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ITエンジニアを目指す人が増えているのに、ITエンジニアが増えない理由を考えてみた

TechTrainの小澤です。4年前に起業し、今、TechTrainというエンジニア向けの教育・紹介サービスを作っています。それまではサイバーエージェントで新卒採用責任者として主にエンジニア採用・育成を担当していました。
こんなサービスを作っています。

起業してあっという間に5期目を迎え、改めて教育の難しさと可能性を日々交互に感じています。

この4年強、毎日向き合ってきた「ITエンジニアを目指す人が増えているが、(企業が求める)ITエンジニアがまったく増えないのはなぜか」という問題にいくつか自分なりの所感をまとめてみたいと思います。(ワールドカップも見ずに真面目に書いていることに今気づきましたが、とりあえず思うがままにつらつらと書いてみます。)

理由1|サービスではなく、ポートフォリオを作ろうとしている。

ここ5年くらいで一般的な言葉になりつつある「ポートフォリオ(制作物の意)」。昔はこんな言葉はなかったですが、最近は「エンジニアになるためにとりあえず今ポートフォリオを作っています!!」という人も多いのではないでしょうか。Youtubeやその他SNSでも「未経験からエンジニアになれる○箇条!」みたいな動画が散見されます。

エンジニアを目指して一生懸命ポートフォリオを作るわけですが、どういうレベルなら内定が出るのかが分からないまま、自分の好きなように作ってしまったり、ネットに転がってるものを鵜呑みにして「ぽく」作る人がめちゃくちゃ多いです。加えて、プロからのレビューもなく、最終的には「自分が時間をかけて作った自己満な作品」になるわけです。

プロの料理人になりたいのに、プロの作った料理を食べたこともなく、プロに自分の料理を味見してもらったこともなく、ひたすら自分が好きな料理を作っていて、お店を出せる人が何人いるでしょうか。

趣味ではなく、仕事としてエンジニアを目指すのであれば、ポートフォリオではなく「サービス」を作ったほうがいいと思います。自分で企画→設計→開発→リリース→ユーザーヒアリング→修正→リリース→ヒアリング…をしていくことを体験しないとなかなか実務未経験から採用されることはないです。そういう仕事をしようとしているのですから、自分で先に同様の体験を小さくていいので、しておくべき。そうすれば面接時に「実績で殴れる」と思います。

・企業を受ける前に、どういう人を採用したいのか求人を読み込む。
・その企業が作っているサービスに触れてみる
・技術ブログを読み、なぜそういう設計、実装になっているのか自分なりに解釈をする
・上記の前に、自分で作って出して、誰かに触ってもらい、1円でもいいので稼ぐとしたらどういうふうに稼ぐのか、を要件定義から実装までやってみる

この辺なのかなぁと思います。

理由2|採用担当が技術わからない・技術者を巻き込んでいない


一方、企業側にも根深い問題があります。それは「採用担当が技術がわからない」という問題です。これ自体を解決することは、エンジニアが採用担当にならない限り難しいと思います。

・即戦力でピカピカのエンジニアが欲しい
・うちはCTOクラスしか採用しないので〜
・技術大好きな人が欲しい

こんなことを言ってる段階では到底採用できないと思います。

・具体的にどういう技術経験がある人がほしいのか
・そういう人が採用できた場合にどういう業務をお願いしたいのか
・自社で採用している技術がどういうもので、なぜそれを使っているのか

コードが書けなくてもこのぐらいは理解し、候補者に伝えれないとエンジニア採用担当とは言えません。

プロの料理人が欲しいのに「うちは一流のピカピカ料理人が欲しいんだよね!え?どういう人かって?それは…なんというか…うちのシェフみたいなとにかく一流だよ!一流!!」
としか言えない店で働きたい料理人はいるでしょうか。(いるわけない)

