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生き物が町を照らす?

フランスの首都パリから南西約50キロにあるランブイエという小さな町は、円筒形のチューブから放たれる柔らかく青い光で照らされている。持続可能な代替照明を広めようとしている「Glowee」というベンチャー企業の取り組みで、パリ・シャルル・ド・ゴール空港をはじめ、各地で生物発光を用いたライトを利用する試みが行われている。ホタルなどの生物が体内の化学反応を利用して光を放つことを「生物発光」という。生物発光は、菌類から魚まで、自然界のさまざまなところで見ることができる。交尾の相手を誘うために光るホタルや光で獲物を誘引する深海のアンコウ、波しぶきなどの物理的刺激を受けて光る藻類など目的はさまざま。Gloweeは、生物発光を用いたライトを作るために、フランス沖で採取した「アリイビブリオ・フィシェリ」という海洋性発光細菌を利用している。海水で満たされたチューブに発光細菌を入れ、栄養素や酸素を与えて循環させると、代謝で光が生じる。酸素の供給を止めて嫌気状態にすると、生物発光しなくなる。発光細菌から作られた青い液体は、理論上は何度でも再利用できる。しかし、生物発光を用いたライトはLEDほど明るくはなく、温度に敏感という問題もある。2014年に設立されたGloweeは、温度や圧力を調整して効率的に生物発光させる方法を模索している。2019年、ランブイエ市はGloweeとパートナーシップを結び、10万ユーロを投資。努力が実を結べば、さまざまな都市が生きた明かりによって照らされるようになるかもしれない。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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