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第4期締まったので、創業をふりかえってみる

はじめまして。ソーシング・ブラザーズ株式会社の小澤です。
このnoteでは、採用で初めてお会いする方々によく聞かれることが多い、弊社の創業経緯を、弊社への転職を検討していただいている方々に向け綴っていこうと思います。(けっこう長文です。5,000文字)


30分で決まった共同創業

弊社は、私と渡邊の2名で共同創業した会社です。
共同創業と自己紹介すると、「昔から付き合いがあるのか」、「元々ふたりでビジネスをしようときめていたのか」などと質問を頂くことが多いです。
私と渡邊は起業をする前は、M&Aのアドバイザリー会社で同期でしたが、ふたりで起業の話をしたこともなければ、同じ会社でしたがチームは別だったので、一緒に仕事をしたことすらありませんでした。
ただ、不思議なもので自分が会社を辞めようと考えていると、同じことを考えている人はなんとなく分かるようになる。
その中で、ある朝の朝礼が終わった後に初めてふたりでコーヒーを飲みに行きました。そしてコーヒーを飲み終えるころには共同創業が決まっていました。
共同創業することになった理由はシンプルで、GAFAMもみんな共同創業だし、1人よりも2人の方が成長するだろうと思ったからです。

とりあえず会社作ってみた

共同創業することが決まったものの、お互いに自分たちの人生を賭して実現したいことがあるような使命感のあるタイプではなく
渡邊は家系が経営者一族なので、20代のうちに起業しようと思っていた。
私は当時「かなりの出る杭」だったので、いつ打たれてもおかしくない状態で、打たれる前に消去法で起業に至ったので、事業内容が決まっていませんでした。
渡邊とお互いに自分たちが温めていたビジネスアイディアを持ち寄って、なにをやるか試行錯誤する日々が続きましたが、バチっとハマるものがなく1ヶ月くらい経過したタイミングで、とりあえず定款の目的は経営コンサルティングで会社を設立して、退路を断とうとなりました。

創業時の登記簿

溶ける資金と黒字倒産

起業して、最初に事業として手掛けたのはMA業界特化の人材紹介でした。
・売掛金よりも買掛金が先に発生しない(先行投資が少ない)
・手数料ビジネスなので、粗利率が高い
・なんかサクッと売上立ちそう

上記3つくらいが主な理由で、創業初期に着手しやすいビジネスだなと思ったことや、人材紹介業に対する知見はないですが、M&A業界に対する知見はあったので、M&A業界に対する人材紹介業からスタートしました。

一番最初に手掛けた事業が人材紹介だったことは、いまでも良い意思決定だったと思っています。

ただ、1つ想定外だったことは、思ったよりも一瞬で資金が無くなりました。創業直後からオフィスを契約し、PCなどの備品を揃え、社員を採用して・・・と、事業を始める下準備をしている段階で、文字通りお金が溶けて行きました。

具体的には資本金500万円でスタートした会社なので、500万円の現金はあるのですが、3ヶ月で500万円が底を尽きました。
3ヶ月目はちょうど売上が立っておりましたが、取引先からの入金は来月。

「ああ、これが俗にいう黒字倒産」ってやつか

前職で、資金繰りに詰まって黒字倒産している企業たくさん見たな・・・

3ヶ月で500万円使い切るって法人って個人とは桁違いにお金掛かるんだなと思いました。
結果としては、月末に政府系金融機関の日本政策金融公庫からの創業支援融資の決裁が降りて、1,000万円の融資を受けることが出来たので、倒産することなく生き延びることが出来て、資金調達の重要性を体感することになりました。

当事者として感じた課題

黒字倒産の危機などを乗り越えて、創業から数ヶ月経ったタイミングで明確に2つの課題が浮き彫りなりました。

  • 資金調達ができない

  • 人材採用ができない

❏資金調達できない

銀行借入(Debt)は、主要な銀行はお金を借りるどころか口座開設すら断られることもありました。
断られた銀行の中には、「超低金利の時代に、与信管理の難しいスタートアップに少額の融資する方が手間」と言われたりと散々な対応をされたことを覚えています。(たしかにそうだなとは思いました。)

Equity(増資)は、知人のベンチャーキャピタリストから弊社のビジネスモデル的に、労働集約型のビジネスはVCなどの投資家から資金調達は不向きと言われていたこともあり選択肢にすら上がらない状態でした。

そんな当時の弊社はすでに、安定して毎月売上も立てており創業1期目から黒字の好決算で、事業への解像度も高まり何に投資をすれば、事業が伸びるのかも見えたので、資金さえあれば、さらに成長出来るというフェーズでした。

❏人材採用ができない

人材採用に関しては、2つの課題がありました。
①資金不足
優秀な人材に出会えたとしても、会社として何人も社員を抱えるほどの余力がないから内定が出せない。

②知名度と信用力不足
ある程度、会社の資金に余力が出来てきて、積極的に採用をしようと思っても、知名度が無いため応募が来ない。
せっかく優秀な人材と出会えて内定を出しても、転職してもらえない。

創業初期のオフィスは面接中にパーテーションが倒れてきたり・・・

私も逆の立場だったときに、創業から1年で、面接中にパーテーションが倒れてくるような会社には大企業から転職はしないと思いますので、致し方無いことだとは思いますが、「資金・知名度・信用力不足」によって、創業初期に採用したかった優秀な人を逃す事が多く、あの人たちを採用できていればもっと早く成長できたなと思うことがあります。

M&Aを検討した知人の会社が清算

創業から1期目を黒字で終え、2期目に入り人材紹介以外にも事業を展開していた私と渡邊にとっては、大きな転換点が起きました。

先輩の起業家が事業に伸び悩み会社を清算した

私と渡邊の共通の知人で、創業前から知っている人でした。
その先輩はある業界向けに、イノベーションを起こせるようなテクノロジーを開発している技術系のスタートアップでした。

