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自民党 三谷英弘@衆議院 法務委員会 共同親権法案 令和6年4月5日【文字起こし】


第213回 衆議院 法務委員会

令和6年4月5日

※個人的な内容理解のための、庶民による文字起こしですので、誤字脱字については、ご容赦下さい。


001 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

神奈川8区・衆議院議員の三谷英弘です。

本日は、質問の機会を頂きました事につきまして、理事の先生方、そして委員の皆様に心から御礼感謝を申し上げたいと思います。

2013年から、10年以上にわたりまして、『共同養育支援議連』当時は『親子断絶防止議連』でございましたが、その一員として、そして、この数年はその事務局長として、夫婦が離婚した後も、親子の絆が切れる事のない社会の実現に向けて、取り組みを進めて参りました。

この間(かん)、子どもに会えずに苦しんでいる方々からの声を、たくさん伺って参りました。子どもに会えない苦しさから、自ら命を絶たれる。そういった方もいらっしゃいました。

お父さんやお母さんに会いたくても、「会いたい」って言えなかった。「大きくなってから会って、ずっと自分の事を愛してくれていた」そういう事を知って、胸のつかえが取れた。或いは、「欠けていたピースが、埋まった気がした」そういった子供たちの声も、多数、伺って参りました。

そういった方々の顔を思い浮かべながら、今日は、質問させて頂きます。

まず、大臣に伺います。今回の法改正が行われるまで、現状ですけれども、離婚後は単独親権しか認められないため、親権をめぐる争いが必ず引き起こされる仕組みとなっています。最近では「イクメン」とか、お父さんもお母さんも、子どもの養育に一生懸命携わる。そういった事があるわけでありますから、離婚した段階で、突如どちらかしか親権者でいられない、というような仕組みになれば、当然ながら、我こそが親権者でありたい、という事を一生懸命、その離婚の話し合い、或いは裁判手続きの中で主張・立証していく。そういった中には、自分が親権者であるという事を一生懸命、主張・立証するだけではなくて、相手方が親権者として、不適格である、という事を、一生懸命、主張・立証せざるを得ない。そういった活動を強いられるのが、現行の法制度であります。

そういった中で、自分が相手方の嫌なところ、一生懸命、目を向けていく。或いは、向こうからも自分が、そういった部分について、色々と言われていく。そういった事を繰り返す中で、どんどんどんどん、必要以上に、葛藤が高まっていくというのが、現在の法制度であります。

今回、離婚後の共同親権、というものを導入するという事によって、まずは、そういった今の制度が葛藤を引き起こしていくような仕組みが、まず、なくなる、という方だけでも、大きな一歩だと思っています。

そして、それに加えまして、夫婦は離婚したとしても、子の、親子の関係が切れる事はありません。自分にとっては嫌な相手でも、子どもにとっては、大切なお父さんであり、またお母さんです。そういった事を前提に話し合いを続ける事は不可欠である。という事を前提に、質問させて頂きます。

この離婚後にも共同親権を認めるというのは、親のための改正ではなく、子どものための改正であると理解しています。今回の法改正はもちろん、両親(りょうおや)が、共同親権でいこう、という事を合意したのには当然ですけれども。例えば、一方の親が単独親権を求めたとしても、離婚後も両方の親が親権者として、子どもに関与する事が、子どもの利益の観点から望ましい場合がある。そういう理解でよいか?お答え頂きたいと思います。 


002 小泉法務大臣

◯小泉龍司 君

まず、お尋ねのうち、本改正案の趣旨・目的につきましては、ご指摘の通り、本改正案は、子の利益を確保する事を目的とするものであります。

次に、どのような場合に父母双方を親権者とするかについては、本改正案では、離婚後の親権者の定めについて、父母の協議が整わない時は、裁判所が、子の利益の観点から親権者を父母双方とするか、一方のみとするかを判断する事としております。

その際、判断の問題でありますけれども、法制審議会の議論の過程では、裁判所が、父母双方を親権者と定める要件に関し、その旨の父母の合意がある場合に限定すべきとの意見もございました。

しかし、父母の協議が整わない理由には、様々なものが考えられます。

従って、合意がない事のみを以て、直ちに、父母双方を親権者とする事を一律に許さないのは、返って、子の利益に反する結果となりかねない。そのため、本改正案では、裁判所は父母の協議が整わない理由等の事情を考慮して、父母が、共同して親権を行う事が困難であるか、などの観点を含め、親子の関係、父母の関係、その他一切の事情を考慮して、実質的・総合的に、判断すべき事としており、その事が全体として、子の利益の確保に資すると考えております。


