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自民党 柴山昌彦@衆議院 法務委員会 共同親権法案 令和6年4月3日【文字起こし】


 

第213回 衆議院 法務委員会

令和6年4月3日


001 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

自由民主党の柴山昌彦です。

それでは、参考人への質疑に入らせて頂きます。本日はご出席いただき、本当にありがとうございます。

まず、斉藤参考人にお話をお伺いします。

改正法819条では、裁判所が離婚を単独親権とする場合に『父母の一方が他方からDVを受けるおそれ』がある事を要素のひとつとして掲げており、且つ、これは精神的DVを含むとされていますけれども。これについて、どう評価されますか?


002 ちょっと待って共同親権プロジェクト チームリーダー(斉藤幸子 君)

◯参考人(斉藤幸子 君)

裁判所が、ちゃんとあの判断してくれるとは思えません。


003 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

この後、午後に参考人として来られる、北村晴男弁護士は、新聞のコラムで、『子に暴力を振るう親は、親権を失って当然だが、母親に対する父親からのDVの「おそれ」を、それを理由とするのはナンセンスである』と主張されておりますけれども、この主張についてはどう思われますか?


004 ちょっと待って共同親権プロジェクト・チームリーダー・斉藤幸子

◯参考人(斉藤幸子 君)

DVの種類を存じ上げないから、そのような発言になっていると思います。


 

005 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

犬伏参考人にお伺いします。今も斉藤参考人から、お話があったように、DVのみならず、また、その『おそれ』について、裁判所は的確に判断できないんじゃないか、という懸念があります。そして、一方・逆の立場からすれば、この『DVのおそれ』という文言があると、証拠がなくても片方の言い分のみで、それが認められる可能性が否定できないのではないか、とも主張されております。

また、新しいパートナーと一緒になって、そのパートナーから、子どもが虐待をされ、そして別居親が、そういった方々、また、を、しっかりとチェックを出来ないのではないか。こういう事を、懸念もされております。

果たして裁判所は、今お話があったような、それぞれのケースについて、適切な判断をして行く事が出来るんでしょうか。

先ほど犬伏参考人は、裁判所の人的・物的・整備充実については、お話をされておりましたけれども。心理のプロセスですとか、或いは裁判の質の向上、証拠の収集等について、どのように改善をすれば良いのか。

また、この『DVのおそれ』という文言は、このままで良いのか。それぞれご意見をお伺いしたいと思います。


006 慶應義塾大学名誉教授・犬伏由子

◯参考人(犬伏由子 君)

多岐にわたるご質問、ありがとうございました。私自身は、裁判所を代表するという立場ではございませんけれども、今、やはり、この法案が成立するという事に向けて、家庭裁判所としても、かなりこの法案に基づく、今ご指摘のような、特に単独親権にすべき事案というものについては、慎重に検討されている事と思います。

で、確かに、今の状況に於きましては、先ほど言いましたよう、リスク・アセスメントであるとか。DV・児童虐待について、充分に、それを判断するというところまで、スクリーニングが出来ているかというと、まだ、そこまでいっていないかもしれません。

しかしながら、私共調停委員としましては、事件配点の前に、そういった危険があるという事については、充分に一応、進行についての照会等が出てきておりますので、この事案については、DVが主張されている、或いは児童虐待の恐れがあるというような事件につきましては。

それから、精神的な課題を抱えている人たちも、実は今、増えております。従いまして、医務室技官の立会いであるとか、調査官の立会いというのが、既に事件の当初から、調停事件に於いて、調査官および医務室技官の配点というものがございます。

もちろん、過酷なDV案というのは、調停には、馴染まないという事はございますので、私共は、やはり調停にも馴染まないケースというものを、やはり、きちんと峻別すべきだというふうに思っておりますし。そういう事案につきましては、調停なしに、監護者指定だったら審判、それから離婚事件だった訴訟、というふうになるわけですけれども。家庭裁判所としても、今後、慎重にやはりDV事案につきまして、当事者が、非常に不幸な目に遭わないような運用というものに心掛けて、今、家庭裁判所としては、努力しているというふうにお聞きしております。

