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キングオブコント2023感想

サルゴリラの優勝で幕を閉じたキングオブコント2023。今回のnoteでは、各ネタの感想を書いていこうと思う。

オープニング

昨年よりもパワーアップしたオープニング。一字一句全てに意味がある完璧なラップパートから、キングという高い壁に挑むことを表した三浦大知パートまで、キングオブコント2023が素晴らしい大会になることを予感させるものだった。

ファーストステージ

① カゲヤマ 94点

決勝初進出。
トップバッターの悪影響を感じさせないネタ。大声謝罪で掴み、全裸土下座で会場の空気を一気にカゲヤマの色に染めた。視覚的なインパクトが凄まじく、馬鹿馬鹿しさ全開のネタでめっちゃゲラゲラ笑ったし面白かった。その一方で、冷静に見ると終盤の展開やラスト30秒の使い方等がもったいないと感じてしまう点もあったのは少し残念。

② ニッポンの社長 95点

4年連続4年目の決勝。
ありがちな設定から独自性の高いネタを作り出すのが凄い。最初は辻の凶器で笑いをとるネタと思わせておいて、だんだんと不死身なケツの狂気が軸になっていくというコントラスト。スローパートを入れたり、武器の使い方で展開を上手に作っていたところも非常に良いネタで、ニッ社の真骨頂なネタだと思った。

③ や団 93点

2年連続2回目の決勝。
これが噂の灰皿コント。や団らしい緻密な台本と適材適所のキャラ配役は今年も健在。それに加え、絶妙な間から成る感情の機敏の表し方や、チャレンジ性の高い仕掛けを軸にしているという点が面白かった。ただ、審査員の評価を見るに、前2組や前年のや団自身のコントが高すぎるハードルとなってしまっていたように感じた。

④ 蛙亭 92点

2年ぶり2回目の決勝。
中野がコケる掴みは完璧。中野のキャラは2年前よりも洗練されており、内容に関しても非常に完成度の高いコントで面白かった。ただ、ラストの下りを含め、掴みを越える笑いを最後まで産み出せないまま終わってしまった感が否めなかったことや、イワクラ側からの展開が乏しかったことが点数が伸びなかった原因であるように感じた。

⑤ ジグザグジギー 94点

7年ぶり3度目の決勝。
これが市長か。自分は、このコントのやりたかったことが判明した瞬間大爆笑した。中盤までの最大風速は今大会トップと言っても過言ではなかった。なんと言っても松本人志本人?の前でこのネタをするという行為自体が攻めすぎてて面白い。ただ、審査員達の言うように、終盤の展開に賛否両論あるのは副作用として仕方ないか。

⑥ ゼンモンキー 91点

決勝初進出。
良くも悪くも実力派の若手トリオらしいコント。賽銭の使い方やオチまで駆け抜けたという所は流石ファイナリストであり、十分な評価に値するが、展開を中心に、こういった雰囲気の大会を勝ちきるだけのパワーはまだ持ち合わせていないように感じたのもまた事実。数年前なら最下位はあり得ないレベルで面白かったのだが。

⑦ 隣人 91点

決勝初進出。
彼らにしか作り出せないこの独特な世界観は癖になりそう。発想力は非常に目を見張るものがあったと思うが、賞レースで戦う上では笑いのポイントを増やすか、より大きな一撃が必要であるという感想を抱いた。だが、ゼンモンキーの逆で決勝に残れるレベルのパワーを感じられたので、この経験を糧にした来年以降が非常に楽しみな存在。

⑧ ファイヤーサンダー 94点

決勝初進出。
これは非常に設定が良いネタ。そっくり林監督の追いバラシや、2人の掛け合い、架空モノマネ芸人大喜利もハイレベルで推移し、終盤の展開も含め非常に練り上げられた、自分的には非常に好みでお手本にしたいぐらい面白いコントだった。ただ、ファイナル進出3組に競り負けたのは、爆発力不足であるという印象を抱くコントでもあった。