003 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。もちろん、夫婦が高葛藤になっているケースの中には、当然ながら、共同養育をやろう、といっても、不可能であるというふうになるものが、ある事は否定をいたしません。

しかしながら、話し合いが出来ない方が、単独親権を勝ち取れる、という事になれば、話し合いをする努力をしない方が得をするような、間違った理解というものが広がってしまう恐れがございます。

これまでも、裁判を通じて、或いは手続きを通じて、「葛藤を下げる取り組みというものを、裁判所の方でも行っていく」という話もありますけれども、しっかりと話し合いをする方向に努力をさせる。そのためには、今回の法改正に当たって、法務省から裁判所に対して、或いは当事者に対して、適切なメッセージを発信して頂く必要があると考えますが。どのように考えておりますでしょうか。 


004 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

本改正案では、親権の有無や、婚姻関係の有無に関わらず、父母は子の人格を尊重して、その子を養育しなければならない事や、父母は子の利益のため、互いに人格を尊重し、協力しなければならない事を明確化、する事としております。

また、本改正案によれば、親権者の指定の際に於いては、裁判所は子の利益のため、父母との関係や、父と母との関係、その他一切の事情を考慮しなければならない事としており、あくまでも一般論としてお答えいたしますと、父母相互間の人格尊重義務や、協力義務義務を遵守して来たかも、考慮要素のひとつであると考えられます。

法務省といたしましては、改正後の民法の趣旨や、内容解釈について、裁判所と適切に共有する事も含め、関係府省庁と共、連携して、適切且つ充分な周知・広報に勤めたいと考えております。


005 自由民主党 三谷英弘


◯三谷英弘 君

ありがとうございました。

今お答えいただきました中に、『夫婦の協力義務』という言葉があります。これ、本当に大きな事だろう、というふうに思っています。

子どもの連れ去りついて、伺います。この子どもの連れ去りと刑法の関係につきましては、後程、谷川委員から質問されると承知をしておりますので。それは、そちらにお任せさせて頂くと致しまして、民事上の質問をさせて頂きます。

これまでは、親権を獲得する為に、ある意味、必勝パターンというものが存在いたしました。その最たるものが、子どもの連れ去りです。子どもと一緒に家を出て、別居を始めるという事で、事実上の監護状態を作り出す。そうすると、『継続性の原則』が適用されて、そのままの事実状態が、裁判所に追認をされる事が非常に多くありました。ある意味、これまでは連れ去った方が『得をする』、という運用がありまして、それを踏まえて弁護士も、離婚をされるなら、子どもと一緒に出てください、というようなアドバイスが行われる事が多かったと承知をしております。

そういった中で、この今回の法改正を踏まえて、その以降ですね。理由なく、子どもを連れ去り、或いは相手方と会わせない、という事は、先程お話し頂いた、『親権者間の協力義務に違反する行為』となりますので、やはり、この親権者の判断に於いて、マイナスに働き得る、という事で良いか、お答え頂きたいです。


006 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

本改正案では、父母の離婚後も、その双方親権者とする事が出来る事とした他、婚姻中も含め、父母双方が親権者である場合は、子の居所の変更を含めて、親権は父母が共同して行うとした上で、窮迫の事情がある時は、父母の一方が親権を単独で行う事が可能であるとし、父母の意見対立を調整するための裁判手続きを申請する事で、親権行使のルールを整理しております。

また、本改正案では、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し、協力しなければならない、としており、父母の一方が何ら理由なく、他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は、個別の事情によっては、この規定の趣旨にも反すると、評価される、と考えております。

そして、あくまで一般論としてお答えいたしますと、父母の一方が、父母相互の人格尊重義務や、協力義務等に違反した場合、親権者の指定変更の審判に於いて、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。


 007 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。そして、もうひとつ加えてお伺いします。

この特段の理由なく、子どもを連れ去って、相手方に会わせない、という事。

これ自体はですね、引き離された側に対する、『精神的なDV』に該当するというふうに理解をしておりますが、それでよいのか、お伺いします。

それからもうひとつ、子どもを理由なく引き離して、相手方に会わせないという事が、仮に『DVに該当する』という事であれば、親権者を決定するという判断に於いて、極めて、不利益に考慮される事情となる、というふうに承知しておりますが、その点について、お答え頂きたいです。