エンジニアでない限り、最初は誰でも分からないし、苦手意識をもつ分野だと思いますが、ちょっとだけ勇気を出して社内のエンジニアや、知り合いのエンジニアに「わからないから教えて!」と言ったり、エンジニアと一緒にスカウトツールで検索したり、そういう小さなことの積み重ねをしていく中で徐々に点の知識が線に、面になってくると思います。

理由3|実力と内定レベルの乖離がブラックボックスになっている。


理由1 |サービスではなく、ポートフォリオを作ろうとしている。
理由2|採用担当が技術わからない・技術者を巻き込んでいない。

この2つが融合された結果、実力と内定レベルの乖離がブラックボックスになっていると考えられます。

・エンジニアになりたいけど、どこまで何ができれば内定するのか見えない。
・エンジニアがほしいけど、どういう人が欲しいのか正直よく分からない。

この状況がここ数年続いているように感じます。

TechTrainではここを解決したいと考えています。

サービスのコアバリューは、「有名企業で働く50社100名を超えるエンジニア」が副業メンターとして集まってくれていることです。「彼らのノウハウ=業界のノウハウ」です。彼らが思う「自社開発企業で戦えるエンジニア」を言語化し、一覧にし、業界の評価水準にしたスキルチェックシートや、彼らの若かりし頃にしくじった「しくじり先生的なエピソード」を逆算して作
った実践型開発ドリル「Railway」を順次開発、公開しています。

スキルチェックシート。 プロのエンジニアになるために必要な習得スキルを可視化。
フロントエンドエンジニアだけで120項目に細分化しています。
Railway。 エンジニアメンターのしくじり先生的なエピソードをドリル形式の問題にしたもの。
お勉強のための開発ではなく、プロのエンジニアとして必要な素養を学ぶことができます。
全国各地からテックリードやCTOレベルのエンジニアがメンターとして集結。
50社100名を超えるエンジニアメンターに、いつでも、何度でもコードレビューしてもらえます。
(プロの料理人に味見をしてもらうイメージです。)

理由4|金を払えば「エンジニアという資格」がもらえるという錯覚がありそう。

一時期に比べて少し落ち着いてきた感はありますが、まだまだ「プログラミング熱」は高い状態です。残念ながら3ヶ月、教材を写経しているだけでウン10万円も支払わせるプログラミングスクールや情報商材も多く存在します。
車の免許のように30万払えば車を運転できるようになる資格が(ほぼ)もらえる、のであれば価値がありますが、上記はそういうわけでもありません。
TechTrainはサービス開始から3年、広告をほぼ打たずにクチコミで5,200名以上の方に使っていただいています。そのなかには、過去にスクールに通っていたけど、全然エンジニアになれず、家電量販店の販売員や携帯の販売員の仕事をやっている。平日も遅く、土日も出勤なのでプログラミングを勉強する余裕がない、という声も多数聞こえてきます。

家電量販店の販売員や携帯の販売員の仕事自体が悪い訳では全くないです。
問題は、「エンジニアを目指してスクールに入ったはずなのに、エンジニアになった人がほぼいない」という実態です。
「あんなにお金を払ったのにエンジニアになれなかった」
という方もいらっしゃったのですが、個人的にそれは違うと思います。
50万払って年収800万円・フルリモートで働けるエンジニアになれるなら、今頃世の中はエンジニアで溢れているはずです。

・楽して稼ぎたい
・市場価値を高めたい
・年収を上げたい

最初の動機は正直なんでも良いと思います。

ただ、

上記のような「ものづくりに関係ない動機」だけだとすぐに息切れします。

・こういうものを自分がほしいから作りたい。
・周りにいる人がこういうものがほしいので作ってあげたい。
・パズルを解く感じがするので楽しい。

上記のような感想がどこかのタイミングでセットになった人はエンジニアになっている気がします。(あくまで個人的な経験則ですが)

「エンジニアリングで日本の国力を上げる」ことを目標にTechTrainはさらに磨き上げていきたいと思います。

エンジニアを本気で目指す方、年齢制限もない、オンライン完結、無料のサービスなので是非一度覗いてみてください。

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