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老舗薬局を進化させてみた(薬局DX)/3週目

株式会社OX3代表の真田です。
老舗薬局を進化させてみた、第3週目になります。
このnoteを初めてから、何とか1週間で1つ以上の実行と成果を残さないとなという縛りがかかって、すごく仕事の生産性が上がっている気がします笑

今週に関しては、
他の薬局店舗にとっては「当たり前」だけど、うちの店舗にとっては「大改革」だった取り組みになります。
当たり前に思う方は、「へー、そんな店舗もあるんだー」って思っていただければ良いと思いますし、うちと同じくやってない方はぜひこの記事を読んで真似してほしいなと思います。

テーマは「属人性の排除」

店舗オペレーションを改善する上で、僕がとても大事だと思っていること、それが「属人性の排除」です。
○○だからできる、性格や好みによってやり方が変わる、みたいな状況を作ってしまうと、色々と不都合なことが起こってくると思っています。

例えば、

  • その人が突然辞めたら(休みになったら)どうなるのか?

  • 新しいスタッフはどの方法でやればいいのか?

が特に大きな問題かなと。

もちろん人は十人十色いろんな性格や強みがあるので、それは大事にすべきだとは思いますが、基本オペレーションにおいては、それは全くもって不要だと思っています。

逆に属人性を発揮すべき(発揮してもいいかな)と思うのは、2階建ての2階部分、つまり「付加価値」のところであり、全くいらないと言っているわけではありません。今回のテーマは、1階の部分の属人性の排除です!

それでは、どうぞ。

1つ目の進化:自動化

湘南たんぽぽ薬局は、びっくりされるかもしれませんが本当に全て「手作業」で行われている店舗でした。ここ数年で作られた店舗では全くもって考えられないかもしれませんが、

  • 薬袋(お薬を入れる袋)は、ボールペンで患者情報や薬の内容、用法用量などを手書き

  • お薬手帳の紙は、印刷されたものをハサミで切ってのりで貼り付け

で行っています。(逆にこれまでそれでやっていたのは凄すぎる…)

今回はこの2つの作業を自動化してみたので、どのくらい変わったのか?についてみていただけたらと思います。
※いくら(費用)かかって、どのくらい削減(時間)できたのかも書いていますので、是非みてみてください

お薬を入れる袋(薬袋)の記載を自動化

お薬を入れるこの袋、実はこれまでこんな感じで手書きしてたんです。
急いで書けば書くほど、こんな感じで読みづらくなりますよね笑

そして何より、
字のきれいさ」や「字が読めるか読めないか
はその人に依存すること(属人性があること)かなと思っています。

今回はこれを完全自動にして、コピー機から出てきてもらえるようにしました。ちなみにかかった費用と削減できた時間は下記の通りです。

【かかった費用】
・コピー機の増設:約10,000円
・設定してくれる人の派遣人件費:約15,000円

【削減できた時間】
・患者1人あたり:平均1分程度

【投資対効果】
・2000円/時給と考えると、患者750人で元が取れる計算
※実際の店舗の人件費とは異なります
※コピーの場合印刷代が、手書きの場合薬袋そのものの値段やボールペン代などがかかるため、諸々のコストは計算に入れません

正直これに関しては、やらない理由がないですね笑

もちろん患者さんによっては、「これを書いてほしい!」みたいなご要望はあるかと思います。ただそれはあくまで、付加価値なんですよね。
徹底的に効率化することで、付加価値をつけてあげられるようになると思います。そこは創造力の発揮のしどころです。

是非まだ手書きの薬袋を使っている店舗の方がいらっしゃいましたら、こちらを参考にしてみてください。

お薬手帳に貼る紙を自動化

おくすり手帳ですが、下記の手順で行っていました。

  1. A6の紙に処方薬の内容が印刷される

  2. ハサミで余分な部分をカットする

  3. 糊づけする

  4. おくすり手帳に貼る

ざっくり4工程ありました。これをシールプリンターに買えたことで、

  1. シールに処方内容が印刷される

  2. おくすり手帳に貼る

と、工程を2個もスキップできるようになりました。

ここにも実は属人性(というよりは、作業における考え方の違い)があると思っていて、
「雑でもいいから早く切って貼りたい!」って方と、
「時間かかってもいいから丁寧に切って貼りたい!」って方がいると思うんです。