007 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

まず、お尋ねの前段の部分でございますが、無断で子どもを転居させ、特段の理由なく別居して、別居親と一切交流させないというような場合は、個別の事情にもよるものの、これにより心身に有害な影響を及ぼした、と認められる場合には、DVに該当する可能性もあり得る、と考えられます。

後段についてですが、本改正案では、先程申し上げましたような夫婦相互の人格尊重義務や、協力義務を規定しているところでございまして。お尋ねのような行為は、個別の具体的な事情によりましては、この義務に違反すると評価される場合が、あるものと考えられます。

また、本改正案によれば、親権者の指定の裁判に於いては、子の利益のため、父母との関係や、父と母との関係、その他一切の事情を考慮しなければならないとされておりまして。これらを踏まえ、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、親権者の判断に於きましては、父母の一方が、子の養育に関する責任を、これまで充分に果たして来たか、や、父母相互の人格、尊重義務や、取り組む協力義務を遵守して来たか、も考慮要素のひとつであると考えられます。


008 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。

そういったお答え頂きましたが、ただ、だからといって、直ちに連れ去りというものがなくなる、とまでは、楽観視してはおりません。といいますのも、私がもし、弁護士として実務に携わるのであれば、離婚に至る間に、夫婦間に合った様々な口喧嘩を含めた、いざこざ、に着目いたしまして、その際の言動というものを殊更に強調して、それがDVとか虐待に当たると主張して、子どもを連れて出ていくように指導する、だろうと思います。

もし、裁判所がそういった主張を漫然と認める、という事はないと思いますけれども、そうだとすれば、ですね。結局、この今、巷間にいわれておりますような虚偽DVの被害といわれるものが、形を変えて増えるだけでもありますし、結局、連れ去った方が有利という事態を防ぐ事はできません。

だからこそ、伺います。

まず、単にDVや虐待があるという主張が行われただけ、では、単独親権は認められないし、そういう主張が行われたとしても、しっかりと裁判所が、事実認定を行って、その有無を含めて、子どもの利益のために有益であれば、、共同親権が認められるという理解でよいか、お伺いします。


009 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

本改正案では、裁判所が親権者の判断をするに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係、その他一切の事情を考慮しなければならないものとした上で、必ず、父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等の『おそれ』がある、と認められる時、DV被害を受ける『おそれ』等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行う事が困難である、と認められる時を挙げております。

虐待やDV被害を受ける『おそれ』の有無や、父母が共同して親権を行う事が困難である、と認められるかどうかは、裁判所に於いて、個別の事案ごとにそれを基礎づける方向の事実と、それを否定する方向の事実が総合的に考慮されて、判断されるものでありまして。当事者が、虐待やDVの存在を主張している事のみによって、直ちに認められるものではない、と考えられます。

従って、当事者が、虐待やDVの存在を主張しているとしても、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係、その他一切の自分が考慮されて、父母の双方を親権者と定められる事もあり得る、と考えられます。


010 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。

もちろんDVですとか、虐待というのは、重大な事柄ですから、そういった主張が行われた時には、裁判所は当然ながら、慎重にその有無を審議するというのは当然の事でもありますし、その分だけ、審議に要する時間というのは、長くなるという事は、避け得ない。それはもう、理解をしています。

た、だからといって、その間ですね。一方の親の身との同居状態というものが長期化する、という事によって、別居親との関係が薄くなってしまう事は、容易に想定されるわけです。それを防ぐためには、こういった長期にわたる調停や、裁判手続きの間も、子どもと別居親との、間の親子交流がしっかりと実施される事が不可欠である、と考えますが、どのようにお考えでしょうか。


011 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

裁判手続き中に、親子交流が行われずに、長期間が経過いたしますと、親子関係に影響を与えかねないと指摘がある事は承知しております。本改正案では、適切な親子交流の実現のため、裁判所が裁判手続き中に、事実の調査のため、当事者に対し、親子交流の試行的実施を促す事が出来る仕組みを、設ける事としております。

この試行的実施は、親子交流の調停審判事件のほか、離婚調停、離婚訴訟に於いても、可能なものとしております。

また離婚調停や、離婚訴訟が継続中でありましても、親子交流の申し立てがされた場合には、離婚調停と並行して、親子交流の手続きが進められる事となり、事案によりましては、離婚訴訟の判決に先立って、親子交流についての取り決めが、される事もあり得るものと考えられます。