⑨ サルゴリラ 95点

決勝初進出。
ベテランらしさ溢れる、緻密に計算された展開で構成された、尻上がりに面白くなっていくコント。その中に、午前中に区役所行って…や、くつ下にんじんなどのインパクトあるワードを放り込むことで会場の空気を一気に掴んだ。また、ボケの児玉と違い、ツッコミの赤羽の言動に一切の無駄がない点がコントの更なる面白さを引き出している。

⑩ ラブレターズ 92点

7年ぶり4回目の決勝進出。
サルゴリラが爆発した波に飲み込まれてしまった印象を受けた。賞レースで勝ちきるために詰め込んだ様々なコントの要素が、ラスト出番というたったひとつの要素に書き消され、追い風ムードでのネタ披露とならなかったのが惜しい。しかし、7年ぶりに見たラブレターズがさらにカオスになってかつ、さらに面白くなっていたのは感動すら覚えた。

ファイナルステージ

審査員が同じですを被せたせいで、進行に不備が発生しダーハマがぶちギレ。それを見事にカバーした日比アナには拍手を送りたい。

① ニッポンの社長 92点

初のファイナルステージ進出。
1ボケ目まではどうなることかと思ったが、作り上げた雰囲気をシンプルなツッコミで破壊してきて、その後にはさまざまな仕掛けで最後まで飽きずに楽しめるネタ。そして最後にもう一度狂気に舵を切る所がニッ社らしい。ただ、個人的には大笑いしたポイントが少なかったので少し厳しめの評価に。

② カゲヤマ 93点

初のファイナルステージ進出。
うんちのネタという入り口からは想像も出来ない内容のネタ。1本目のパワー全開なネタとはうって変わって、言葉の一つ一つにパンチ力とテクニックが感じられる素晴らしいネタだった。そして、うんちを最初の一回しか言っていないことを指摘した松ちゃんのコメントが、このコントの楽しみ方を端的に表していたように思った。

③ サルゴリラ 95点

初のファイナルステージ進出。
サルゴリラという哺乳類のコンビ名なのにこのネタはなんと魚一本で勝負。だが、こういったシンプルな繰り返し系のネタだからこそ、ベテランの技術力が光っていたというのを強く感じた。魚というワードを巧みに使ってどんどん面白くなっていくいったこのネタは、優勝という魚を決める2本目にふさわしいネタであったように思った。

個人的な順位

ファーストステージ
1 サルゴリラ
2 ニッポンの社長
3 ジグザグジギー
4 カゲヤマ
5 ファイヤーサンダー
6 や団
7 蛙亭
8 ラブレターズ
9 ゼンモンキー
10 隣人
ファイナルステージ
1 サルゴリラ
2 カゲヤマ
3 ニッポンの社長
二本合計
1 サルゴリラ
2 カゲヤマ
3 ニッポンの社長

今回はこういった順位となったが、もう一度見た場合、また順位が入れ替わるかもしれないぐらい接戦でハイレベルな大会だった。

まとめ

今年も面白かった。正直ABCの時期は不安もあったが、コントのレベルはめちゃくちゃ向上していると感じた。ただ、一つだけ注文をつけるとするならば、今年のネタは惜しいなと感じる部分が例年よりも多くあったように感じた。しかし、それは昨年一昨年のハイレベルなキングオブコントを経て、こちら側の見る目が肥えた面もあると思う。ベストワンのハナコをみても分かるように、歴代キングたちの歩みも止まっていないこともあって、面白いと思うハードルが上がりすぎている。そんな厳しい状況の中でもファイナリストになり、決勝戦を大いに盛り上げ戦い抜いた10組、そして、その10組を厳正に審査した審査員5名には大きな賛辞を送りたい。今年も素晴らしい大会だった!

サルゴリラ!
優勝おめでとう!
コントという魚を
一生続けてくれ!

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