今後の運用につきましては、家庭裁判所というのは、非常に裁量性・柔軟性があるというメリットもありますけれども。やはり、裁判所によって違うとかですね。調停委員によって違うといったような事で、当事者が非常に傷つくという事は避けるべきだと思いますので、調停委員に対する研修というものも、充分行わなければいけない。

今、調停委員というのは、非常に、色々批判も受ける立場でございますので、研修であるとか、DVに対する理解というのは、かなり丁寧に、私共も、研修を受けるという事ですし。調停委員が自主的に研修を行っている、と。最近の調停委員さんは、非常に真面目でございまして。自主研修というもの、非常に行っており、外部の人たちのお話を聞くというような形で。私共も、この法案が成立するという事になるという事で、非常に内部の研修であるとか、家庭裁判所の研修によって、本当に充分にこの法案を前提とした、努力。というものを重ねなければならない、というふうに、今から心しているところです。

まだまだ、家庭裁判所の内部事情というものは、私自身が深く存じ上げない立場でございますけれども。家庭裁判所としては、皆様の期待に応えるべく努力して研修を受ける。それも外部の方々から、色々DV被害者のお話も聞くという形で、努力していくというふうに、私共も、心しているところでございます。


007 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

ありがとうございます。裁判官、そして調停委員も含めて、仮に、この法律が成立した場合にしっかりとした研修を行うという事。それから、調停プロセスには、必ずしも馴染まないような案件もあるので、しっかりとその見極めをしなければいけないという事などについて、ご説明を頂きました。

共同親権導入に慎重な方々。単独親権制度も、現行法の下で、別居親との交流は確保出来ていると主張されています。

しかし、『令和3年度・全国ひとり親世帯等』調査結果によりますと、『わが国で、月2回以上の親子交流が出来ているのは、別居父について、約4.2%。そして、別居母については、約11.4%に過ぎません。一方、例えば共同親権国のイギリスでは、月2回以上の交流は、71.9%にものぼっています。

今回の法改正によって、先程、裁判所の期日の問題についても、ご指摘をして下さいましたけれども。本当に、子の利益に相応しいケースで、親子交流の推進というものが担保出来るのか、という事について、犬伏参考人に、今一度お話を伺いたいというふうに思います。


008 慶應義塾大学名誉教授・犬伏由子

◯参考人(犬伏由子 君)

私共は、調停に於いては、非常に当事者の声、当事者の主張を、双方から丁寧に聞くと言う事を、まず心掛けていて、調停委員として傾聴というのを尊重しております。

そういう中で、子どもさんがどういう状況にあるのか。そして、やはり、親子の交流というものの重要性というものを考えて、丁寧に、丁寧に、面会交流がどういう形であれば、出来るのか。出来ないという心情については、どうなのか。という事を丁寧に聞いております。

その結果、若干、調停期日を重ねるという事はあろうかと思いますけれども。調停の中で、調停で合意が形成する前の段階で、試行的に面会交流を出来ないか、というような事も実施しておりますので、調停の期日が入らないとか、回を重ねなければいけないという事によって、親子の交流が長期間出来なくなるという事については、私共も心掛けて、出来るだけ調停の期日間で、試行的にやって頂けないか。それは、そのケースケースによって、やれるかやれないかっていうものを充分に見極めながら、調停委員が、働きかけたり。

当事者の代理人双方が、期日間に、具体的な面会交流をセッティングするというような事で、出来る限り当該事案に相応しい形で、私共は、期日間にも、面会交流が出来ない、出来るような働きかけというものをしております。

決して、合意が成立できない、或いは、期日がなかなか入らないという事で、面会交流が行われないというような事がないように、配慮しております。

先日も、手紙をお子さんが書いて、「パパに会いたい」というような、お子さんの手紙もありましたので。そういう心情は、やはり大事にしたいと思いますし。調査官調査が入って、やはり面会交流を調停での合意が成立する前に。実施出来ないか、というような働きかけをしております。

