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惹女香花「どうせみんな、お笑い好きなんでしょって思うから」

惹女香花・写真 早稲田大学お笑い工房LUDO所属。一瞬だけ立正大学お笑い研究会という謎の団体にも所属していた。ちなみに彼の世代だけ、鬼ごっこのことをドロケイではなくドロPと呼んでいた。
渡邉・筆者 帝京大学お笑いサークルア☆テンション所属。もう「watch4年」で名乗ったほうが通じるまでになってしまった。
湯澤・撮影者 帝京大学お笑いサークルア☆テンション所属。最近ラインの名前を「漢字→カタカナフルネーム」に変えていた。何故だろう。


初舞台〜今の芸風になるまで

渡邉 惹女自身がお笑い始めたのが、(2020年)秋からなんだっけ?
惹女 そうですね。コロナと同時に入学してるんで。(春から)動いてる人は交流会みたいなのがあったらしいんですけど、最初にネタ見せしたのは10月31日ですね。で、11月にオンラインの客無しの学祭で初舞台みたいな感じで。最初は漫才。
渡邉 入部もその時点で?
惹女 よく分かんないんですよね。4,5月が大学の授業すら無かったような。サークル動き出したのもちょっと遅めで、結局みんな10月ぐらいまで何もしてないですね。
渡邉 でも最初は漫才だったんだ。
惹女 最初とりあえずみんな(コンビ)組むじゃないですか。最初のその時は男女コンビで。最初は一年生がやる普通の漫才で。全然ウケなかったですね。
渡邉 どんなネタ?
惹女 スタバの店員みたいな設定のネタで。ただコントやるみたいなスタバの漫才ですね。
渡邉 最初からピンでやろうみたいなのは無かったんだ。
惹女 そうですね。怖かったので。(LUDOの)一年生の最初でピンやる人って、大体相方飛んじゃった子なんですよ。やっぱハナからピンやる子ってあんまりいないんで、とりあえずみんな組んで。最初とりあえず組んで、滑りましたね。
渡邉 どれぐらいの時期からピンに?
惹女 11月が初舞台で、次が12月で。LUDOの人すら客席にいない、ただ動画を撮るだけのライブがあって。それも漫才なんですけど、それはちょっとウケて。ネタ見せから別のスタイルでやったらウケて。そう、僕、ツイッターでネタツイしてたんですけど、5,6,7月に。
渡邉 それが、カテキンの?

惹女 「カテキンをもう一度」っていう、架空のものを戦わせてトーナメントするやつがあって、それを(ネタに)移植してみたんですよ。漫才のたとえツッコミにそれを入れてみたらめっちゃネタ見せでウケて、12月のライブ出て、1月も一個だけライブ出て、2月に、「なんかピンやってみようかな」と思って。
渡邉 結構遅くなってからなんだね。
惹女 2月初めてピンで、ガクコメエントリーしてみたらめっちゃ反応良くて、「なんか向いてるんじゃないか」。
渡邉 それからずっと「ピンでやっていこう」って感じで?
惹女 ちょうどよくて。普通にネタ合わせもしなくていいじゃんって。最初の相方の子が神奈川あたりに住んでて、僕が千葉なんで毎回新宿あたりに行ってたんですけど、(ピンネタなら)書きたくなったら家で作れるし、良いかなと。
渡邉 最初はどんなピンネタしてたの?
惹女 粗品さんみたいな感じです。色んなイラスト出てきて、それに一言言うみたいな。初期は何も思いつかなくて。ガクコメ最初出たら1位で、「これは向いてるわ」と思って、その後も結構良い順位だったんで、2月、3月はずっとそれをやってました。
渡邉 その頃ぐらいにベレー帽被ってたのは?
惹女 あれは可愛いからです(笑)。まぁ、それから絵のフリップやって、一ヶ月ぐらい経ってから違うのやってみよう思って。それも羅列なんですけど、『ない〇〇』っていうネタを作って。
渡邉 その時期から『ない〇〇』があったんだ。
惹女 3月末にそれができて。めっちゃウケてたとかじゃないんですけど、同期とかに「こっちのほうが味が出てるんじゃない」って言われて、結局それで芸会も出て。そっからちょっとずつ色んなネタをやり始めましたね。
渡邉 色んなネタを並行しながらやってたけど芸会はこれでみたいな?
惹女 大会でランダムフリップって…今となっては全部分かってるんですけど(笑)、やっぱり一貫性がないので「何見せられてるんだ」ってなっちゃうので、大会では「違うな」ってのは感じてはいて、とりあえず芸会ではオリジナルのネタで行こうと思って『ない〇〇』。ま、敗者復活とかにもし上がったらランダムフリップしてもいいかなとは思ってました。
渡邉 やっぱり最初から結果が出てたりすると、同期からも注目してもらったりした?
惹女 僕が多分他の一緒にやってる同期とかと比べてると出遅れてる感じがあって。10月のライブは印象に残ってなかったんで、11月のネタ見せで漫才がウケてからは「こいつちょっとやりそうだな」って見ててもらえてたかもしれないです。それからピンやってたら、1年生ながら「NOROSHIっていう大会があるみたいだ、こいつピンで良いかも」みたいなのはありましたね。まあ僕がってより同期の周りも最初からウケてたので、みんなで頑張ってる感じです。

