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きょうの手芸 03 エリザベスのドイリーを直す

 きのうの記事で「私ダーニングしてます」的なことをアピールしていたら、まさにその最中に、文字通り自分の足元で、新たなダーニング需要が発生していました。

タイツのかかと

 あーめんどくさい。確かに「ダーニングは楽しい」と書きましたよ。でも「毎日やりたい」とまでは書いてませんから。
 まるで神様から「おまえは本当にダーニングする気があるのか?流行りに飛びついているだけではないのか?」と問いただされているような気分です。
 今回は刺繍糸では耐久性に不安があるので、ふつうの手縫い糸を使うことにしました。

自分のかかとを写すって難しい

 まあこれで春までもってくれるでしょう。
 ところで、ダーニングとの関連で思い出したのですが、みなさんは『犬のバルボッシュ』というフランスの小説をごぞんじでしょうか?

 年取った「マルチーヌ伯母さん」と「パスカレ少年」が伯母さんの故郷をめざして旅するお話なのですが、
 ○伯母さんの勇敢でチャーミングな人柄
 ○「犬のバルボッシュ」との深い交歓
 ○ミステリアスな出来事
 ○南仏の輝かしい風土
などが渾然一体となって、それはそれは素晴らしい小説なのです。
 旅立ちの前、伯母さんが荷造りをする場面はこんなふうです。

「ハサミと、繕い用の糸!……(中略)……パスカレ、靴下かがり用のツゲの玉をとっておくれ、針と、それから煎じ薬の大袋もね……」

アンリ・ボスコ『犬のバルボッシュ』天沢退二郎訳、福音館書店、2013

「ツゲ」は日本では櫛やそろばん玉の材料だけど(硬いらしい)、フランスでは「靴下かがり用の玉」になるんですね。それを伯母さんは旅行の荷物に入れて歩こうというのです。昔の人(原書の初版は1957年)にとって、ダーニングがどれだけ生活に密着していたかよくわかる話だと思います。

 そして…懸案のお直し需要がもう一つ。少し前に完成させたドイリーです。仕上げを済ませてしまってから、編み間違いに気づきました。

前段のシェルに編み入れるのを忘れていた

 幸い最終段だったので簡単に直せましたが、もしそうじゃなかったら、直すかどうかですごい葛藤が生まれたと思います。
 このドイリーは以前にも触れたエリザベス・ヒドルソンのデザインで、個人的にたいへん思い入れがあるものです。いずれもっと良い写真を撮ってお目にかけたいと思います。
 きょうはここまで。
 


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