そのために、やはり庁舎内に、試行面接会が出来るような部屋を確保して頂きたい。しばらく前に、裁判所が「なかなか、面会交流室、難しいんだよね。日比谷公園でやったらどうか」というふうに、言われたような例もありますので。出来るだけ、面会交流について、庁舎内で出来ない場合も、支援団体もございますし、やはり、面会交流について、出来る限り、可能なケースに於いては、断絶を、長期にわたって断絶しないような努力というのを、調停委員もしているというところです。

お答えになったかどうか分かりませんけれども、以上です。


009 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

今回、あの試行面会について、明文化されましたので、そういった事もしっかりと実践して欲しい、というふうに思います。

続いて、しばはし参考人にお伺いします。

養育費の支払いも含め、円滑な共同養育を実現するために、仲介機関・ADRなどの役割が大きいと言う主張、よくわかりました。

しかしですね。先ほどデータでもあったように、親権を行う子がいるのに、夫婦が離婚する件数は年間約10万件にも上るわけです。未婚のひとり親の子どもが、16万人にのぼるというデータもあります。

果たして充分、そういったADRなど、ニーズに応えられるんでしょうか。

自治体窓口や法テラスとか、児童相談所のような役割も大きくなるというふうに考えるんですけれども。こういったニーズに、本当に的確に、これから対応出来るのか、という事について、お話を伺いしたいと思います。


010 一般社団法人りむすび代表・しばはし聡子

◯参考人(しばはし聡子 君)

ご質問頂きまして、ありがとうございます。

ADRの認証団体という、法務省での認証を受けた団体が行う事が出来るものになります。我々も、その中でも離婚の担当になるのか、色んな不動産なのか、とか。色んなADRの担当っていうのがあると思うんですけれども。

まだまだ、結論からいうと、団体としては足りないのではないかな、と思います。

ただし、弁護士会でも、弁護士のお立場の方っていうのは、ADRといいますか、仲介・仲裁をする事は、行う事が出来るっていうふうにお聞きをしています。

これを、ADRを普及した上で、これは私が普及というよりも、法務省さんになってくるのかと思うんですけれども。

・ADRっていう方法があるという事をまず認知させていく事。
・そして、ADRという方法を、行っていこうという弁護士の方が増えていく事。

そういう事の取組みになっていくのでは、ないかなと思います。

現状でいいますと、我々のところにも多く御相談者見えていますが、今後ADRをより使われたいという方が、受け入れ先という事が、まだまだ足りていないというふうには、考えているところでございますが、ご回答になっていますでしょうか。


011 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

それと、あのしばはし参考人が仰った事で、私、ちょっと重要だなと思った点がですね。「司法改革のあるべき姿として、まずは条件の取り決めよりも、先に別居直後から、速やかに親子交流をして行くべきだ」というご主張されたかと思うんですが。先ほど、事態の悪化を避けるためにも、まずは面会交流を、もちろん出来る場合に限ってだと思いますけれども。速やかに行っていく事が、必要だというふうに仰ったんですけれども。どのような根拠というか、ですね。視点でそういう主張をされているのか、という事を今一度教えて下さい。


012 一般社団法人りむすび代表・しばはし聡子

◯参考人(しばはし聡子 君)

ご質問頂きまして、ありがとうございます。

我々、面会交流の支援も行っております。同居親の方、別居親の方、それぞれの個別の相談なども受けている中、特にやはり葛藤が上がるのが、別居親の方が、長期にわたって、なかなか子どもと会えない。それが面会調停を申し立てた、とて。そこから実際、何回やっていきましょう、みたいな事を、月1回、2カ月に1回という想定の中で、留保で決まっていく。あっという間に半年ぐらい経っていく。その間に、お金の事ですとか、あと、「あなたが悪いから離婚しましょう」みたいな事を相手から一方的に言われていく。それで、より葛藤が上がっていき、だったら、離婚をしないみたいになっていくケースが非常に多いです。

