M-1グランプリ2022追記

このnoteでは、審査員の採点を中心に、感想noteで書けなかったことを書いていこうと思う。

王者ウエストランドについて

ファーストラウンドで井口が吠えた皆目見当違いな分析をするお笑いファンについて、様々な人が自首したり反論という名のお気持ち表明したりしていたが、個人的な意見としては、そもそも自分もこういうnoteを書いてるけど、正直俯瞰で見ると自分のことは恥ずかしいですよ。だって素人が皆目見当違いな意見言ってるんだから。
だが、この素人が皆目見当違いな意見を言ってきたことこそが、M-1がここまで影響力の大きな大会になった大きな要因だと思う。しかし、芸人側からすればそんなに気持ちの良いものではないのだろう。漫才論争を始め、敗者復活戦の件や滑り大魔人など、さすがに言い過ぎやろという事案が多いのもまた事実。
また、さや香の方が良かったという意見については、まぁ気持ちは分かるけど…個人的には、さや香が良かったという風潮に対しても毒を吐きまくる井口を見てみたい。そして井口には、中山功太やとろサーモン久保田のような毒味の強い王者になって欲しい。という皆目見当違いな願望です。

審査員採点考察

ここでは、審査員の採点を考察していく。個人的には席順変更が激熱だった。

ファーストラウンド

※カッコ内は実際の順位

松本人志
1 男性ブランコ 96点(4位)
2 さや香 95点(1位)
3 ウエストランド 94点(3位)
4 ロングコートダディ 93点(2位)
5 オズワルド 92点(7位)
6 ヨネダ2000 91点(6位)
7 カベポスター 90点(8位)
8 真空ジェシカ 88点(5位)
9 ダイヤモンド 87点(10位)
10 キュウ 86点(9位)
平均点 91.2点
点差 10点

男ブラ最高評価。男ブラにすればKOCのボトルメール低評価のリベンジ成功。最終決戦進出3組もしっかり高評価しているが、動きの多かったロコディが3組の中では最低評価。中位以下ではオズワルド高評価の真空低評価。ちなみに、審査員7名で唯一、全組に異なる点をつけていた。流石。

礼二
1 さや香 97点(1位)
2 ウエストランド 96点(3位)
2 男性ブランコ 96点(4位)
4 ロングコートダディ 95点(2位)
5 真空ジェシカ 94点(5位)
6 オズワルド 92点(7位)
6 カベポスター 92点(8位)
8 ヨネダ2000 90点(6位)
8 キュウ 90点(9位)
10 ダイヤモンド 89点(10位)
平均点 93.1点
点差 8点

松本とは異なりさや香を最高評価。上位勢の中では、松本同様ロコディが少しだけ低評価だった。下位に目を向けると、カベポスター高評価気味のヨネダ低評価だった。全体順位との一致率が高かった印象。

立川志らく

1 ウエストランド 98点(3位)
2 ヨネダ2000 97点(6位)
3 ロングコートダディ 96点(2位)
4 さや香 95点(1位)
4 オズワルド 95点(7位)
6 男性ブランコ 94点(4位)
6 真空ジェシカ 94点(5位)
8 カベポスター 89点(8位)
8 キュウ 89点(9位)
10 ダイヤモンド 88点(10位)
平均点 93.5点
点差 10点

唯一のウエラン1位評価。また、イメージ通りのヨネダ高評価で、地味にオズワルドも高評価。その一方、さや香・男ブラは低評価気味で、順位通りだが点数的にはカベポスター低評価だった。

富澤たけし
1 さや香 97点(1位)
2 ロングコートダディ 96点(2位)
3 男性ブランコ 95点(4位)
4 ウエストランド 94点(3位)
5 カベポスター 93点(7位)
6 真空ジェシカ 92点(5位)
7 ヨネダ2000 91点(6位)
8 オズワルド 90点(7位)
8 キュウ 90点(9位)
10 ダイヤモンド 88点(10位)
平均点 92.6点
点差 9点

さや香最高評価で、ロコディも高評価。その一方で、これまでの3名とは違いウエランが低評価気味。中位以下ではカベポスター高評価のオズワルド低評価気味だった。また、全体順位との一致率が一番高かった。

塙宣之
1 ヨネダ2000 96点(6位)
2 さや香 95点(1位)
3 ロングコートダディ 94点(2位)
4 ウエストランド 93点(3位)
5 男性ブランコ 92点(4位)
5 真空ジェシカ 92点(5位)
5 カベポスター 92点(8位)
8 オズワルド 90点(7位)
9 キュウ 88点(9位)
9 ダイヤモンド 88点(10点)
平均点 92点
点差 8点