012 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。

それから、この共同親権の行使のあり方について、お伺いします。そこでいう、単独で行使し得る、この窮迫の事情いうものについて、様々な意見がある事は承知しております。もちろん、その窮迫の事情に於ける窮迫制というものを、あまり狭く解釈すると、なかなか窮迫の事情が認められないという懸念の声も、これまで、たくさん頂戴をして参りました。

一方で、親権者の合意が必要な場合であっても、裁判所の判断に時間が掛かる場合には、結果的に、窮迫の事情によって、一方の親権者の判断により、物事がどんどんと進んでいく、事態が想定されるわけです。共同親権を、といったところで、絵に描いた餅で終わってしまうという事にもなりかねません。

だからこそ、裁判所に於いて適切に、或いは適時に、窮迫の事情を判断して頂く必要がございますが。この点、迅速な判断を得るための仮処分的な、手続きの活用を含め。裁判所の機能強化が必要と考えますが、この点について、どうお考えでしょうか。


013 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

本改正案では、父母双方が、共同で親権を行うべき事項についての、父母の意見対立に対応する対応するため、家庭裁判所が、父母の一方を、当該事項について、親権行使者と定める事が出来る、手続きを新設しております。

また、家事事件手続法第175条に於きまして、家庭裁判所は、親権行使者の指定の審判、または調停の申し立てがあった場合に於いて、審判前の保全処分として、その他の利害関係人の窮迫の危険を防止するため、必要があるときは、仮処分、その他の必要な保全処分を命ずる事が出来る事としております。


014 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。

続いて、養育費と親子交流についてお伺いします。

両親から、愛情を持って育てられる事は、子の利益に資するものでありまして、それを形にするのが、養育費の支払い、そして親子交流だと考えています。

これらは車の両輪であるいう事を前提に、以下、質問をいたします。

今回の改正では、養育費の支払いにつきましては、履行確保の観点から、先取り特権を認める内容が入っております。他方で、親子交流については、履行確保の手段というものが特段入っておらず、しっかりと親子交流の履行を確保する事については、別途考えなければなりません。

その中で、特段の理由なく親子交流を拒む場合、親権者の変更を求める。或いは、巨居所指定権者の指定を求めて、子どもの巨匠を変更する。

つまり、それまでの別居親の側に、子どもを移す事も可能だという、理解でよいかお答えください。


015 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

本改正案では、真剣の有無や婚姻関係の有無に関わらず、父母は、子の人格を尊重して、その子を養育しなければならない事。また、父母は子の利益のため、互いに人格を尊重し、協力しなければならない事を明確化する事としております。

父母の一方が、特段の理由なく、親子交流に関する協議を拒んだり、親子交流について取り決められたものの、特段の理由なく、その履行を拒む場合、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や、協力義務に違反すると評価される場合があると考えております。

そして、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が、父母相互の人格尊重義務や、協力義務等に違反した場合には、親権者の指定変更の審判や、子の居所の指定に関する親権行使者の指定の審判等に於いて、その違反の内容が考慮される可能性がございます。

その上で本改正案では、裁判所は、親権者の指定変更の申し立てや、親権行使者の指定の申立てに於いて、別居親からの申立てに理由がある、と判断する場合には、当事者・同居親に対して、他方の当事者・別居親に、子を引き渡す事を命ずる事も出来る事としております。


016 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。

ただ、もちろんそれは、もう究極的な場合でありまして、出来る事ならば、しっかりと自発的に、親子交流が行われる事に越した事はありません。

そういう意味では、親子交流の支援というものが、地方自治体ですとか、民間団体によって行われる事が、重要であるというふうに考えています。

また、親子交流の重要性の理解を深めるためにも、こども家庭庁が実施をしております、『離婚前、前後の親支援事業』が少しでも、多くの自治体に於いて、実施されるように取り組んでいくべき、と考えます。

これらの親子交流の促進、と円滑な共同養育を進めていく上で、地方自治体の役割は、大変、大きいものと考えておりますが、こども家庭庁としては、どのようにお考えでしょうか。


017 こども家庭省・長官官房・審議官・野村知司

◯野村知司 君

お答えを申し上げます。

こども家庭庁に於きましては、『離婚前後、親支援モデル事業』という形で、令和元年度から、『親支援講座』であるとか、或いは、養育費の確保履行、履行の確保、さらには、親子交流の取り決めの意識を持ってもらう、と。こういった取組みするような自治体への支援を行っているところでございます。