「離婚したい」という同居親に対して、「子どもに会えないから、離婚しない」というのは、対立構造になっているわけなんですよね。

なぜ、「子供に会えないから、離婚しない」と仰るのかというと、やはり、子どもに会えるという担保がない。不安だから、離婚という、親権を失ってしまうと、会えなくなってしまうのではないか、というような不安になられている方が多くいらっしゃいます。

それが、一度でもといいますか、割と初期に会える。そして、定期的に会える。相手も、会わせる意思があるという事が、ある程度見えてくれば、きちんと子どもと交流が出来るのであれば、離婚したくないけれども、離婚という選択肢もあるのかな、という事で、だんだん葛藤が下がっていきやすくなる、というケースはよく見ております。

一方で、相手にこう争いの姿勢で、相手を責めれば責める程、相手側が逃げていくっていうような法則もありますので。別居親の方が葛藤が下がったほうが相手も会わせやすくなるという、鶏と卵ではないですけれども。というところからも、初期に子どもとの交流をしていく事によって、お互いの葛藤が下がりやすくなるという基準感が、巡り巡って来るのではないかな、というふうに感じております。


013 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

山口参考人にお伺いします。先ほど、アメリカまた韓国の事例について、犬伏参考人からもご紹介があったんですけれども。離婚には、もちろん色々なケースがあるんですけれども。離婚するに当たって、『養育計画書』を作る、或いはそのための講座、カウンセリングを受けさせる。これを要件化するという事。今回の法改正では、本当に色々なケースがあるという事で、見送られたんですけれども。

こうした制度を、将来日本に導入するために、何が必要だと考えられますか。


014 関西学院大学法学部教授・山口亮子

◯参考人(山口亮子 君)

ご質問頂き、ありがとうございます。

最後に述べましたが、アメリカでも『養育計画書』が発達していったのは、共同監護の法制度が出来て、10年経ってからという事ですので、徐々に広がっていったという事で、やはり、探り探りだったと思います。

しかし、どうして、そういう事を決めなければいけないのか、と。監護権や面会交流など、画一的なものではなく、一緒にどうやって、子どもを育てていくか。やはり、中身が重要な事だと思いますので、その中身を実行に移すために、それはやはり、計画書という文章で協議をし、合意をし、そしてそれを実行して行く、と。そういう事が重要なんだ、と。そういう事が徐々に分かってきた。まあ、私達はそういう前例がありますので、日本でもこれを取り入れれば、共同親権を選択した家族にとっては、非常に有益なものになると思います。

それをどういうふうに広げていくか、ですが。やはりそれは、子どもにとって、どういう教育を、親が責任をもって行うのが、子の利益に適うのか。といった、子どもの利益感ですとか、権利感を国民へ周知し、例外はありますけれども、そういう共通観念の下に従って、進めていくという事が、重要になると思いますので。やはり、子どもの利益とは何なのか、という事の議論。そして、日本全体が考える基準というものを考えていくべきだと思います。


 015 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

最後に、どうしても1点だけ、お伺いしたい事がございます。

山口参考人、同じくアメリカではですね、一方の親による、『子どもの連れ去り』というものはですね、正当な理由がないものであれば、刑事事件、民事事件とも大変厳しく制限をされております。

また、委員から先ほど、今回の改正法案824条の3で、監護権、特に居所指定権の濫用についての懸念も、お示しを頂きました。

アメリカの裁判所であれば、裁判所が認めた面会交流や監護権や養育費など、無視すると裁判所侮辱罪が適用されるんですけれども。この担保の仕組みについて、最後にお伺いしたいというふうに思います。


016 関西学院大学法学部教授・山口亮子

◯参考人(山口亮子 君)

最後の裁判所侮辱について。決められた事を守らなければ、裁判所侮辱として課金、拘留が出来るという事で。刑罰を持って履行・執行を担保するという事になっております。決められた事は、守らなければいけない、という制度です。以上です。


017 自由民主党 柴山昌彦

◯柴山昌彦 君

ありがとうございました。

 

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