年大会より減少

前年敗者復活に参加していない芸人というと、非常に範囲が広いので難しいのですが、連続出場が増える前提で行くと今年よりは減少するとして、ここから2組が行くというのが順当な数かと思います。

例えば令和ロマン、ストレッチーズ、シシガシラといったここ数年下馬評の高いコンビ、井下好井やダイヤモンド、デルマパンゲなどの劇場出演のベテラン、ラランドやコウテイや滝音といった人気者もいます。本当にキリがないので、ここは読めないところです。

個人的にはABCグランプリの系譜から、コウテイ、エンペラー、セルライトスパあたりが可能性があるのではないかと思います。また、キングオブコントファイナリストが躍進するケースも例年増えてきているので、ニッポンの社長やGAGが上がってくる可能性もあります。

結論:諸々総合した個人的なファイナリスト予想

連続出場=ロングコートダディ、オズワルド、真空ジェシカ、ゆにばーす

空白年有コンビ=からし蓮根、見取り図

前年敗者復活=金属バット、ダイタク

ダークホース=令和ロマン、セルライトスパ

全体的に少し年齢が若めの人たちを選んでみましたが、いかがでしょうか?

冒頭で述べましたが、もちろん、これから戦う全ての芸人さんたちがいるので、軽々に予想を立てること自体が微妙なことなのですが、来年のM-1を楽しむためにこの段階で予想を立ててみました。気分を害されましたら、あらためて申し訳ございません。

オチは特にありませんが、こういう予想全部バカらしかったなあ!2022年大会は全組初出場かよ!みたいな結果も含めて、来年もとても楽しみです。それもM-1ですよね。

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