で、これ先生からご指摘がありましたけど、6年度からは、このモデル事業というのを『位置づけ』を改めまして『離婚前後、親支援事業』という形で、意欲を持つ自治体がですね。しっかり取り組んで頂けるように、という事で、一自治体あたりの補助基準額を増額するといった事。さらには、このモデルという位置づけから、いわゆる一般の事業に変更して、より普及を図っていくという見直しを図ったところでございます。

さらには、『親子交流支援事業』というものも、もうひとつやっておりまして、自治体における親子交流支援員の配置を促進し、離婚した夫婦に於ける親子交流支援などを行っているところでございます。

親子交流は、一般論として、離婚後も適切な形で実施される事は、子どもの立場から望ましい事であります。一方で児童虐待、DVなどによって、実施がなかなか難しいという場合もあって、安全・安心な親子交流の実施に当たって、より専門的な支援が必要になる事もございます。

こうした専門的な支援に関して、例えばですけれども、法務省さんの方でも、親子交流支援団体の活動支援とか、親子交流について説明する動画、パンフレットなどによる。周知などを図ってくれるものと承知をしております。

この度、法務省さんとも連携しながらですね、地方自治体に於いて、民間親子交流支援団体、或いは地元の弁護士会などの協力を得ながらですね。こういった取り組みを実施して行けるように、しっかりと支援をして行きたいと考えております


018 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

ありがとうございます。

本当にこれからは、地方自治体の役割というものも、大きくなって参りまして。実はこの親子の関係に関してはですね、地方議員の方々の議員連盟というものも、存在します。これも『共同養育議員連盟』と同じように、超党派で派生しているものですけれども。これから、全国で、地方自治体の各級の先生方が、この親子交流をしっかりと促進推進していくための、取り組みを進めて頂く事を、期待をしたい、というふうにお願いを申し上げます。

それでは続きまして、次の質問に移らせて頂きます。

この親子交流の頻度ですけれども、現在は、月に1回が相場だというふうにいわれています。しかしながら、離婚後、この共同親権導入した後は、子の重要な事項に決定を関与するという事であれば、子どもの得意と不得意・性格・その特徴を親権者がしっかりと理解しない事には、子どもの最善の利益に資する判断が行えません。と、すれば、それに伴って、親子交流の意味ですとか、目的もなんらか変わってくるという風な理解ですけども、それでよいでしょうか。


019 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。父母の離婚後の子、と、別居親との親子交流は、親権の行使として行われるものではありません。別居親の親権の有無の問題と、親子交流の頻度や、方法をどのように定めるかといった問題は、別の問題として捉える必要がございます。

その上で、親子交流の頻度や方法については、安全・安心を確保して、適切な形で親子の交流の継続が図られる事は、子の利益の観点から重要である、という事を前提として、子の利益を最も優先して、考慮して定めるべきであります。

離婚後の父母双方が、親権者である場合には、親子交流の機会を通じて、別居親が子の様子を適切に把握する事が、円滑で適切な親権行使のために、有益である事もひとつの視点として、考慮される事になると考えられます。

いずれにしても、適切な親子交流のあり方は、親権行使のあり方とは別に、子の利益の観点から、個別具体的な事情の下で、検討されるべきものと考えられます。


020 自由民主党 三谷英弘

◯三谷英弘 君

今ご答弁頂きました、その視点というのは、極めて重要になりますので、これから裁判所実務の中で、そういった視点を大切にしながら、質とか量を、決定をして頂きたいという事を、心からお願いをさせて頂きます。

また法定養育費について一点お伺いします。

今回、法定養育費制度が認められました。実はこの、についてはですね、別居親と話し合いの機会を持とうとしない、或いは、ひたすら関わりを絶とうとする。そういった親であっても、この法定養育費制度が払われる。支払う側からすると、全く話し合いにも応じてくれないにも関わらず、この養育費の支払いのみが、強いられるのではないか、といった不安の声も一部ではあると承知をしております。

もちろん親である以上、養育費を支払うのは、当然の事でありますので、それに対してNOと言う事は、あってはならない。

ただ、やっぱりですね。親権者間で協力義務を履行するという事を、やってほしいわけです。やっぱり、そういった時にもですね、親権者の判断に於いて、そういった親の動きといいますか。そういったものがですね、マイナスに働くという事で良いか、意見、簡潔にお答え下さい。


021 法務省・民事局長・竹内努

◯竹内努 君

お答えいたします。

本改正案に於いて、新設をいたします、法定養育費制度は、父母が取り決めをせずに、離婚した場合に、養育費の取り組みを補充する趣旨で、父母の生活に即した養育費の取り決め等がされるまでの当面の間、父母の収入等考慮せずに、離婚時から一定額の養育費を請求する事が出来る、というものであります。