【壁に一足早いクリスマスの装飾があった】

ライブほぼ全部見てた

渡邉 はなればなれ(惹女のコンビ)はどれぐらいの時期に?
惹女 それもギリ2月なんですよね、ピンで初めてライブ出て、コンビも新しくやってみようって感じで二瓶って相方が声掛けてくれて。それは最初滑ったんですけど、二回目ぐらいからスタイルなんとなくこうしたら良いかな〜ってなってきて、ちょっと普通のネタってよりは、動きのあるネタでいけんじゃないかなということで。
渡邉 確かに、ちょっとメタというか。
惹女 それも一年生ならではというか(笑)。
渡邉 どういうこと?(笑)
惹女 なんか一年生って、こう、最初メタをやりがちなとこがあると思うんですよ。まず「これ、お笑いというものをイジったら面白いぞ」ってなるんですよ。僕らも最初やってて、徐々に「そうじゃなくてもいいかな」ってなってきたと思うんですけど。
渡邉 一年生特有の「普通にやりたくない」みたいなのはあったと。
惹女 「普通にやりたくない」というより、「見つける」みたいなのはあったと思います。今まで受動的にお笑い見てただけなのが、やり始めたら人のお笑いも見だすから「この視点良いんじゃね?」「ここで遊んだらどうなんだろう?」ってなっていって、でも2年生ぐらいでみんなお笑い見るようになって「やっぱそういうのいいや」って普通のネタをしだすんですけど、それでもメタでウケ続けてる人見ると、凄いなと思います。なんかお笑い見てるとお腹いっぱいになることがあるんですよ。
渡邉 惹女自信が結構お笑い見る人なんだ?
惹女 僕めっちゃ見ますね。1,2年制の時とかは全部見てました。芸会NOROSHIは自分が出てない日とかは全部行って。普通に好きだからなんですけど、見逃したくなくて。
渡邉 それを見て触発されたり?
惹女 そうですね。だからいつまでも自分が勝ってると思えないですね。自分がたくさん客席にいる分も、みんなでたくさん笑わされてるので。誰に対しても「俺はこいつに勝ってる」って思えないですね。「でもこの人面白いもんな」って思っちゃうので、自分のネタは面白いと思ってますけど、人のより自分のが面白いとは思えないです。みんながウケてる姿を見てるから。
渡邉 凄いな、全部見てるからこそ。それは元々お笑いを始める前から?
惹女 ちっちゃい頃から(お笑い)見てて、ライブとかは高校とかでちょっとプロのに行ったりしてて。高2のときにLUDOの学祭を観に行ったんですよ。早稲田祭を観に行って、まだ荻野さん(ゼンモンキー)がいらっしゃったときで。その時の早稲田祭ってVol.1〜4まであって、4がベストメンバーなんですけど、それを観に行って。それが面白過ぎて、絶対ここ入ろうと思って早稲田受けたのもあるんですけど。実はそのVol.4は別の席でクラシキの金山も観てたらしいんですけど。
渡邉 それを観て「いつかお笑いを」。

