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はさみ虫との出会い

初夏の頃に庭でブロックを
動かそうと持ち上げたら、
その下に虫の巣を見つけました。

初めて見る虫です。
細長くて、こげ茶色に光っていて、
お尻には2本のカマの形をした
突起がハサミのようについています。

ちょっと気持ち悪くて、
早くどこかに行って欲しいと思うのに、
じっと動きません。
よく見ると、虫の横に卵が
20個くらいあります。
そして平べったい直径5〜6センチの
窪みの中に入っています。
この虫は卵を守っているから
逃げないんだと気がつきました。

頑張っているお母さん虫だと思うと
愛おしさが湧いてきて、
ブロックをそっと元に戻しました。

ネットで調べたら、
はさみむしという虫でした。

母虫は、卵をなめてきれいにしたり、
ばらばらに広げて風を通したり、
お世話をするそうです。

卵から幼虫が出てくると
まず母虫の身体を食べて、
それから巣立っていく、
と書いてあったのにはびっくりしました。

本当にそんなことが
起こるのか気になって、
毎日のぞいて様子を見たんです。

すると、卵の置いてある場所は
日ごとに移動していて、
ばらばらに広がっている時もあったので、
お世話をするのは本当だとわかりました。

数日後,卵が半分に減っていて、
小さなはさみ虫の子どもたちが
母虫のそばで歩き回っていました。
小さいけど母虫とおんなじ色と形です。

次の日ドキドキしながら見てみると、
卵は1個だけになり、母虫は
まだ生きていました。

この時の母虫は、卵を守る気持ちが
薄らいでいたのか、巣のすみっこの
土の中に頭を突っ込んで
隠れようとしたんです。
お尻が見えているのがおかしくて、
笑ってしまいました。

そして次に見たときには、
巣は空っぽになっていました。

結局、子虫が母虫を食べたという
確証はないものの、食べていないと
確認できた訳でもなくて、
もやもやした気持ちが残りました。

ところが最近、本屋で偶然
「はさみむし」という絵本をみつけたんです。

その本には,はさみむしの一生が
描かれていて、どうなふうにハサミを使って
獲物(わらじむしなどの他の虫たち)を
捕まえるのかとか、どんなところで
暮らしているのか、などが書いてあります。
私が知りたかったことは
こんな風に書いてありました。

「すのなかで ははおやと こどもたちは
 しばらくのあいだ いっしょにすごします。
 ははおやは こどもたちのために
 たべものを はこんできます」

他に餌が何も無いときには、
子どもの虫が母虫を食べることも
あるのかもしれないけど、
私が見ていた母子虫たちの巣のそばには
わらじむしなどもいたので、
きっと絵本のように過ごしていたんだと思い、
なんだかほっとしました。

コロナの影響で仕事が減って
時間に余裕が出来たから、
小さい虫に心引かれたのかもしれません。

のんびり過ごすのって
けっこういいものだな、と
思えるはさみむしとの出会いでした。

いっこ

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