これって好みの問題なので、どっちがいい悪いではないと思います。でも現場では、相対する考えを持つ人に対して「不満」という感情が出てくることはよくあることだと思います。

自動化したことで、こういった不毛な争いもなくすことができるのかな?と勝手に思っています。

【かかった費用】
・シールプリンター:約20,000円
・設定してくれる人の派遣人件費:約15,000円(薬袋と合わせて30000円だったので半分に割っています)

【削減できた時間】
・患者一人当たり平均20秒程度

【投資対効果】
・2000円/時給と考えると、患者約3000人で元が取れる計算

このデータを見て、やるかやらないか?はお任せしますが、少なくとも弊店舗ではこれまで長いこと手書きでやってきたスタッフも「楽になった」と喜んでくれました!

2つ目の進化:モノの配置を整える

お目当てのものを探すときの大事なことって何だと思いますか?
僕は、「検索性」だと思っています。

この情報が知りたい!
これに対して、徹底的に検索性を鍛えてきたのが「Google」ですよね。
更にはハッシュタグ#なんかも検索性の向上に、一役買っている機能でしょう。

つまりモノ探しの一丁目一番地は、「検索性」を高めることなんです。
※二番地は、「検索させない」ですが、その話はまた今度

そこで今回、
①例外を作らない
②検索できるようにする

という二つのルールで、医薬品の並び替えを行ってみました。

薬の棚と在庫の並び順を変える

薬局において、一番触れることが多いもの。それは当然「お薬」です。
そのお薬がどこにあるのか?が絶対にわかるようにしないといけません。

恥ずかしい話、これまで医薬品の陳列には「基本的なルール」はあるものの、いろんな「例外」が作られていました。
例えば、

  • 同じ名前のものは近くにありすぎると間違いやすいから少し話す(逆も然り)

  • この医薬品は特によく出るので取りやすい位置に置く

  • 薬効ごとに並んでいる部分もあれば、ジェネリックだけでまとまっている部分もある

などなど。上げればきりがないほどに、誰か(先人)が決めた例外ルールがこびりついておりました。
これではいかん、ということで、下記の手順で医薬品の並び替えを行いました。

【並び替えの手順】
1. レセコンから直近1年で出た医薬品のランキングリストを吐き出し、1軍(調剤棚)と2軍(調剤棚下の引き出し)に分ける
2. 先人の知恵を経験をお借りして、「ランキングにはないけど、よく出るもの」、「ランキングにあるけど量が多いだけで頻度は低いもの」の入れ替え戦を行いリストを作る
3. 棚や場所に住所をつくる ※超重要
4. それぞれの場所に、1軍と2軍をアイウエオ順に並べ替えて入れる
5. すべてスプレッドシートにリスト化して「Ctrl+F」で検索できるようにする

これによってできたことは、「属人性の排除」です。(しつこい笑)
上記の手順で並び替えを行ったことで、例えば新しいメンバーが入ってきたとしても、簡単に探せるんですよね。しかももしわからなかったとしても、スプシで検索すればすぐに出てきます。

はじめは、
「こことここ入れ替えてもいいですか?」
みたいなお願いもされましたが、例外をつくらないというルールにしていたため、”なぜ入れ替える必要があるのか?”の本質を考え、ルールの中でそれが実現できるようにしました。

世の中にはピッキングアシストシステムなんかも世の中には出ていると思いますが、場所を探すという課題に関してはこれでいいのかな?と思っています。
※ほかの課題解決に必要になったときには、一つの選択肢としてありだとは思います!

きっと1か月2か月、1年と経っていくとまたいろんな問題が出てくると思いますので、仕組をキープできるような仕掛けも併せて行っていきたいと思います。

最後に

3回目の「老舗薬局を進化させてみた」はどうだったでしょうか?本当に愚直な取り組みだらけですが、僕としては古い業界にSaaSを入れるにはそれを受け入れる土台作りが初めに必要だと思っています。

そこは本当に愚直にこれからも取り組んでいきたいなと思いました。

ここまでご覧いただきありがとうございました。
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◾️OX3代表 真田のX
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