「お笑いを観る家庭」

惹女 高校中学とかはお笑いやってなくて、ハイマンとかもやってなかったんですけど、大学行ったらお笑いできるなと思って。
渡邉 でもハイマンとか文化祭とかではやらなかったんだ?
惹女 クラスの中の自分の地位が低かったんで。言ってしまえば隅っこにいる感じというか。仲良い数人とめっちゃ仲良い、みたいな。中心ではなかったんで、「この感じでは無理だな」。「高校生のお笑いは無理だな」って感じだったんで、「大学行ったら似たような人が多いんじゃないか」と思って、高校ではやりませんでしたね。
渡邉 そもそものキッカケでいうとどんな感じ?
惹女 レッドカーペットとか、M-1とか、キングオブコント、THE MANZAI…。THE MANZAIめっちゃ見てましたね。それから徐々に色んな人知りたいと思って若手芸人見るようになって、お笑いをやるようになりましたね。
渡邉 そこにTHE MANZAI入るのも結構珍しいよね。
惹女 THE MANZAIめっちゃ見てましたね。録画して、編集して、カットしてネタだけの動画にして、何十回も。当時2011〜2014年のTHE MANZAIとキングオブコントは、マジで全ネタ…、何なら…始まったら口揃えられるやつあります。
渡邉 セリフを?(笑)
惹女 「このセリフ一緒に言える!」とかあります(笑)。
渡邉 すごいね(笑)。
惹女 ただお笑いオタク、お笑いマニアでした。
渡邉 中学生、意外とそんな時間あるか?
惹女 そうですね(笑)。部活をそんなにやってなかったので。そんなにめっちゃきつい感じでもなかったので。てかまあ、演劇部だったんですけど、僕がそんなに演劇をやってなかったんですよ、ちょい役とかでやってて。それで、強豪だったんですよ、演劇部の全国大会に行くような、公立なんですけど。その中でちょろっと副部長やりつつ、ちょい役をやりつつ。高校入っても、ちょっと軟式テニス部入りつつ、ちょっと疲れたら辞めて、またちょっと書道部をやって。だからそんなに部活に没頭してきた人生じゃないというか。そこのスキマ時間でお笑いを見つつ。
渡邉 なるほど。逆に結構賞レースを見てて、その趣味の熱量に合う友達とかいた?
惹女 あー、でも、家族が一番(合う)。友達もお笑い見てない訳じゃないですけど、こんだけ見てるの僕ぐらいなんで。家で一緒にいるから妹とか母親とかは一緒に観たりする…、多分一番お笑いの話できるのは家族だったり。
渡邉 家族なんだ(笑)。それはもう家族も惹女に影響されて?
惹女 まあでも、元々多分お笑いを見る家庭だったのもあって、僕も見るようになって、僕が見過ぎて、段々差がついてきてます。
渡邉 今、親とかは本人がお笑いやってるのはどう思ってるんだろう?
惹女 まだ実家なんですけど。僕結構言うんですよ、「この大会勝ったよ」「今日楽屋に〇〇いたわ」とか。親に見せれないネタもしてないので(笑)。見せてって言われたら動画送ったりしてるんですよ。でもさすがに就職すると思ってると思います。「プロに行ってね」とは思ってないと思います。
渡邉 惹女自身はプロに行きたい?
惹女 確定ではないですけど、さすがに就活において遅れを取りすぎてはいるので。でも、お笑いでいうと今めっちゃインターンしている状態ではいるので、となると(お笑いやる方に)傾いてはいます。
渡邉 元々プロ志望とかではなかったんだ?
惹女 元々は、受験も上手く行って、早稲田に入れたので、就職するんだろうなとは思ってはいたので。サークル入ってからは働きながらお笑いできたらいいなと思ってて、最近はそれでも社会人は大学生ほど暇じゃないから、それでいいのかなっていうのが出てきてはいます。最初はただ就職するつもりで、途中から就職しつつもお笑いできたら良いなとは思ってて。でも(時間は)減るだろうな〜って、こんな、新ネタ10本の単独ライブとかは出来ないだろうなと思うと、迷ったりはしますね。

