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雨降る尾瀬

今日は今シーズン初めての雨だ。
登山やハイキングという自然相手のレジャーは、天候が全てと言っても過言ではない。キャンセルが嫌だからといって、無理矢理来させる訳にはいかないし、安全には変えられない。台風接近とかだと尚更だ。

雨の日の準備

足元の悪い中、歩いて来て下さるお客様がいるから本当に有難い。キャンセルになってもおかしくないが、『雨の尾瀬もまた良いんだよ』そう言って下さるお客様もいるのだから、我々は出来る限りのおもてなしをするだけだ。雨の日は、濡れたウェアを乾かせるように乾燥室に火を点けたり、濡れたウェアを入れる袋を用意したり、ビニールマットを敷いたり、着替え場所の誘導、履き物の準備、何かとオペレーションが多くなる。みんなで分担して瞬発的な忙しさを乗り切るのだ。

続々と到着するツアー団体

尾瀬小屋のツアー団体の特徴は九州からのお客様ということ。遠路遙々、少なく見積もっても片道1250km以上の長旅を経て到着したのだからお疲れさまでございましたの言葉に尽きる。そんな多大な費用や労力をかけているのだから、晴れてあげて欲しいと思うのは我々も一緒だ。

濡れものでいっぱいの乾燥室
火元のチェックや誘導をする遠藤支配人
信頼と実績の絶対的パートナー山口君

彼ら二人はフロントのエキスパート。
彼らのファンも多く、毎年彼らに会いに来る顧客もいるのだから本当に頼もしい存在だ。前回の記事でも記述したが、尾瀬小屋としてのクオリティは彼らを筆頭に成り立っている。
今日から約1ヶ月はこうしたツアーが毎日続く。
彼らと共に頑張ろうと誓い、お客様がケガなく到着される事を祈りながら心を通わせたツアー初日だった。

お客様とのちょっとした時間

昨日は、三年間通い続けて下さっているお客様との再会。本当は一時間でも二時間でも話していたいくらい、ここで話す時間はかけがえのないものだし、貴重なお話です。合言葉は『お帰りなさい』『ただいま』。その言葉が重なった時にあるのは笑顔だけだ。

僕はよく山に居て思う事がある。山にいる時は、ニュースも見ないしテレビも見ないので、世間で何が起きているか全くわからない。それでも困る事なんて何もない。知ろうとする事の大切さはもちろん必要だし、重要なんだけど、都会にいると知らなくて良い情報とか本当は何の影響もない情報を耳にし過ぎているんじゃないかって。噂話とか誰かの評価とか。

尾瀬に居て思う事は、
変わらない雄大な景色があって、
営業する為に必要な仲間や仕事があって、
目の前の景色や植物や料理に感動してくれる登山者がいる。単純だけどやるべき事を感じるままやり続ける事が大事なのかなと。

辛かったり苦しかったりした時は湿原に出て、
目の前にそびえ立つ至仏山や燧ヶ岳を見るといい。
動揺したり萎縮しているのは目の前の何かではなく、実は自分の方だったのだと気づかされるから。

尾瀬小屋
工藤友弘

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