清算を決めた理由は、主に2つ
・マネタイズするまでに必要な資金が集まらない
・成長していく上で必要な営業やマーケなどの人材が採用出来ない
上記が理由になり、当初はM&Aを検討したが、エンジェル投資家やVCから複数回資金調達を実施し、資本関係が複雑化しており、資金繰り的に時間もない中で当時はM&Aの買手が見つからず、やむを得ず清算することになった。

当時の私と渡邊からすると、シリーズAの資金調達中と聞いていて、社会実装までできるかは別として、仮に社会実装できた場合は、業界課題を解決する意義のあるテクノロジーを開発している会社だったので、尊敬もしていたし、応援もしていました。

その会社が道半ばで、会社を清算するという出来事は、詳細の経緯は分かりませんが、ショックを受けたことと、元々M&Aアドバイザーだった立場からなにか手伝えたのではないかと思ったことを覚えています。

銀行からの資金調達

2期目に入ってからも、ある程度キャッシュに余裕は出てきたものの、より成長をしていくために、資金調達は必要だと思ってたので、銀行とは積極的にコミニケーションは取り続けました。
その結果、2期目が締まるころに商工中金を筆頭として、いくつかの銀行から合計で1億円の借入をすることが出来ました。
弊社はこのDebtでの資金調達をキッカケとして成長速度が上がったことを鮮明に覚えています。
資本金500万円の創業3期目のオーナー系企業に融資の決済をしてくれた担当者には今でも感謝してます。

起業家を応援していきたい

日本のスタートアップがアメリカなどの諸外国と比較して、Debt・Equity共に資金調達が難しく、保守的な国民性から優秀な人材が大手に就職している現状に強い課題感を持つようになりました。

もちろん経営者としては、自力で資金調達や優秀な人材を獲得してくることも必要なケイパビリティだと思います。

一方で、世の中対してイノベーションを起こしていくスタートアップの起業家は自分たちの解決したい課題に立ち向かうために起業しているのであって、資金調達や採用が出来る人たちばかりとは限りません。

自分たちの実体験として感じた課題と、知人の起業家の会社清算などが重なり、これから起業する起業家の人たちに、同じような悩みで成長を阻害されてほしくないという想いから、スタートアップの世界に対してサービスを提供していくことになりました。

日本のスタートアップ投資の現状

スタートアップにおける資金調達の課題感としては、政府でも警鐘を鳴らしているスタートアップへの投資(リスクマネー)の供給が不足している点が挙げられます。

出所)経済産業省 スタートアップについて

スタートアップに対する投資金額が諸外国と比較して少ないことは、いくつかの要因が重なった結果なのですが、私たちが一番危機感を覚えたのは、日本ではスタートアップに投資をする主要プレイヤーはVCの存在感が強く、事業会社でスタートアップに投資をしている会社はごく僅かでした。
私と渡邊は、前職の会社でM&Aをした後に、両社が成長をしていく事例を複数見てきたので、なぜスタートアップに対するマイノリティ出資はファンド以外のプレイヤーが少ないのか(もっと事業会社が積極的になっても良い)と思っていました。

SBIホールディングスと資本提携

そんな疑問を感じている時に、ご縁を頂き弊社はSBIホールディングスと資本提携に至りました。詳細はこっちに綴ってます。

弊社はSBIホールディングスとの資本提携(第三者割当増資)を通じて
①資金力不足の解消(今まで以上に攻められるようになった)
②知名度と信用力が向上(SBIグループとして与信が格段に向上)
③圧倒的なパワーのあるSBIから事業も応援して貰える

創業以来の課題である「資金」と「信用」が解消され、
「シナジー(SBIの応援)」がアドオンして弊社はシンプルに成長しました。

この当事者としての経験を経て、日本のスタートアップの成長に、日本の大企業の力は必要不可欠だと確信しました。
自分たちのような事例を1件でも多く積み上げることが日本のスタートアップの成長に繋がると思っています。

スタートアップ✖事業会社が少ない理由

スタートアップ✖事業会社という組み合わせは、なぜ日本には事例が少ないのか。
スタートアップと大企業は例えるなら、言語や文化の違う外国人とコミニケーション取っているようなイメージ
育ってきた環境が違うので、お互いの常識にもギャップがあって、正面から1on1でコミニケーションを取ると、なかなか上手く行きません。(この辺りはまた別で解説していこうと思います。)

そのためいま私たちはCVC運営支援という形で事業会社側に立って、スタートアップとの通訳のような立ち回りで動いています。

日本をアップデートするために
3つの事業を同時に垂直立ち上げ中…

  • 資金調達ができない

  • 人材採用ができない

  • 出口が見つからない(M&A)

私たちの原体験を通じて感じた課題は、政府も課題感を感じています。

出所)経済産業省 スタートアップ育成に向けた政府の取り組み

私たちは日本をアップデートをするために永田町で、3つの事業を垂直立ち上げ中です。
・スタートアップ採用支援(人材・ネットワークの構築)
・CVC運営支援(資金供給強化・オープンイノベーションの推進)
・M&Aアドバイザリー(出口戦略の多様化)

初めて感じた使命感

日本のスタートアップの成長のために、大企業との協業は必要不可欠
原体験のある私たちがこの課題の解決をしていくことには、強い使命感を感じています。

規模も小さいスタートアップではありますが、
本気で日本をアップデートしていこうと覚悟をもって臨んでいます。
小さい組織で大きな課題に向き合っているので、大変なことは多いですが、共感をしてくれる人が居たら、一緒に仕事を出来たら嬉しいです。



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