【スマホカバーの可愛い絵は、自身の単独ライブに使われていたものである】

新ネタを卸さないと「気持ち悪い」

渡邉 新ネタでいうと、今めっちゃライブ出てて、レジスタとかHIKIGANEとかもある中でどれぐらいのペースでネタ作るの?
惹女 なんかでも、ペースは上がってると思いますね。出るライブが増えて、月15ぐらいになってきてて。そうすると、4個ライブがあったとして、全部新ネタじゃないと段々気持ち悪くなっちゃうんですよ。ライブ少なければ2,3回に1回は新しいネタやるじゃないですか、4回全部やったことあるネタとかやっちゃうと、新しいの出してないのが気持ち悪くて。だから単独で7本ぐらい新ネタやってるんですよ。でもその後も週1か2ぐらいで新ネタまだやっちゃってますね。未完成でも「今日出さないと気持ち悪い」みたいなときが来ちゃう。
渡邉 「気持ち悪い」っていうのは?
惹女 なんか、「進んでない」というか。ずっとあるものを転がしてて。学生お笑いの悪いところもあると思います、あんまり同じネタやらないじゃないですか。だからライブが増えると回転が早くなって、「5回ライブあって、え?全部やったことあるやつやんの?」と思ったら、それ何してんの?ってなっちゃう。ウケてお客さん楽しませられれば成功ではあるんですけど、「進んでないなぁ…」ってなっちゃって、「今日このライブは新ネタやろう」って決めて、(ネタが)できてなくても新ネタやっちゃったりしますね。
渡邉 とは言っても詰まったりしない?「どうしても出ないな」って。
惹女 (ネタ)出そうとしたらそんなに満足してなくても出しちゃうっていうのがありますね。軽く(アイデア)浮かんだら、これで行こう!ってなっちゃって、やるってなったら固まってなくても、やることで自分が気持ちよくなっちゃう。出しちゃいますね、溜まっちゃうというか。
渡邉 未完成で本番迎えて不安になったりしない?
惹女 めっちゃ不安です。ここは考えないといけないなと思うんですけど、今は認知されてるし笑ってもらいやすい状態ではあるし、甘やかされていると思うので。もうちょっと自覚持ってやらなきゃいけないけど、どうしても溜まってきちゃうので。
渡邉 HIKIGANEもレジスタも滑ったら落ちちゃうわけじゃん?そこでも新ネタしたりする?
惹女 どっちも月1で、4回ずつ残留してるんですけど、 レジスタは正直、この一ヶ月で一番いいやつと放っていったりします。HIKIGANEもやっぱり、あんまり新しいのはぶつけられない。落ちたくないので。他のライブだと、ウケる算段がないネタをやっちゃったりするんですけど。
渡邉 プロと一緒のライブ出ることも多いと思うけど、違いとかあったりする?
惹女 K-PROさんのライブも、結構受け入れて貰えてる感じではあるので。逆に「誰だコイツ」とはなってないというか。なんか「名前見たことあるわ」みたいな感じなので、そんなにアウェーではないので、結構楽しくできてはいるんですけど。流石にやっぱ新ネタはできないですけど、学生のライブだったらちょっと大きいライブでも「これで良いか」っていう思いっきりはついてきたと思います。初期の頃とかは、ちょっとしたライブでも絶対にウケるやつやらなきゃと思ってたんですけど、今は冒険できるようになりました。
渡邉 それは結果がついてきたからこその余裕というか。
惹女 余裕もあると思いますけど、さすがにいっぱい(お笑い)やってて、分かってきたんだと思います。「滑りはしないな」「ここはまあまあウケる」みたいなのは分かってきてはいるので、それはあると思います。「さすがに滑ることはないだろう」っていう安心はだんだんできるようになってきたと思います。