なんと言ってもまさかのヨネダ最高評価。よほど琴線に触れたと言っても良いだろう。それ以外で特筆する所は、男ブラ低評価気味のカベポスター高評価ぐらい。

博多大吉
1 さや香 96点(1位)
2 カベポスター 94点(8位)
3 ウエストランド 93点(3位)
3 オズワルド 93点(7位)
5 ロングコートダディ 92点(2位)
5 真空ジェシカ 92点(5位)
7 男性ブランコ 91点(4位)
7 ヨネダ2000 91点(6位)
9 キュウ 90点(9位)
9 ダイヤモンド 90点(10位)
平均点 92.2点
点差 6点

最高評価はさや香。カベポスター・オズワルド高評価のロコディ・男ブラ・ヨネダ低評価から見るに、落ち着いたトーンのしゃべくり漫才が好みで、動きの多い漫才が好みじゃ無さそう。ちなみに、点差が7名の中で最小。

山田邦子
1 真空ジェシカ 95点(5位)
2 ロングコートダディ 94点(2位)
3 さや香 92点(1位)
4 ウエストランド 91点(3位)
4 ヨネダ2000 91点(6位)
6 オズワルド 87点(7位)
6 キュウ 87点(9位)
8 男性ブランコ 86点(4位)
8 ダイヤモンド 86点(10位)
10 カベポスター 84点(8位)
平均点 89.3点
点差 11点

最高評価は真空ジェシカ。ロコディ・ヨネダ・キュウが高評価気味だった一方、男ブラは結構低評価。最低評価のカベポスターはトップのとばっちりを受けた印象。全体的な採点は落ち着く所に落ち着いた感じ。これぐらいの好みは恵美ちゃんもあったから十分許容範囲内。

平均順位

1 さや香 2位(1位)
2 ウエストランド 3位(3位)
3 ロングコートダディ 3.3位(2位)
4 男性ブランコ 4.6位(4位)
5 ヨネダ2000 5位(6位)
6 真空ジェシカ 5.1位(5位)
7 オズワルド 5.7位(7位)
8 カベポスター 6.1位(8位)
9 キュウ 8.3位(9位)
10 ダイヤモンド 9.3位(10位)

点差がほとんどなかったロコディとウエラン、真空とヨネダが入れ替わった。

ファーストラウンドまとめ

さや香→王者3名から最高評価!目立った低評価も無し!
ロコディ→最高評価こそいないものの、概ね高評価。大吉からは低評価。
ウエラン→志らくからは最高評価。目立った低評価もない。
男ブラ→松本からは最高評価。礼二・富澤も高評価。大吉・邦子からは低評価…
真空ジェシカ→邦子からは最高評価。松本からは低評価…
ヨネダ→塙からは最高評価で志らくからも高評価。王者3名からは低評価気味。
オズワルド→志らく・大吉からは高評価。邦子・富澤・塙からは低評価。
カベポスター→大吉からは高評価。志らくからは低評価。邦子からは最低評価。
キュウ→邦子からは高評価気味も、松本・大吉・塙からは最低評価…
ダイヤモンド→誰にもハマらず、邦子・松本以外から最低評価…

最終決戦

最終決戦進出3組のファーストラウンド最高評価は、

さや香→松本・礼二・富澤・塙・大吉
ロコディ→邦子
ウエラン→志らく

というさや香有利な状況。だが、2連続ウエストランドで形勢逆転。さや香が滑った訳でも無いのに、大吉以外の5名が全員ウエストランドに寝返る大逆転が起こった。

冬季五輪式採点

冬季五輪式採点とは、7人の採点の内、最高点と最低点を抜いた場合の点数である。
※カッコ内は700点満点換算の点数と実際の順位

1 さや香 478点(669点)(1位)
2 ロングコートダディ 472点(661点)(2位)
3 ウエストランド 470点(658点)(3位)
4 男性ブランコ 468点(655点)(4位)
5 真空ジェシカ 464点(650点)(5位)
6 ヨネダ2000 460点(644点)(6位)
7 オズワルド 457点(640点)(7位)
8 カベポスター 456点(638点)(8位)
9 キュウ 444点(621点)(9位)
10 ダイヤモンド 440点(616点)(10位)