他方で、父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たす事が望ましく、養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項を取り決める事は、子の利益にとって重要であります。

このため、父母の一方が、養育費や親子交流など、子の養育に関する事項についての協議を、理由なく一方的に拒否する場合、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や、協力義務に違反すると評価される場合がある、と考えております。

そしてあくまで、一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が、父母相互の人格尊重義務や、協力義務等に違反した場合、親権者の指定変更の審判等に於いて、その違反の内容が考慮される可能性がある、と考えています。


022 自由民主党 三谷英弘

ありがとうございます。

続きまして、裁判所の体制整備についてお伺いします。現在、すでにコロナ期以降ですね。期日がなかなか入らない。今なお、2ヶ月に1度しか記述が指定されない。審議の進行が遅くなっている。そういった声・批判というものが強いところでございます。

それに加えまして、今回の改正によって、親権者間の意見に相違が生じた場合ですとか、或いは改正民法の施行前に離婚した夫婦から、親権者変更、或いは指定が求められる場合など、多数の案件が、新たに裁判所に持ち込まれる事が想定されています。

司法が、国民にとって利用しやすくあり、且つ頼りがいのあるものとするためにも、今後、改正民法が施工されるまでに、どのような体制整備を行う予定か。裁判官や家事調停官の増員への意識も含め、現在のお考えを伺います。


023 最高裁判所・事務総局・総務局長・小野寺真也

◯小野寺真也 君

お答えいたします。

裁判所はこれまでも、事件動向を踏まえまして、着実に裁判官を増員してきたところでございます。とりわけ、平成25年以降は、民事訴訟事件の審理充実を図る他、家庭事件処理の充実強化を図るために、事件処理に長けた判事の増員を継続的に行って参りました。

また、各裁判所に於きましても、家事事件を担当する裁判官等を増員するなど、事件数増も見据えて、家事事件処理のために、着実に家裁の体制を充実させてきたところでございます。

委員ご指摘の通り、家事調停の審理期間につきましては、コロナ禍で長期化した面もありますところ、かねてより、各家庭裁判所に於いて、問題意識を持ち、裁判官の効果的関与、調停質の有効活用等を含む、調停運営改善の取り組みを進めてきたところでございますす。

また最高裁判所に於きましても、問題意識を持って、取り組みをしているところでございます。

本法案により、家族法の改正があった場合には、施工に向けて、引き続き裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な体制の整備に努め、家庭裁判所の事件処理能力の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。

とりわけ、家事調停に於きましては、裁判官による調停運営だけでなく、弁護士としての一定の職務経験を有する者を、家事調停官として任命をし、裁判官と同等の権限を持って、弁護士としての知識や、経験等を活用した調停運営を行っているところでございます。

家事調停官はこれまで大規模領を中心に、一定数を配置してきたところでございますが、本法案により、家族法の改正がされた場合には、本改正が各家庭裁判所における事件処理に与える影響を考慮しつつ、家事調停官の配置数の増加。或いは、これまで家事調停官の配置のなかった庁に、新たに配置をするなどの、調停完成度のさらなる活用に、家庭裁判所の事務処理能力の一層の向上を図っていく事を含め、検討して参りたいと考えております。


024 自由民主党 三谷英弘

ありがとうございます。

時間もだいぶ、なくなって参りましたので。一点だけ、事実関係だけ確認させてください。

この『拙速な議論』だというふうに言われる事もあります。しかしながら、前回の平成23年の民法改正の採決の際にもですね、共同親権制度の導入についても、一定の検討がなされた上で、決議が付されたというふうに理解をしています。

その共同親権および共同監護について、それを検討するという内容が付帯決議でされている、というふうに承知をしております。

そしてその附帯決議については、全党一致で賛成をした、という記録がございます。

それからもうすでに、十数年経つ中で、決して拙速な議論ではありません。そして最後に、今回の質疑で浮き彫りになりました。子の親権者の協力義務の重要性、しばはし参考人もお話されておりましたけれども、これまでは、離婚イコール、争いだという、この悪しき文化というものがありました。しかしながら、今回の法改正のタイミングで、我々の世代で変えていき、より良い社会を次の世代に引き継ぎたいという事を思っております。しっかりその思いを形にしていくべく、進めていく事を祈念させて頂きまして、質疑を終了させて頂きます。ありがとうございました。


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