ライブこそが娯楽

渡邉 K-PROのライブとかで交流増えてきたりした?
惹女 学生出身の方が多いんですよ。それこそ学生のライブでMCやってくれてるような方が多いので、優しいんですよ。僕からはあんまり話しかけられないんですけど、楽屋に学生がぽつんといたら話しかけてくれたりして。レジスタもデカいですね、さすらいラビーの中田さんも結構話しかけてくれたりするので、そこで会話できるのはめっちゃ嬉しい。一個のゴールですね、知ってる芸人さんと喋れるっていうのは。
渡邉 元々自分から話しかけたりするのは無理なタイプでもない?
惹女 いやぁ〜〜、無理ですね、多分。コミュニケーションが得意ではないので。「この人は仲良くできるな」と思わないとできないので、高校の時も受験頑張る勢とだけ仲良いみたいな状態だったので。今もお笑いサークルでお笑いをたくさんやってる人となら仲良くできる。
渡邉 他大の学生芸人とかとはどういう感じで交流増えてきた?
惹女 まあでも、本当に同じサークルでも他大でもそうなんですけど、ライブありすぎてとにかくライブで会うので、意外と遊びに行くとかがないですね。遊びに行くとかも楽しいですけど、友達が舞台でネタやってるとめっちゃ楽しいじゃないですか。みんなの前でみんながネタやってるのが娯楽としてめっちゃ楽しいので、それで満足してるのはありますね。一緒に遊びに行かなくても、ライブ後にご飯行ったりはできるし。なんか、友達がいっぱいネタやってて「楽しい」って思うんですよね。ライブが忙しくて遊べなくても、ライブが遊びみたいなところあるので。
渡邉 LUDOの同期ともそんな感じ?
惹女 LUDOの同期も、そうですね。とにかくライブで会うから、とにかくみんなが面白いと思うことをやってくれるから。遊びも楽しいですけど、遊べないことがストレスにはならないですね。
渡邉 ライブ自体を楽しめている(笑)。
惹女 一番楽しいと思う、ライブが。照明とか音響とかの設備を作って、いっぱい人呼んで、みんなでネタやって、面白過ぎる。こんなことしてる人、中々いないじゃないですか。普通の大学生で、中々できないだろうなと思って。めちゃめちゃ楽しいですね。
渡邉 元々教室の隅っこにいたタイプからしたら、いっぱい人来て「うわぁ」ってなったりしない?
惹女 「味方だな」ってなるんですよね(笑)。最初はそんなに楽しくなかったですけど、みんな友達になりだすと、お客さんも学生お笑いで知ってる人多いですから。そしたらもう内輪内輪なので。内輪が広がってる感じなんですよね。そう考えたらプロのライブ出るとかも、プロのお客さんもお笑い好きな人ではあるからデカい内輪ではあるじゃないですか。味方ではあるじゃないですけど、あんまお客さん敵なときがないので。学祭とかだったらそんなな(お笑い好きでもない)人もいると思いますけど。味方が増えていってるから、そんなに縮こまることはないですね。
渡邉 確かに。共通の趣味を持ってる人が集まってるから。
惹女 「どうせみんな、お笑い好きなんでしょ」って思うから。だったらそんな縮こまんなくて良いなと思って(笑)。

【惹女香花が今後一番やりたいライブは『明転暗転逆ライブ』】

NOROSHI2022

渡邉 去年のNOROSHIとかって、どういう感じで2つ上の先輩と組むってなったの?
惹女 あれは、とにかくサークルの中で決勝に行きそうなチームみたいなのを作らなきゃいけないじゃないですか。特にLUDOなんて毎年2チームぐらい決勝行ってて、てなると4年生にあんまりピンの人が本当にいなくて。しかもバランスとかを考えると、「この漫才、このコントだとしたらコイツなんじゃないか」ってことで呼ばれて。僕は同期と組むと思ってたんですけど、まあ仕方ないかなと思って。
渡邉 「仕方ない」なんだ。
惹女 同期ともほぼ(チームが)確定してたので。「どうしよう」と思って、同期も反対してたし、僕も気持ちよく「行けます!」とは言えないですし、内定みたいな感じだったのに「ごめん俺行くわ!」っていうのも寂しいし。
渡邉 同期も反対してたんだ。
惹女 そうですね。「ギリギリになって何持っていってくれてんだよ」って、先輩なので言えないですけど、かなり悔しかったと思います。そういうのがありましたけど、個人だけで見れば恐らくメリットの方が大きいはずなので。大きい舞台に立てる可能性が高くなりますし、LUDOにも貢献できるし、最終的にそうなりました。毎年多分揉めるで、チーム決めは。
渡邉 先輩から声掛けがあったりとか。
惹女 4年生は4年生で組むと思ってましたし、2年生同士もとりあえず(チーム)決めてたのはあるんで。「計算狂った!」って。
渡邉 それは最終的にどう収まったの?
惹女 ちょうど友田オレがピンをやり始めて、バッと出始めて、まだそんなに認知されてないけどめちゃくちゃ面白いという時期だったので。それでちょうど同期チームの収まりが良くなったので、ちょうど良いかなってなったんですけど、危なかったですね。友田がいなかったら僕が同期チームを見捨てるだけになったので。
渡邉 予選とかは手応え的にどうだった?
惹女 今まで芸会出ただけだったので、「4年生はこう戦うんだ」っていうのは凄く学びました。会議もいっぱいしましたし、「ネタの細かいところで結構考えるんだ」とか。ネタ選びも決勝行くチームは2本用意するんで、その選び方とかも、「予選はこういうネタ、準決はこういうネタ」とか、色んな戦略を先輩から学びました。
渡邉 それこそ自分以外4年生だったら、そういう場で意見言えたりするの?
惹女 いや、僕はあんまり分かんないので、先輩のネタ見ても面白いとしか言えないですね。「ここ違うんじゃないですか?」とか言えなかったですね。「言えない」っていうのは圧力的なことじゃなくて、普通に思いつかない。
渡邉 結構先輩が引っ張ってくれた感じで。
惹女 岡竹さん、西さんの二人が引っ張ってくれた感じはありましたね。僕自身ネタが一本だけあったんですけど、もう一本ぐらいNOROSHIまでに欲しいなっていうのはあって。1月ぐらいに、『名前』のネタができて、そのときに「これはNOROSHI行けるわ」みたいな感じで言ってもらえて。意外とふざけネタ作るつもりで作ったんで。