順位変動はなかったものの、男ブラ・真空・カベポスターの点数が上昇。その一方、ヨネダの点数が下がった。

続投審査員-1グランプリ

昨年まではアンダー60-1グランプリだったが、審査員変更により、今年のアンダー60-1グランプリ=全体得点-邦ちゃんという他の人もやってる指標になってしまうので名称変更。ここでは、合計得点から新審査員(邦子・大吉)の2人の得点を抜いた場合の順位である。また、これまで同様志らく抜きverも。

ファーストラウンド
1 さや香 479点(671点)(1位)
2 ウエストランド 475点(665点)(3位)
3 ロングコートダディ 474点(664点)(2位)
4 男性ブランコ 473点(662点)(4位)
5 ヨネダ2000 465点(651点)(6位)
6 真空ジェシカ 460点(644点)(5位)
7 オズワルド 459点(643点)(7位)
8 カベポスター 456点(638点)(8位)
9 キュウ 443点(620点)(9位)
10 ダイヤモンド 440点(616点)(10位)
最終決戦
ウエストランド 5票(松本・志らく・礼二・富澤・塙)

志らく抜きver
ファーストラウンド
1 さや香 384点(672点)(1位)
2 男性ブランコ 379点(663点)(4位)
3 ロングコートダディ 378点(662点)(2位)
4 ウエストランド 377点(660点)(3位)
5 ヨネダ2000 368点(644点)(6位)
6 カベポスター 367点(642点)(8位)
7 真空ジェシカ 366点(641点)(5位)
8 オズワルド 364点(637点)(7位)
9 キュウ 354点(620点)(9位)
10  ダイヤモンド 352点(616点)(10位)
最終決戦
ウエストランド 4票(松本・礼二・富澤・塙)

5人verではウエランが2位に浮上。男ブラがロコディと1点差に詰め寄り、ヨネダ・オズワルドの点数も上昇。その一方で邦ちゃん最高評価の真空は順位・点数を下げる結果に。
志らく抜きverでは男ブラが2位に浮上。その一方でウエランは4位になった。中位ではカベポスターが上昇、オズワルドが低下という結果に。
最終決戦は、全員がウエストランドに投票した。

漫才師-1グランプリ

漫才師-1グランプリは、合計得点から異業種(邦子・志らく)2人の得点を抜いた場合の順位である。

ファーストラウンド
1 さや香 480点(672点)(1位)
2 ロングコートダディ 470点(658点)(2位)
3 ウエストランド 470点(658点)(3位)
3 男性ブランコ 470点(658点)(4位)
5 カベポスター 461点(645点)(8位)
6 ヨネダ2000 459点(643点)(6位)
7 真空ジェシカ 458点(641点)(5位)
8 オズワルド 455点(637点)(7位)
9 キュウ 444点(622点)(9位)
10 ダイヤモンド 442点(619点)(10位)
最終決戦
ウエストランド 4票(松本・礼二・富澤・塙)
さや香 1票(大吉)

※同点の3組の中での最高得点は、ロコディ=富澤・塙、ウエラン=大吉・(礼二)、男ブラ=松本・(礼二)だったため、ロコディを2位に、ウエランと男ブラでは、ウエラン=大吉・塙・(礼二)、男ブラ=松本・富澤・(礼二)だったため、同率3位に。

さや香の1位はより磐石に。2位以下は男ブラが急上昇でロコディ・ウエランと同点に。中位以下ではカベポスターが10点以上上昇して5位になった一方、真空は6点下げて7位になってしまった。

賞レース戦士-1グランプリ

賞レース戦士-1グランプリは、大吉・礼二・富澤・塙の4名の合計得点の順位である。

ファーストラウンド
1 さや香 385点(674点)(1位)
2 ロングコートダディ 377点(660点)(2位)
3 ウエストランド 376点(658点)(3位)
4 男性ブランコ 374点(655点)(4位)
5 カベポスター 371点(649点)(8位)
6 真空ジェシカ 370点(648点)(5位)
7 ヨネダ2000 368点(644点)(6位)
8 オズワルド 365点(639点)(7位)
9 キュウ 358点(627点)(9位)
10 ダイヤモンド 355点(621点)(10位)
最終決戦 
ウエストランド3票 (礼二・富澤・塙)
さや香 1票(大吉)

さや香一位は変わらず。男ブラは点数が上昇したが惜しくも4位。また、カベポスターが大幅に点数と順位を上げていた。

漫才サミット-1グランプリ

漫才サミット-1グランプリは、漫才サミット勢3人(礼二・富澤・塙)のみの合計得点の順位である。

ファーストラウンド
1 さや香 289点(674点)(1位)
2 ロングコートダディ 285点(665点)(2位)
3 ウエストランド 283点(660点)(3位)
3 男性ブランコ 283点(660点)(4位)
5 真空ジェシカ 278点(649点)(5位)
6 カベポスター 277点(646点)(8位)
7 ヨネダ2000 277点(646点)(6位)
8 オズワルド 272点(635点)(7位)
9 キュウ 268点(625点)(9位)
10 ダイヤモンド 266点(621点)(10位)
最終決戦
ウエストランド 3票(礼二・富澤・塙)

