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巨大魚の乱獲は浮袋が目的?

ナイルパーチは、スズキ目のアカメ科に属する淡水魚で、大きなものは体長2メートル、体重200キロに達する。ケニアの英国植民地時代に世界で3番目に広い湖・ビクトリア湖に放流され繁殖。地元ではmbuta(ムブタ)とよばれ、周辺住民の生活を支えている。癖のない淡白な味の白身はスズキに似ていて、加工品はヨーロッパや日本に向けて輸出されている。中国人がナイルパーチの浮袋を高額で購入するようになり、乱獲による水揚げ量の減少に拍車をかけている。絶滅危惧種・黄唇魚(Chinese Bahaba)の浮袋は優れた薬効を持つことで知られているが、その代替品として中国で流通している。2016年にミャンマーで釣り上げられた黄唇魚は、1匹に約1850万円の高値が付き注目を集めた。アルゼンチンの沿岸警備隊は2016年3月15日、同国沿岸の排他的経済水域で操業していた中国の漁船を撃沈した。中国漁船では、海上で亡くなったインドネシア人船員が、水葬と称して海洋投棄される事件も起きている。中国は、国際機関におけるIUU(違法・無報告・無規制)漁業対策の進展を妨げてきた。アメリカのバイデン大統領は2022年6月27日、国際的な違法漁業の取締りを強化するための覚書に署名。国務省や国防総省、そして沿岸警備隊など21の政府機関が連携して5か年計画を策定し、台湾やベトナムなど5つの国や地域と連携していく。さらに、イギリスやカナダとも連携の枠組みを立ち上げ、海洋監視の強化のほか、漁船の操業状態や水揚げされた水産物の透明性の確保などに取り組む。

新華社通信は2022年8月7日、中国企業・広東省鰉鯨海洋生物科技が絶滅危惧種・黄唇魚の人工繁殖に成功したと報じた。黄唇魚の「水生野生保護動物の人工繁殖許可証」を取得した恵州市のふ化場では、プール状の養殖施設に人工繁殖された黄唇魚が泳ぐ。これまでに、75万3千個の受精卵、43万8千匹の仔魚が誕生している。左右に平たく長い体や細長い尾柄(しりびれと尾びれの間)、突き出た口先が特徴の黄唇魚は、沖合に生息する大型の暖水性底生魚類で中国の固有種。浮袋から抽出されたゼラチンは、高麗人参などより滋養強壮効果が高く、不妊治療の特効薬としても知られる。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは近絶滅種に分類。2021年には、ジャイアントパンダと同じ中国の国家一級重点保護野生動物に格上げされた。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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