沈丁花も咲いていることですし③

ずっとこの時間が過ぎれば良いのに
部屋の外はどんどんどんどん季節が移り変わっていって
風景も何もかも変わっていって
この部屋の中だけが何も変わらなくて
三人で
ずっとこのまま

このまま

このまま
明日なんて来なくて
2人はずっと大雨の中
小さな部屋に閉じ込められて
永遠に

設計コンペ参加しよう

寂しい言葉

いつかお台場に行こう

あなたとあの子がしたことないこと
あなたがわたしとしたがってくれること
とても嬉しくて
だから
お台場デートしよう

私はこうやって
逃げ場を作って

自ら逃げ場を失って

あのひととのこと
だれにもいえない
そんな相手

恋愛って
私が思うより
もっとたのしいものなのかもしれない

それでもわたしは
きみとしたキスを忘れないし
きみと手をつないで寝たことも忘れないし
きみが私を抱きしめたことを忘れない

たとえきみが
彼女のもとへ
戻っていって
わたしのことを忘れたとしても

きみが私の肩に置いた手の温かさや
きみのがっしりした腕や
大きな背中を

わたしはわすれない

たとえきみが
わたしに
もういえに来ないで

言ったとしても

きみがわたしに
帰らないで
と言ったことを
わすれない

わすれないけれど

わたしは歩みつづける

わたしときみが
過ごした僅かな時間は
決してなかったことにはならない
私はその時間を
宝物箱に入れて
おうちにおいておくの
そして
どんどん
どんどん
遠くへ歩きつづける

もしきみが
私のことを
追いかけたくなったら
追いかけておいで
待ってないけど
待ってるよ
歩きながら
前を見ながら
お互い時々思い出しましょう

わたしはきっと
髪を伸ばしつづけるし

きみの声を聞いて笑顔になるかもしれないけど

この時間は
きみから離れることで得られた一人の時間は

神様が
あなたのしたいことをしなさい
すべきです
といって
わたしに贈ってくれたものだと信じて
今日も
歩きます
わたしが
一番欲しいものに向かって

それは
あなたの愛なんかじゃない

それは
わたしが
ちいさいころからずっとほしかったもの
愛とか
恋とか
そんなものを知る前から

ずっとほしかったもの

愛を親だけから享受して
自分は親だけを愛して
そんなころから
ずっと欲しかったもの

忘れられなくて

だから
いまは
それに向かって歩みます
あなたからは
遠く遠く離れてしまうけど
寂しくなんかないよ
帰ったら
宝物箱がありますし
あなたは
きっとずっと
そこにいるのでしょうから

あなたとしたキスは忘れないけれども

あなたが私の胸に顔をうずめたことも
髪の匂いをかいだことも
耳をかんだことも
キスマークをつけたことも
初めて、ブラジャーのホックを留めたことも
お台場デートに誘ったことも

絶対に
忘れないけど

きれいに
しまっておくよ

きみが
また
それを
眺めたいと
言い出すまでは
わたしは一人で歩きます

その日まで
さようなら
大村

さよならは別れの言葉じゃなくて
再びあうまでの遠い約束

こんな風にして、
女の子は強くなって
女になっていくのでしょうか

男の子はいつまでも
男の子のままで
女のやさしさに
甘えていくのでしょうか

しかたないからつきあってあげる
きみの
おもいつきの
わがままに
きみは
いつか寂しくなるでしょう
それまで待っててあげるよ

きみの
おもいつきのわがままが
わたしを一瞬でも辛くさせたことは
忘れてあげるから

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