※ウエランと男ブラは、ウエラン=塙・(礼二)、男ブラ=富澤・(礼二)だったため同点扱い。

ウエラン以外の上位陣は点数が上がっていた。中位以下ではカベポスターが健闘した一方で、オズワルドが下がるという展開に。

歴代王者-1グランプリ

歴代王者-1グランプリとは、歴代漫才賞レース王者の3名(大吉・礼二・富澤)のみの合計得点の順位である。

ファーストラウンド
1 さや香 290点(677点)(1位)
2 ウエストランド 283点(660点)(3位)
3 ロングコートダディ 283点(660点)(2位)
4 男性ブランコ 282点(658点)(4位)
5 カベポスター 279点(651点)(8位)
6 真空ジェシカ 278点(649点)(5位)
7 オズワルド 275点(642点)(7位)
8 ヨネダ2000 272点(635点)(6位)
9 キュウ 270点(630点)(9位)
10 ダイヤモンド 267点(623点)(10位)

※ロコディとウエランは、ウエラン=大吉・礼二、ロコディ=富澤だったためため、ウエランを2位に、ロコディを3位とした。

さや香が断トツ1位。ロコディとウエランが入れ替わり、男ブラ・カベポスターが上昇する見たことある傾向が。ちなみに、ヨネダ2000は実際の点数よりも12点下がった。

相関係数

ここからは、審査員同士の相関係数を調べていく。今年の審査員はどうなってる?

松本礼二 0.807
松本志らく 0.691
松本富澤 0.788
松本塙 0.635
松本大吉 0.530
松本邦子 0.167
礼二志らく 0.589
礼二富澤 0.904
礼二塙 0.526
礼二大吉 0.613
礼二邦子 0.446
志らく富澤 0.513
志らく塙 0.748
志らく大吉 0.316
志らく邦子 0.656
富澤塙 0.690
富澤大吉 0.627
富澤邦子 0.417
塙大吉 0.504
塙邦子 0.576
大吉邦子 0.195

トップ3は、礼二富澤、松本礼二、松本富澤。余談だが、この3名から高評価だったのは男性ブランコ。ワーストは松本邦子。邦子は多様性の担保という面では役割を果たしたと言っても良いだろう。

また、それぞれの一番近い人・遠い人は、

松本 近い人→礼二・遠い人→邦子
礼二 近い人→富澤・遠い人→邦子
志らく 近い人→塙・遠い人→大吉
富澤 近い人→礼二・遠い人→邦子
塙 近い人→志らく・遠い人→大吉
大吉 近い人→富澤・遠い人→邦子
邦子 近い人→志らく・遠い人→松本

近い人については、松本・礼二・富澤グループと志らく・塙グループと言った感じ。新審査員2名の内、大吉は松本グループ、邦子は志らくグループ寄りというイメージ通りの分かれ方。逆に遠い人は、邦子以外の6人については、ヨネダ高評価コンビのみ大吉で、その他の4人は邦子という結果に。

余談ですが、私の採点との相関係数は、

松本 0.823
礼二 0.910
志らく 0.751
富澤 0.918
塙 0.825
大吉 0.645
邦子 0.607

そんなに大きなズレがないんですね。邦ちゃんごめんね。

総括

様々な視点で審査員の調査を行ったが、個人的な意見として、この7名のバランスはこれはこれであり。ただ、個人的な懸念は、大吉先生の調査傾向。今年の大吉先生は結構オール巨人師匠味を感じる審査傾向だったが、来年以降、礼二富澤辺りとの相関係数が高くなると、一度審査員を退いた時のデジャブが訪れそうで怖い。(強いて挙げるならというぐらいの懸念点ではある)
志らく師匠や邦ちゃん的な存在については、そういう漫才から一歩離れている芸人の存在がM-1をM-1足らしめるものだと思う。キングオブコントのように全員がコントレジェンドというガチガチな審査員もそれはそれで良さがあるけれど。

ということで、M-1グランプリ2023…の前に、THE SECONDという新たな漫才の賞レースが始まるみたいで。来年の漫才はさらに盛り上がりそうで楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?