ふざけて完成されるネタ

渡邉 『名前』も、大会に向けて一本(ネタ作る)というよりは。
惹女 それ出来ないんすよね。それがみんな凄いなと思ってて。ライブあんま出てなくて大会直前に一回だけ出て、めっちゃウケてそのまま大会で勝ち上がる人とかいるんですけど。本当にできないんですよ、それが。本当に全部、「これ面白くない?」って思って作るので。「あ、これなんだ!?」って終わってから毎回思います。思った以上にウケて周りからも「大会これじゃない?」って言われても「これ!?」ってなります。まだそこは分かんないです、大会に向けて作るとかもできないです。
渡邉 『名前』のネタもやってみたらって感じだったんだ。
惹女 『手のひらを太陽に』のマーチver.、「MP3Tube」みたいな、音だけYouTubeに上がってるやつがあって、聞いてみたらめっちゃ面白くて。それのテテテテテ♪みたいなところで何か言いたいなと思って。当時僕が人名面白いと思ってたので、なんか人名言ったら面白いのかなと思って。
渡邉 なんで人名面白いと(笑)。
惹女 ここで人の名前言ったら面白いと思って、「誰なんだろう?」って名前考えて、名前言ったときに「(この名前)いないな」と思って。じゃあ「いない」って振って名前言おうと思って、適当に前半の歌詞考えて、コントじゃないのに最初に「コント」って言って。本当にふざけて言ったんですけどめっちゃウケて(笑)。
渡邉 たしかに、衣装体操着じゃなくてもいいしね(笑)。
惹女 全部無駄なんですよ(笑)。それも僕が服とか着たいなと思って、高校のジャージが真っ赤で面白かったので、全部ふざけてやったら、思いの外「これ大会なんじゃない?」ってなって、びっくりしましたね。「こんなのなんだ」と思って。今までやってたスタイルと違ったので。ずっとそうですね、常にびっくりしてます。面白いと思って全部やってるけど、「これが大会強いんだ」とか分かんないままやってます(笑)。
渡邉 じゃあ自分が「面白い」と思う感性に従って。
惹女 逆もあります(笑)。「これは凄いぞ」と思ってやったら普通のときもあります。「これ面白すぎる」と思ってもそんなウケなかったり。
渡邉 それ例えば?
惹女 あー、でも、無いか(笑)。
渡邉 無いんかい(笑)。
惹女 ふざけてやってウケるのと、ふざけてやってウケないのが続いてて、たまにふざけてやってめっちゃウケて。僕はふざけないでネタ作れないです(笑)。

【ちなみにこの日、惹女は定期券を落とし、1週間中野警察署で保管されていたという】

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【画像提供:惹女香花】

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