よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話note

漫画でわかるカルト宗教と問題の本質

この本の書評になります。

よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 いしいさや (著)


本作の中で宗教名は明言されていませんが「エホバの証人」です。
玄関に子供連れで来て聖書を置いていくあの人達です。

あらすじは作者が子供時代を振り返り棄教に至るまでを描写しています。
Twitterに投稿したものがバズったらしく連載に至った模様。

絵柄はよく言えば素朴というかまぁ下手です。
しかし実録ものなのでこの絵柄が少女が書いていると考えるとアリです。

主人公は物ごころついた時から母親が熱心な信者で宗教活動に参加させられます。
父親もいるようですが信者でないようで明らかに描写が少なく距離感があります。

漫画の中で描写されるイベントを羅列すると。

・輸血禁止
・誕生日を祝うの禁止
・サンタはいない
・女の子でも地味服推奨
・学校で校歌や国家を歌えない
・クラス委員投票(人間の政治)に参加禁止
・肉はいいが血は食べてはダメ(ステーキはウェルダンとか?)
・信者以外との恋愛結婚禁止
・もちろん婚前交渉禁止
・マスターベーションも禁止
・というか生涯独身が良い
・親の葬式(仏教)で合唱とお焼香禁止
・上記のルールを守ると死後に楽園にいけるそうです。
 ※人間以外の畜生は入国禁止


当然ですが主人公の少女は孤立します。


この作品を理解するのに一番いいのが次のシーンです。

寝ぼけて奉仕活動に行きたくないという娘に母親が鞭による折檻をします。

そして母親は娘を抱きしめてこういいます。
「お母さんも本当はこんなことしたくないんだよ?」
「でも良い子になったさやちゃん(娘)と一緒に楽園に行きたいの」


うわー。


そう現実は漫画のようにわかりやすい悪役はいないのです。
この母親も悪い人ではありません。
頭は悪く見えますが。

ただしこの「神がいて戒律を守るのが正しい生き方」。
これを否定することはできません。

神様がいるかいないか誰も知らないからです。
宗教否定派の人間は他者の価値観を否定していて危険です。

ただ現代社会でこの生き方はリスキーだという話です。

そして子供に孤立するような生き方をさせるのが良い親でしょうか。

信仰は大人になってから選ばせればいいのでは?
キリストだって信仰に目覚めたのは大人になって啓示を受けてからです。
年取って改宗した人間を許さないほど神は了見が狭いのでしょうか?

むしろ現代社会と比較したうえで宗教を選べる人間の方が信心深いはずです。

子供に選択の自由を与える。
この母親がその考えに気付いたのならこんな本は発売されなかったはずです。

本書を読んだ親御さんには是非、この考え方を実践してもらいたい。
宗教に限らずです。

しかし子供を信じて任せることの難易度は高いです。
何しろ人間は相手を信じるのが何より苦手な生き物なので。


【おまけ】
ブログやってますので興味ある方は「梟茶房」で検索してください。
http://owl296380.hatenablog.com/

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