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ワシ4000円払うでよ、寿司食べに行こ!

こんにちは。
介護のつぶやきです。

最近高齢者の定義が変わって来ております。というのも、昔は会社を定年で退職する60歳になったら町内の『老人クラブ』なるモノに入るのが世の流れでした。ゲートボールや食事会、カラオケや公園のボランティア清掃などを通じて年寄り同士交流を深めたものです。

それが、少子化やクスリの発達や年金受給年齢の引き上げ等いろいろな要因が入って60代は高齢者では無くなってきました。というか現役で働くことが当たり前で、仕事が無くても孫の世話や親の介護等があったりします。なのでやることが無くて縁側でネコをかかえてひなたぼっこするという、絵に描いたような『老人』として余生を暮らす訳には参りません。

そうなると、どこのご町内も同じような状況だと思いますが、元気な老人というよりはもうホントに動くのが大変な『お年寄り』しか『老人クラブ』に入らなくなり、イベントの出席者も少なく会の運営もなかなか大変になってしまいます。老人会費は徴収したものの使い道が無いオカネばかりが貯まってしまいます。

そんな状況なのでワタシの住む学区では各町内の『老人クラブ』の解散が相次ぎ我が町内もその流れに逆らえなくなりました。困ったのは使われずに残った会費です。老人会の会長から「皆さんにお返ししたい」とのことで各会員に14000円ずつ返還することが決まりました。というのを町内会の会合で聞いたのですが「どうやって渡すのかな」とは思っていました。

ある日の夕方ワタシの会社の向かいにある我が家の前で老人会の会計さんと母親が談笑しておりました。ナニを話しているかまでは聞こえませんでしたが、話が終わったあと母親が弾んだ声で事務所に来ました。

「ねーちゃん(ムスメのことです)、お父さんおる?」

なにがあった?ムスメが対応します。

ワシ4000円おごるでよ!なにかオイシイ晩ご飯食べにいこまい!

あ、会計さんから母親に渡してしまったか・・・。ムスメは言います。

「晩ご飯はウチで食べます。そのオカネどこから出たの?」

母親は黙っております。ワタシが答えを告げます。

「老人会解散の返金があったでしょ。しかも14000円。残りの1万円はどこにやった?」

続けて母親は黙っております。ムスメが言います。

「そのオカネは家計から出ているでしょ。生活費じゃん。なにか食べに行くオカネじゃないよね。晩ご飯は家で食べます」

母親はスゴスゴと家に引き返して行きました。

さて、そうなると問題は母親が持って行った14000円の回収です。タンスの奥深く入れてしまったらどこに行ったか解らなくなり回収不可能になります。そうなるとどこかにはあるのだとは思いますが、回収する術がなかなか見つかりません。

夕方デイサービスの通い袋の整理していたらパンツやお風呂のバスタオルの中にサイフをみつけました。外から触ったところどうもここにお札が入っている感覚があります。一計を案じて「パンツ交換してきて」と言ったら母親はトイレに行きました。ズボンを脱いでパンツを脱いでトイレしてパンツを履いてズボンを履くのに3~5分かかります。「今だ!」とサイフからオカネを回収。通い袋の中身を元に戻してその後は何食わぬ顔をしていると母親がトイレから戻ってきました。

さて、その後ですが、今の母親のありがたいのは5分前のことを忘れるというコトです。もちろん「ワシのカネどこやった」とも聞かれません。後日デイサービスの職員さんになにか変わった様子がなかったか聞いてみました。

「本日サクラ満開だったのでクルマでお花見してきました。クルマが止まる度に『コレはワシがおごるでイッパイやらにゃ』とおっしゃってました。もちろんクルマからは降りることはないのでおごることも出来ませんが」

まだ、「人におごりたい病」は治っていなかったのね。

では、皆様もお気楽に介護を。

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