ある男性の回想

「わたしね、弟みたいな人と付き合いたいの。」

と言う友達がいたことを思い出した。

美弥の弟みたいなってどういう人、とぼくが問うと彼女は

「私がすっごいピンクのネイル塗って“赤すぎる?”って聞いたら“赤すぎる”って答えた後に“でも良いと思うよ”って笑いながら答えてくれるような人。」と話してくれた。

彼女は今どこでなにをしているのだろう。相変わらず、すっごいピンクのネイルを塗ったりしているのだろうか。

ねぇ、コレ赤すぎるかな?

その子は唇をちょっと突き出して僕に聞いた。

赤すぎる。でも良いんじゃない?

と僕は答えた。

これがネイルだったらあのときの美弥と同じだなぁ。とか、でも口紅ってところが、ちょっと直接的。なんて考えながら。

別に赤い口紅が良いとも悪いとも思っていなかったし、その子は彼女でもなんでもなかったからどう答えても良かったのだけれど、その子が僕に気があるのは確かで、クリスマスが来週なのもまぎれもない事実だったから、僕はそうやって答えたんだ。

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